その日 始まった
最後まで読んで貰えるとうれしいです。
無事生まれて良かったです…
奥様が出産するのに数時間もかかり一介のメイドである私も駆り出されるはめなりました。お屋敷の中でも大変でございました。旦那様も、廊下をいったりきたりと落ち着かないご様子でした。本当に、無事生まれてよかったです。
生まれた子は元気な男の子のようです。奥様は、既に御子息様と御嬢様を産んでおられ三人目でした。私はこの屋敷に仕えて3年目の新人ですが、出産に立ち会うのは生まれて初めての体験でした。途中、いつもこんなにかかるのかと心配になって先輩メイドに聞きましたが、こんなに長いなんて初めてだと言われ聞こえたのか周りの方々間で騒ぎ始めてしまいメイド長に怒られてしまうということもありました。あの時の怒ったメイド長は内心ではとても焦っていたと思われます。なぜなら、手が震えていましたから。無事産まれた時、後ろを向いていたのは涙を拭いていたのではないでしょうか。
御子様が産まれて記念パーティーが開かれることになりました。つい先程決まったことなので私達メイドや執事などだけではなく旦那様も忙しいようです。そんなことになるならもっと前から企画しておけばよかったのに…なんて思ってませんよ!旦那様に対して、そんな気持ちにはなってはいけませんしね。だから決して、やらなくてもいいじゃんとか後ででもいいじゃんとか思ってませんからね!
そんなことを考えていると
「何考えてるんだい!?」
ギクッ
「顔にでてるよ。顔に。」
「な、何のことでしょうか…メイド長…」
「考えるのは自由かもしれないけどね。そういうのを顔に出すのはやめるんだよ!もしくは、考えるな!いいね!」
「は、はい!了解しました!」
ふう…行きましたか…今のがメイド長で、執事長と同じく旦那様と奥様の幼なじみだったらしく、仕えている方々のなかで唯一旦那様や奥様に意見をいうことができる存在となっています。やっぱり怖いです。執事長は、優しいのに何故あの人はあんなに怖いのでしょうか…鬼ですよお「何しているのかね。」うわっ!
「驚かさないでくださいよ。メイド長。」
「何かいやなこと考えてそ「そ、そんなわけないじゃないですか。」…人が話している最中に話すな!!」
「す、すいませんでした!…ところで、どうして戻ってこられたのですか?」
「あんたに言い忘れたことがあってね。言いにきたんだ。」
「私、何かやらかしてしまったのでしょうか!?」
「どうしたら、そのような考えに行き着くんだ。もしかして裏でこそこそやってるのかい?」
「や、やっていませんし。知りません!」
「本当かい。まあ、お前にとっていいことだよこれは」
「え?ボーナスですか?」
「旦那様から新しく産まれたお坊ちゃまの付き人をだせって言われたのでな、この屋敷のメイドから一人から二人ほど出すことにしたんだ。」
な、何かいやな予感が…
「そこでだ。お前にやってもらおうと思うんだが。」
「おこと「無理だ。」…もっとい「確定事項だ。」…わ「会議の結果だ。」…「ダメだ。」まだなにもいってませけど!?」
「どうあがいても覆ることはない!以上!」
ええええええ!どうしたらいいんですか!?私、子供の面倒なんかみたことないですよ!?なんで私に決まったんですか!?というか、全然いいことじゃないですか!
「給料アップでいいじゃないか。」
「いつも言ってましたけど!確かにもうちょっと給料欲しいなとか言ってましたけど!さすがにこれは私に任せてはいけないかと…」
「神が決めたのだから仕方がない。」
「…え?…もしかして、決定方法ってくじ引き…だったりします?」
「そうだが?それがどうかしたか?」
終わりましたよ。私の人生終わりましたよ。これ絶対失敗してクビ切られる奴ですよ。やりたくないですよ。でも逃げられないですよ。
「一週間後からついてもらうから、頼むぞ。」
「了解しました…」
その後メイド長は自分の仕事へ戻っていきました。後、一週間ですか…お父さん、お母さん、今までありがとう。遺書と辞表用意しておきましょうか…。
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…あの日から三年がたちました…。
私生きてますよ!今こうして部屋の掃除してますよ!死んで地縛霊になってすら掃除しているわけではないですよ!よかったよかった生きてて…
「メイドさん。何しているの?」
「これは風の魔法を使いゴミを一カ所にまとめているのです。」
「ぼくにもできるかなあ。」
「お坊ちゃまは魔法の才がとてもすごいと聞いておりますが故、大きくなって練をしっかり積めばこれよりももっとすばらしい魔法が使えますよ。」
「本当!?じゃあもっと頑張って大きくなってとってもすごい魔法がつかえるように頑張らなくちゃ!」
「そうでごさまいますね。ところでお坊ちゃま。」
「なにー?」
「奥様が呼んでおられたので奥様の下へいってさしあげてはどうでしょうか。」
「お母様が!?じゃあ今すぐいかなきゃ!バイバーイ!」
「行ってらっしゃいませ。」
お坊ちゃまは千年に一人くらいの才能や知能をお持ちのようです。3歳ですでに会話が成り立っている時点で異常ですがそれだけでは終わらずなんと、屋敷内の図書館に居られるのをよく見かけ、何読んでいるのかと思えば絵本を読んでいるではないですか。絵本を読んでいるんです。絵を見てるのではなく声に出して読んでいました。それをみたとき走って奥様や旦那様を呼びに行こうとしたらお坊ちゃまに
「いっちやダメ!」
と言われ
「お母様とお父様には内緒にしていてほしいな。いいでしょう?」
その瞬間私は悩みました。いくらお坊ちゃまの頼みといえど私の雇い主でありこの屋敷のトップである旦那様に言うべきではないかと思いましたが、私が今仕えているのはお坊ちゃまであってそのお坊ちゃまの願いことなんだからと考えている自分もいまして心の悪魔と天使が争っているような状況で少し悩んだ結果やはり旦那様にいいにいこうと思いお坊ちゃまに言おうとしたら
「お坊ちゃま。やはりか「お願いします。」はいわかりました。私とお坊ちゃまの秘密でございますね。このメイド墓までしっかり持って行く所存でございます。」
「?何言ってるかわからなかったけどありがとう!」
「いえいえ。ただここにくる場合は、私を呼んでください。」
「どうして?」
「お坊ちゃまを一人にしては危ないからです。お坊ちゃまに万が一何かあったら奥様や旦那様が悲しみますから、これからはもう勝手に一人でいってはいけませんよ。」
お坊ちゃまに何かあったら私のクビが飛びますし。
「はい。分かりました!」
「ではお部屋へ帰りましょうか。メイド長が美味しいクッキーを作ってまっていますよ。早くしないと御子息様や御嬢様に全部食べられてしまいますよ。」
「そんなのいやだ!お兄様やお姉様よりも早く行かなきゃ!」
子供っぽいような、子供っぽくないような不思議なお方です。ただ、そういうのも可愛らしくございます。私も将来結婚して子供が産めたのならばあのような子供が欲しいですね
…おっといけない。私も急いで行かなくては。お坊ちゃまを一人で行かせるわけには行けません。もし、一人でお坊ちゃまを行かせてしまってはメイド長に叱られてしまいます…急いで追い付かなくては。
「お坊ちゃま。そんなに急ぐと転んでしまいますよ!」
ズテン
あ、転んでしまいました。
「お坊ちゃま!大丈夫でございますか!?」
「大丈夫だよ!僕泣かないもん!」
「慌てなくてもクッキーはなくなりませんから、落ち着いていきましょう。」
「はーい!」
いろいろ大変でしたが…この子のお世話役になってよかったです…
この頃の私は甘かったようです。まさかあんな事になるなんて…
メイド視点はここまでです。
次回は違う人の視点へゆきます。
ではここまで読んでくださり
ありがとうございました
次回 あの日 起こった
書き上がり次第投稿予定