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辺境領リネルメ興隆記  作者: 常世神命
一章 爵位継承
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十二話 帰領する準備をしました2

いつもありがとうございます

ええ、すいません遅れて閉まって(バタン)


次の目的地はターシャの鍛冶屋である。

ターシャ自身、こちらに来る準備も有り一度戻っていたが、とある鍬も作って貰っていた。





鍬の名は〔備中鍬〕である。


形状は、潮干狩りに使う熊手を鍬にした様な感じである。

あたしの記憶だと、江戸時代中期位に発明され、水田みたいな土質の土壌を耕すのに適したものであり、四本の物や五本の物も有るが、一番普及した三本備中鍬の作成を依頼した。


リネルメ辺境領の森林と居住区等を除いた、畑として利用出来る土地の9割位が粘土質っぽい土壌で、現時点では荒れ地か小規模の放牧にしか利用されていない。


アルファルファみたいな植物が有れば、荒れ地に一杯繁殖させて、放牧を商業的に成り立つ規模に出来るのだが、そんな物はまだ見つけて無いので、現時点で言えば、何とか荒れ地を開墾して、農民の収入を増大させた方が現実的だと思う。


農法の改革も考えている。

現時点での王国の農業は、二圃制が少し行われている程度で、ほとんどの農地では二圃制すら行われていない。

リネルメもそのほとんどの農地に入る。

そういう状態なので、ノーフォーク農法なぞ時期尚早である。

先ずは二圃制からスタートして、輪作という物の何たるかを教えてからでないと、話しにならない。


通常、二圃制は、耕作地と休耕地とを交互に入れ替える事で、地力を出来るだけ落とさない様にする農法だが、あたしは休耕地の時に豆を植えるつもりだ。


豆を植える理由は、根粒細菌による大気中の窒素の固定である。

マメ科の植物は根に根粒を作る。

その原因とされている根粒細菌は、根粒の中で繁殖して、大気中の窒素を蓄える働きが有る。


なので、休耕地として放置するより地力が回復し、穀物(主に小麦)を栽培する際の収量が増大する。

休耕地には、二種類の豆を栽培する予定なので、疑似三圃制だ。


豆の種類は、王都の市場で、大豆とレンズマメを見つけたので、馬車二台分(この世界では、諸事情有るが大体三百キロ位積載するのが一般的らしい)馬車込みで購入。

御者は当然領兵がする事になる。


(あと、ネギ系は市場に有ったから、帰りがけに買うとして、小豆を探さないと、酵母菌と一緒に手に入れて、あんぱんを作りたいわね・・・ギブミー日本食!!・・・そうこうしてるうちに、ターシャの鍛冶屋に着いたわね)





鍛冶屋に到着すると、中に入り先ずはターシャを呼んでみる。


「ターシャ居る?」


「あっ!リル様、親方なら今出掛けてますぜ」


「あら、そうなの?それならちょっと待たせて貰っていいかしら?」

「もちろん大丈夫ですぜ。そこから入って右の部屋で、お待ち出来ます」


「わかったわ。それでは待たせて貰うわね」


「へい」





しばらく・・・四半刻くらい経つとターシャが帰って来た

「おぅ、今戻ったよ。あたしの居ない間に何かあったかい?」


「あっ!親方、おかえりなさい。リル様が来てお待ちになってますぜ。いつもの部屋に居ますぜ」


「えっ!お嬢が?わかった、あの部屋だね?」


「へぇそうです」


「お嬢。お待たせしてすいません」


「かまわないわ。それより、出立の準備と鍬の方は大丈夫かしら?」


「はい。万事抜かりなく終わってますよ。あの備中鍬なる変わった形の鍬も、お言いつけ通り、作り終わってます」


「良かったわ・・・それよりターシャ。貴女どこに出掛けてたの?」


「何って、昼食の食材買いに出掛けていたんですよ」

(・・・そういえば、ドンカッター商会でボイルしたじゃがいも食べただけで、しっかりとした物は食べてないわねぇ・・・・)


「ん?お嬢。ひょっとしてお昼はまだですか?・・・その様子ではまだなんですね?わかりました。それではあたしが、お昼を馳走致しますよ」


「ふふふ、悪いわねぇ。それではお言葉に甘えて頂くわ」

そうするとターシャは台所へ行き、料理を始めた。





10分くらい経っただろうか、ターシャが出来上がった料理を運んで来た。


「へいお待ち!お嬢の口に合うかわからないけど、頑張って作ったから食べてみてくれ・・・おいゼル!昼飯作って台所に置いてあるから昼休憩にしな」


「了解っス」と、ゼルの声が鍛冶場から聞こえて来る。


「美味しそうねぇ。それでは早速頂くわ・・・あの短時間で作った割には美味しいわねぇ。いつもこんな感じの食事なの?」


「いつもこんな感じですよ。サッと作って、サッと食べる具合ですね」



「ターシャ、ありがとう美味しかったわ」


「お粗末様です」


「そうそう。明日には帰領するから、三つ刻の鐘が鳴ってから半刻くらいまでに、西門に来てちょうだいね。荷物が多くなる様なら、領兵を向かわせるから、今のうちに言ってちょうだい」


「わかった。けど、あたしの荷物は、あたしの着替えと私物が少し。あとは、このハンマーだけだから、今からでも問題無いよ」


「そう・・なら一緒に行きましょうか」


「荷物を持って来るから、ちょっと待ってくれ」


「あら、では三つ数えるうちに持って来てちょうだい」


「はぁ?いくら何でも少な過ぎだろ」


「い~~~~~~ち」


「おわっ!直ぐ持って来るから、勘弁してくれよお嬢」




急いで持って来たせいか、ターシャは少しバテていた

「ちゃんと持って来たわね。それでは行きましょうか」


「おぅ・・・ゼル!それじゃぁあたしは行って来るから、後は任せたよ。変な噂が立ったら、ただじゃおかないからね」


「り、了解っス。お気をつけて行ってらっしゃい」

あたしとターシャは、鍛冶屋を出て宵闇の盃亭に向かった。


ここまでありがとうございます。

一章はここまでです

次話からは二章になります

ええ、ようやく内政パートです

期待せずに待っていてください


誤字、脱字等有りましたらよろしくお願いします

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