八話 病院を建てました1
ルシフェル「いつもありがとうございます。そんで、あたしの出番はいつかな?」
常世「次話には有るよ」
ルシフェル「ってか何気に短いし、サブタイが微妙に予告と違う」
常世「ホントは、もっと書いて分割しない形を取るつもりだったけど、一寸時間が掛かりそうな事と、何か切れがいいので、当初の予定を変更して、分割する事にしました」
ルシフェル「まぁ、それはいいけど、この国は元より、この世界の医療レベルは・・・」
常世「一寸ストップ。それ以上はネタバレだから勘弁して」
ルシフェル「仕方ないねぇ。」
常世「それでは、病院を建てました1をどうぞ」
下山して、デッセンラントに向かい、一泊した後にザールラントに向かった。
ザールラントに戻ると、すぐさまリネルメ土木に出向く。
「おはよう。皆頑張ってるわね」
もう五つ刻を過ぎているが、こういう業界は、どこでも同じ様な物で、夕方でも〔おはよう〕となるが、それはさて置き、リネルメ土木の説明だけザッとしてしまう。
正式名・・・リネルメ土木株式会社
資本金・・・250万ZZ(約5000万円)(領政府50%、リルーエット50%)
社長・・・・リルーエット=リネルメ
従業員数・・100人(社長を除く)
主な業務・・領内のインフラの整備及び維持管理。建築物の建設。
リネルメ辺境領での、様々な建築及び土木関係の業務を行う為に設立された、地球で言う所の第三セクター。
領政府の首長もリルーエットなので、実質的にリルーエットの会社となる。
当然、収入の殆どは公共事業で有り、残りはグループ会社からの受注と民間からの受注が少しとなる。
「おはようございます社長。今日はいかがなさいましたか?」
社屋には、事務長と数人の事務員だけが居て、ほかの従業員は出払っている様だ。
事務長の名は、ザストレル。三十路は過ぎているが、まだまだ若さが感じられるキャリアウーマンだ。
然る商会で、能力の割りには不遇な扱いを受けている。
という情報をドルトンからこっそり貰い、あたしが出向いてヘッドハンティングをした人材だ。
この、リネルメ土木もそうだが、グループ会社に勤めている事務員は、殆どが商業ギルドからの斡旋である。
ザルヘルバ王国商業ギルドの会員になるには、ある程度の商売等をしていて、ギルドの審査を経て、それを通過したら、金貨三枚を手数料として払い、会員証を発行して貰う。
あたしの場合は、ドルトンに根回しして貰っていたので、大した審査も無く、手数料を払っただけで会員証の発行がされた。
基本的には、会員証が無いと、商業ギルドが管轄している都市や町等での商売は出来ない。これは各国共通であるが、会員証が発行して貰えない規模の商人はどうしているかと言うと、管轄の商業ギルドに規定の手数料を支払い期限付きの許可証を交付して貰い、それで商売をする事が出来る。
会員証は、国内は元より、友好国ならば、所定の手続きをするだけで、直ぐに許可が下りる。
会員証ではない許可証の場合は国内限定で、他国でも商売をしたい場合は、国ごとに申請をして手数料を支払う必要が有る。
その際、友好国では手数料が国内と余り変わらないが、友好ではない国では当然手数料は高くなる。
「今日は、リネルメ鉱業の社長として、鉄鉱山迄の作業道の敷設と、鉱山とその付属施設の建設の依頼に来たわ」
「遂に発見したんですね?」
「ええ、そうよ」
「それなら、社長が前におっしゃっていた、鉄を建材として使った建物、というのも出来る様になるんですね?」
「今のままでは強度が足りないから無理だけど、近い将来、建材として使える物が出来る様になるわよ」
「これから忙しくなりますね」
「そうねぇ。どの会社も規模を拡大して行きたいわ。とにかく、鉱山の件はよろしくね」
「承りました」
「それと」
「まだ有りますか?」
「ええ、今度は、領政府の首長としての依頼よ」
「はい」
あたしがそう言うと、神妙な面持ちになる。
「まだ計画段階だけど、ルシフェルと話して内容を詰めるから、ザールラントに病院を建設して貰えるかしら?」
「承知致しました。それでは、その計画書が出来てからでいいのですよね?」
「そういう認識で構わないわ。でも、ある程度木材は用意しておいて頂戴」
「承知致しました」
あたしは、社屋を出るとその足で、ルシフェルが営んでいる診療所に向かった。
ルシフェルの診療所は、八つ刻半になれば診療を終えて、屋敷に帰って来る。
つまり、夜になれば態々診療所に向かわなくても、ルシフェルには会えるのだが、今日は、早くルシフェルと話がしたかったので、診療所に向かったのだが・・・
今日の診療は終了しました
と書かれている板が入口の扉に掲げられていた。
(今日は・・・・・・午後休診じゃないの)
「仕方ありませんリル様。屋敷に戻りましょう」
「そ、そうね」
あたしとタレザは、ルシフェルに会うべく屋敷に帰った。
「ただいま」
「お帰りなさいませお嬢様」
あたしを出迎えたのはセバスチャンだ。
セバスチャンは恭しく頭を下げる。
「セバスチャン。ルシフェルは部屋かしら?」
「ルシフェル殿なら、夕食迄には戻る旨を私ども伝え、先ほど出掛けられました」
「はぁ?出掛けた?」
「左様にございます」
「・・・・・・仕方ないわねぇ。また入れ違いにならないとも限らないから、ここで待つしかないわねぇ・・・夕食迄はまだふた刻程有るし、わたしの部屋にお茶とお茶菓子を持って来る様に、マチルダに伝えて貰えないかしら?」
「承知致しました」
あたしとタレザは、あたしの部屋に向かった。
ベリアル「ここまでありがとうございます。誤字、脱字等有りましたらよろしくお願いします。・・・ルシフェルは?」
常世「そんな急に小声で話さなくても・・・まぁ、今は診察時間内だから、ルシフェルは居ないよ」
ベリアル「噂すればって言うし・・・まぁ、とにかく次も頑張らないとね」
常世「善処します」
ベリアル「テンプレ回答は今更だから驚かないよ。それでは、今後とも新米領主の奮闘記をよろしくお願いします」
常世「チッ」




