ホムンクルス
「……口からの光線、破壊力あり……回復速度、かなりの高速……」
インカムに向かって再び呟いたセシリア。
直ぐ様ライフルを構え、スコープを再び覗き込む。
スコープ内では先程吹き飛ばした筈の狼男の左耳が、いつの間にか元通りに復元、再生していた。
人知を超えた再生能力。
ヒドゥンが持つ特殊能力の一つだ。
失った四肢ですら高速復元可能な再生能力。
この再生能力によって人間は彼等い手を焼かされていた。
傷を負わす事が出来ても倒す事が容易でないのだ。
ラピスリア教会が造った銀製の武器を使った場合、その再生能力を著しく鈍らせる事が出来るのだが、今回のヒドゥンはそれを全く感じさせない程に優れた再生能力を有していた。
狼男との距離は直線にして約一メートル。ライフルでは取り回しが最悪な距離である。
狼男の背後にある割れた硝子窓にライフルを投げつけると、セシリア自身は腰を落とした中腰体勢のまま床から飛び跳ねる。
跳ね上がったセシリアは腰に装着していた二丁のサブマシンガンを取り出しつつ天井を蹴り飛ばす、三角跳び。
狼男の赤い双眸にはゆっくりと、スローモーションの様に落下して行くセシリアの冷たい眼差しが映る。
頭から落下するセシリアは狼男の背後に回り込む様に落ちると、二丁のサブマシンガンをフルオートにしたまま狼男の背中に狙いを定めた。
狼男は振り向きつつも全身を無数の銀製弾で撃ち抜かれ、絶叫を上げ続ける。
サブマシンガンを放つセシリアはそのまま窓の外へと背面から落下して行く。
戦略的撤退。
セシリアに出来る事はヒドゥンの能力や特徴をリサーチすること。
脆弱なカルマの器しか持たないホムンクルスは、クルセイダーのバックアップが主任務だ。
ホムンクルスとは機械人形に槍の洗礼を施し、自我と脆弱なカルマの器を得た存在の事である。
「……以上で報告を終えます」
落下しながらもセシリアはインカムで報告。
二階の窓から落ちるセシリアと入れ替わりに、光の翼が絶叫を上げ続けている狼男の部屋へと入れ替わりで突入して行く。
「報告ご苦労、引き続きバックアップを頼む」
光の翼が壊れた窓に飛び込む寸前、セシリアの耳にウイングのアルト・ボイスが響く。
「了解いました、マスター・クーロン」
その声を聞いたセシリアは無機質な顔に微笑を浮かべ、地面すれすれに着地を果たし




