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辺境領リネルメ興隆記  作者: 常世神命
四章 領地興隆
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一話 街道建設を開始しました1

常世「いつもありがとうございます。」

べリアル「ありゃ?三章十三話は?」

常世「無いよ。今後、閑話的な感じで差し込むかも知れないけど、現時点では、三章は十二話で終り。」

ベリアル「え?この話から四章なの?」

常世「という事になります。ってか、三章に見合う内容が無いよう。」

ベリアル「・・・はい、それでは四章一話街道建設を始めましたをどうぞ。」

常世「イヤ~ん。スルーせんといてぇな。」

半月後、屋敷に帰って来て、事の次第を記したあの腹黒宰相宛の手紙を、ティアに運んで貰う事になった。



「それではこれが宰相閣下に宛てた手紙よ。」

「これを、渡せばいいんだね?」

「そうよ。何か聞かれても、わたしに聞く様にして貰えるかしら?」

「知らぬ存ぜぬを決め込んで、あとはリルに丸投げでいいんだね?・・・了解。」

「身も蓋もないわねぇ・・・間違ってはいないけど。あと、何か美味しいのが有ったら買ってきてちょうだい。」

そう言うと、懐から大銅貨を数枚取り出しティアに渡した。

「ひー、ふー、みー、よ、いつ、むー、ななって、こんなにいいの?」

「わたしを含め、みんなへのお土産の分が有るんだから、それを買った後なら全部使っても良いわよ・・・それとも銅貨の方が良かったかしら?」

「ノープロブレムよ。もっと欲し・・・いや、何でもないよ。」

「・・・とにかく、よろしくお願いするわね。あと、マチルダにはサンドイッチの作り方を教えて、作る様頼んであるから、昼食を貰って頂戴。」

「了解♪じゃあ行って来るね。」

そう言うと、ティアは執務室から退室する。



それからあたしは、ドルトンの店にやって来た。

「いらっしゃい・・・おお、リル様やないですか。今日はどんなご用でっしゃろ?」

「ドルトン。遂に、あの計画を開始するわよ。」

「えっ!もうですか?いや、準備は出来てるので構いまへんが、ホンマでっか?」

「ええ、ホントよ。早急に開通させる必要が有るから、共和国側からは別の商人に頼んで有るけれど、構わなかったかしら?」

「ええ、全然問題あらへん・・・というか、わて自身の方の資材の調達が、芳しくないんですわ・・・ちなみに、との辺りまで頼んで有るんでっか?」



あたしは地図を広げ、ゼトルに頼んで有る範囲を指し示した。

「へぇへぇ。それ位でっか。大体、わてが七、ゼトルちゅうヤツの商会が三、ちゅう感じでんな。」

「そうよ。でも、ゼトルには、ここの金山と、ここの炭坑の採掘の準備をして貰っているわ。」

あたしがそう言うと、ドルトンは有り得へん。という感じの表情になる。

「ホンマでっか?何でそんな話し、わてにしてくれんかったんでっか?」

「わたしは、採掘の準備をして貰っているとは言ったけど、採掘権は渡して無いわ。それに、公平を期する訳だから、ドンカッター商会にも渡す予定は無いわ。」

「・・・えっ?・・・いや待てよ・・・・・・・・・まさか!!」

「気付いたかしら?」

「リル様は、ご自身で採掘されるおつもりでっか?」

「半分当たっているけど、半分間違っているわ。わたしは、リネルメ鉱業という会社を立ち上げる予定よ。社長、商会で言う所の会頭に当たる役職には、わたしがなるわ。あと、ドルトンには相談役と、数人経理に詳しい人を出向させて貰えないかしら。それから出資ね。わたし自身からは金貨三十枚この会社に出資するから、ドンカッター商会として、金貨十五枚出資して貰えないかしら?」



長年商人としてその才を現し、ザルヘルバ王国のみに留まらず周辺国にも影響力の有る、ザルヘルバ王国でもトップとも言って差し支えない位大商会の、ナンバーツーとも言える番頭をしている、そのドルトンをしても理解が追い付かず、少々困惑気味である。

「もう少し説明して貰えまへんか?出資ちゅうても、リル様に資金をお貸しするのとちゃうんでっか?」

「まったく違うわ。」

そこであたしは、事前に紙に書いた額面金額が金貨五枚でリネルメ鉱業の名が記された物を見せる。

「これが、株券という物で、会社という組織が運営資金を募る際に発行する物です。借金と違う点は、この制度には利子が有りません、その代わりに配当金という仕組みが有りますが、受け取る事が出来るのは年に一回、しかも、配当金の支払いを受け取るには、配当金の支払いが有る当日に所持していなければならず、利子とは違い所持していた期間では受け取る事が出来ません。また、配当金の率は、会社側が自由に決める事が出来、赤字の場合は支払われません。当然、赤字の場合や、黒字なのに1ズゼも配当金を支払わない場合は、会社の信用が落ちますわ。」

「まぁそら当然やな。しかも出資金を返せちゅう話しにもなるわな。」

「はい、そうですわ。」



ドルトンはしばらく考えた後に

「よし、分かった。そのリネルメ鉱業ちゅう組織に出資したりましょ。」

「良かったわ。ドルトンならそう答えて貰えると思ったわ。」

「ちなみに、リル様がその組織のトップ・・・社長ちゅう役職に就きまんのやろ?」

「始めのうちはそうなるわね。話しは変わるけど、我がリネルメ辺境領では、わたし個人と領地の会計は分離させているわ。ちなみに、これが領政府の去年の収支よ。」

そう言って、一枚の紙をドルトンに見せる。

「・・・こんな物、わてに見せてええんでっか?」

「構わないから見せているのよ。ドルトンには我が領地の経済状況を知って貰いたくて。」

「・・・領主持ち出しちゅう事は赤字ちゅう事でっか?」

「まぁ、そう言う事になるわね。今年は、軍備拡張に伴い国から金貨十五枚を要求されたから、現時点では赤字よ。けれど、税制改革に因り農民からの税収増と、ドンカッター商会やリネルメ鉱業からの税収などに因り何とか、黒字に転換・・・と行きたいけれど、街道建設という一大公共事業が有るので、結局は今年も赤字よ。それも去年とは違い金貨七十枚位の大赤字ね・・・ああ、良いのよ。領債を発行してドンカッター商会から資金を調達・・・という事にはならないから。また、わたしの個人資金から供出するけれどね。とにかく、よろしくお願いするわねドルトン。」

「・・・え、ええ、承知しましたわ。」



ドルトンと会合をした三日後、ティアが戻って来た。

「リル。行って来たよ。」

「お帰りなさい。それで、宰相閣下は何て言っていたかしら?」

「そう言うと思って・・・はい、宰相閣下からの返事。」

ティアは、アイテムボックスから一通の手紙を出すと、わたしに渡した。

「まぁ、概ねこちらの要求は通ったわね。その代わりに、国庫への納入額が多少上がったけど・・・」

「上がったってどれだけ?」

「金貨四十枚。」

「リル。今年度の税収見込みは?」

「所得税が凡そ金貨六枚、ドンカッター商会とリネルメ鉱業からの法人税扱いの税が金貨十二枚程。」

「全然足りないじゃん。」

「そうなのよねぇ。街道建設も有るし、大幅な赤字になるわね。」

リルは執務室の机に膝を立て溜息を吐く。

「ど、どれくらい?」

ティアは恐る恐る聞いてみる。

「金貨百枚以上ね。」

また溜息を吐く。

「!!・・・去年度なら29年分、今年度分でも五年分以上じゃん・・・一億ズゼ(約20億円)かぁ・・・途方も無いねぇ。」

余りの額にティアは驚き、リルの机に突っ伏し溜息を吐く。

「途方も無くはないけど、わたしの個人資産も無限ではないから、何とか早急にリネルメ鉱業の経営を軌道に乗せないとダメよねぇ。炭坑はともかく、金鉱の方は採掘量を出来るだけ増やし、製錬してドルトンやゼトルに売却して利益を出さないといけないわねぇ・・・」

「炭坑は?」

「精製施設の完成待ちよ。そのまま売却するのもいいけど、コークスにしてからの方が高く売却出来るわ。あとは、製鉄所も建設予定よ。それと街道建設は、ドルトンとゼトルに任せたけど、今後領内のインフラ整備何かは、建設会社を設立して、やって行くつもりよ。」

「そうなんだ・・・そうだ、まだこの世界の紙は羊皮紙が中心で、私達が知っている様な紙は無いよね?ちなみに、私の居た国では・・・殆んど宮殿から出た事は無かったけど、書庫の本は全部羊皮紙だったと思うよ。」

「そうねぇ・・・王都に行った際、チラッと見たけど、植物繊維の紙は見なかったわねぇ・・・郊外に製作工房を作って、生産させる事もしたいわねぇ。」

「やる事いっぱい有るね。」

「そうねぇ。ティアも一応頭数に入っているからお願いするわよ。」

「了解♪じゃあ私は紙の方を担当するね。」

そうしてあたしとティアは、マチルダがお茶を持って来る迄、ふたりで机に突っ伏しているのだった。










ベリアル「ここまでありがとうございます。誤字、脱字等有りましたらよろしくお願いします。それで次話は、街道建設を始めました2って事になるの?」

常世「そうなるね。それで三話は、冠婚葬祭をしました3だね。」

ベリアル「そうすると、式典みたいな感じかな?」

常世「そうだね。冠と葬はやったから、次は祭だね。」

ベリアル「婚は何時くらい?」

常世「当分先。ってか、登場する男性が、セバスチャンや腹黒宰相みたいなご年配か、ゼトルやドルトンみたいな中年でしかも取引相手だから、恋愛に発展する要素がまるで無いよ。」

ベリアル「リルに近い年頃の男の子の、登場予定なんて無いんでしょ?」

常世「ベリアルさん正解、1000点が追加されます。」

ベリアル「そんなんどうでもいいから。ってか1000点とかショボい。」

常世「それでは皆様、次回のクイズ新米領主の奮闘記をお楽しみに。」

ベリアル「いや、クイズ違うから・・・ハァ」


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