八話 使節団と交渉する準備をしました
常世「いつもありがとうございます。」
べリアル「常世ぉ、外交交渉は?」
常世「まだ先かなぁ?」
べリアル「先?・・・十三話でけりは着くの?」
常世「ヒジョーにビミョーです。」
べリアル「悪いけど、0点かな?マジで面白く無いよ。」
常世「ダメ?」
べリアル「ダメよ~ダメダメ・・・って常世のが伝染ったぁ。」
常世「伝染ったとか言わないでぇ。」
べリアル「・・・とにかく、第八話 使節団と交渉する準備をしましたをお送りします。」
三日後、リルーエット達は共和国の使節団と面会する事となった。
使節団と会う前日、あたしはべリアルと話しを詰めていた。
「ねぇリル、共和国側との交渉は僕に任せて欲しいのだけど。」
「分かったわ。こちらとしては、この山の周囲と、その北西の、この辺り一帯に、この辺りまでは王国の領土としたいわね。」
あたしは、簡単な地図を指して、べリアルに王国側としての要望を伝える。
「それじゃあ、どこ辺りを国境線として希望する?」
「国境線は、ここから、こう来て、この辺が良いのかしら・・・」
「この線は、相手もしぶしぶながら認める案?それとも、僕の交渉術で捩じ伏せる欲張った案?」
「後者かしら?わたし的にはこの町までとは思っているけど」
「うわっ!随分欲の皮の突っ張った考えだね。まぁ、かなり時間が掛かるけど良いの?」
「ダメ元で言ってみたのだけど、出来るのね・・・確かに余り時間を掛ける事は出来ないわねぇ・・・腹黒宰相も痺れを切らすだろうし、明日午前四つ刻半頃に使節団と会って、六つ刻から会食、その後六つ刻半から八つ刻まで初日の交渉になる予定だから、出来ればその明日中、つまり明後日中には交渉を終えたいわねぇ。」
「それじゃあ欲の皮の突っ張った案は、時間的に無理だねぇ。山岳地帯と、それに繋がる道路を整備する程度の、ここから、ここを通って、この辺りまでなら・・・ええと六つ刻半からだから・・・3時間で良いのかな?その間に話しを決めれるけど・・・」
「明後日一杯掛けて構わないから、出来るだけ確保したいわねぇ。」
「・・・うーん・・・それなら、ここ辺りまでは可能かなぁ・・・大事とってこの辺りまでか・・・いや、ここまでいけるか・・・・・・よし!・・・リル結論を言うよ。僕は使節団の能力次第にしようと思う。無能な使節団なら、明後日中にリルの要望通りにいくかも知れないし、有能ならば3時間で纏めてとっとと帰った方が良いと思うけど、どうかな?」
「それで構わないわ。でも流石よねぇ。伊達にあの有名な聖人を告発しただけの事は有るわ。」
「やめてよ。あれは、僕の中でも結構な黒歴史なんだから。どう見ても僕に不利な相手陣営だよ。こっちは僕だけで、聖人側は早々たる面子だよ。いくら僕の口が上手いって言ったって、限度が有るよ・・・まぁ、今回はそんな事にはならないだろうけど・・・とにかくこの話しは勘弁してください。」
べリアルはリルーエットに対して、土下座をして懇願する。
「分かった。分かったから。もう話題にしないから、そんな土下座なんてしないでよ。そんな事されても、こっちが困るわよ。」
「ホントだよ。絶対だよ。」
その時、ドアをノックする音がする。
「リルぅ。そろそろお昼だよ。」
ハーゲティアが中に入って来る。
「もうそんな時間なのねぇ・・・」
「僕も気が付かなかったなぁ。もう六つ刻の鐘は鳴ったの?」
「まだだよ。でももうすぐ・・・」
ハーゲティアが言い終わる前に、ゴーン、ゴーンと六回鐘が鳴る。
「・・・五つ刻の鐘は聞いて無かったなぁ。」
「そうねぇ・・・朝食の後から話し詰めだったから、喉が渇いたわねぇ」
『ぬし様よ。そこは妾に任せるのじゃ。』
そう言うと、ウィンネは、あたしとべリアルの前に有るコップを、魔法を使って水で満たす。
「ウィンネの出す水はおいしいね。」
「そうねぇ・・・ありがとうウィンネ。」
『これくらいは大した事はないぞ。妾はこれからの交渉事には手助け出来ない故、べリアルにはその分頑張って貰わねばのぅ。』
「そう言う事なら、ウィンネ、おかわり頂戴。」
『お易いご用じゃ・・・ぬし様もおかわりは要るかぇ?』
「そうねぇ、わたしにも頂戴な。」
『承知したぞぃ。しての、大体の事は決まったのかの?』
「ええ、大筋の方針は決まった・・・よね?べリアル。」
「僕としては、もう少し詰めたかったけど、如何せん使節団の情報がまったくないからねぇ・・・さて、相手はどう出るかって所だよ。」
『さてさて、凄腕の参謀も加わった訳だし、妾は楽させて貰うかのぅ。』
「程々にしてよね。僕にだって限界は有るんだから。」
『その辺は弁えておるから、心配せずとも良いぞ。』
「それより、リルしか料理がまともに出来る人は居ないんだから、早くしようよ。」
「ごめんなさいねティア。すぐ用意するわ。」
あたしは、厨房に行き、食事の用意をする。
今日の昼は、ロロ芋とレンズマメと、先日買った豚のバラ肉のスープだ。
(・・・ホントはもっと色々作りたいけど、香辛料も無ければ、味〇素も無いし醤油も味噌も無い。調味料と呼べるのは塩だけなのよねぇ。でも塩って言っても、前の世界の様な、工場で作る精製塩の様な大量生産品ではなく、昔ながらの製法の自然塩の上、多少のゴミの混じる塩で、しかも安くて1キロ銅貨一枚、平均的な相場で言えば銅貨四・五枚するという高価な物だから、庶民では、一日に摂取する塩の量は一家でふた摘まみくらいしか摂取出来ない。料理に使う際は塩水にして使っている・・・でもあたしは、ドンカッター商会から、ゴミの混じっていない塩を10キロほどを銀貨一枚(20万円位)で買ったから、まぁ前の世界の様に使えるのよねぇ。やっぱりそこは貧乏領地と言えど、あたしは領主だし、これくらい贅沢してもバチは当たらないわよ?・・・話し相手が居ないからってひとり疑問形とか・・・ともかく、その辺も色々改革しないと、塩の摂りすぎも悪いけど、摂らなすぎも問題よねぇ。胡椒は・・・・・・正直、大航海時代の様に同じ重さの金と同等、というくらい高価そうだけど・・・)
少しして料理が出来る。
(前世もそうだけど、スープ料理は失敗した事はないのよねぇ・・・香辛料が無い分、どうしてもパンチは効かないわねぇ。)
「出来たわよ。」
「待ってました♪リルの作る料理って美味しいんだよね♪・・・でも、スープ以外食べた事無いけど・・・なんで?」
「新鮮なお肉がねぇ・・・」
「いやいやいや、リルってばアイテムボックスを持ってるんじゃないの?」
「あっ!」
「やっぱり失念してたか・・・でもこれでいつでも新鮮なお肉が使えるね・・・という事で、僕はもう少しお肉を入れて欲しいなぁ。ああ、タレザのは肉無しね。」
ダン!!
「何を言うか貴様は!・・・リル様。わたしにもお肉多目でお願いします。」
「ハイハイ、ふたり共喧嘩しないで頂戴ね。まだおかわりは有るから慌てないで、無くなったらすぐ追加で作るからね・・・そうそう、べリアル、食べながらで良いから、質問に答えてくれる?」
「ふぁい?ぬぁぬぃくぁぬぁ?」
「この世界に、貴女以外の悪魔は来てそうか分かるかしら?」
べリアルは、食べ物を飲み込んで話す。
「・・・うーん、来ているかどうか、というならば〔分からない〕という事になるのかな?ほかに来ているとしても、僕と同等かそれ以下の能力しか感知出来ないからねぇ。僕より能力が高い悪魔は・・・え~と〔ベルゼブル〕様に〔バアル〕、〔アシュタロス〕に〔ルシフェル〕あと悔しいけど〔アスモデウス〕の脳筋が僕より能力が高いね。この世界に来ていたらその内、こっちに来るんじゃないの?」
「今の所、貴女だけなのねぇ・・・」
「まぁ、そう言う事・・・・・・ん?ひょっとして、リルってば陣営に引き入れ様としてたりする?」
「出来ればねぇ」
「ウハッ!リルってば怖いもの知らずだねぇ。普通無いよ・・・仕方ないか。その時が〔有れば〕説得を手伝うよ。有ればだからね・・・そうか!ちょっと占ってみるよ。」
そう言うとべリアルは、どこからともなくタロットカードを出し、占い始めた。
しばらくすると占い終わり、べリアルはうんざりとした態度をあらわにした。
「やっぱりだ。」
「どうだったの?」
「ベルゼブル様とルシフェルは少なくとも、この世界に来てるね。アシュタロスとバアルは分からずで、脳筋は来てませんと・・・数回占った結果だから、確率的には九割くらいかな?まぁほぼ当たると思って貰って構わないよ・・・ってか、ベルゼブル様は恐らく接触して来ないからいいとして、あのヤブ医者がこっちの世界に来てるとか無いわ・・・まぁ、今更遅いかも知れないけど、気配を断っとくか・・・」
「ん?お医者さんならいいのじゃないの?」
「いや、やれ塩入れすぎだの、間食を摂るなだの、食い過ぎだだの、一々うるさいんだよアイツはさぁ。」
「でも、ウチの領地には医者は居ないから、少しくらい煩くても助かるんだけど。だから、気配を断つのは止めて貰えるかしら?」
「え~!・・・・・・仕方ない、リルの頼みだから我慢するよ。」
しょぼんという音がするくらい、べリアルは肩を落とす。
「ありがとうべリアル。」
あたしはべリアルをハグする。
「!・・・まぁ、これはこれで役得かな。」
べリアルは微かな笑みを浮かべる。
常世「ここまでありがとうございます。誤字、脱字等有りましたらよろしくお願いします。」
べリアル「ねぇ常世。マジであのヤブ医者を登場させる気?」
常世「じゃないと医学方面の話しが出来ないからねぇ。」
べリアル「え~。絶対言われるよ。ダイエットしろって・・・最近また太ったんでしょ?」
常世「・・・」
べリアル「僕も色々言われるなぁ・・・」
常世・べリアル「「ハァ・・・」」
べリアル「ちなみにどれくらい先?」
常世「次話の予定。」
べリアル「早っ!ねぇちょっとマジな話し?」
常世「大マジです。」
べリアル「ねぇ常世。どこかに隠れる所無いかな?」
常世「有るんなら、アチキが隠れてるよ。」
べリアル「・・・そうだよね。それなら、先送り出来ないかな?」
常世「ルシフェルは、次章で、ふらっとリルの領地にやって来る形を予定していたけど、べリアル、キミの登場で前倒しする事になったんだよ。」
べリアル「え~!僕が原因!?そんな・・・」orz
常世「とにかく、何事もあきらめが肝心。」
べリアル「何か他人事みたいに言っているけど、常世もだからね・・・・・・今後とも、新米領主の奮闘記をよろしくね。」




