天剣VS龍
「信愛なる女神の盾よ! 我を守護し、安寧なる一時を与えたまえ!!」
ネオの放った蓬術は鉄壁の盾を召喚する。
【盾の忠神・イージス】
360度、あらゆる方向からの攻撃を防ぐ最上位の防御系蓬術。
ネオに降り注ぐ龍鱗の刃は、召喚された淡く青い結界により尽く弾き返さ
れ、甲高い音を無数に生み出していった。
技術開発庁の研究員であるネオ。
彼がカヤードの同行者に選ばれた理由は二つ。
一つ目は結界、封印学に精通した彼による封印の調査。
二つ目は、最悪の事態に対して一時的に強力な封印及び結界を張れる事。
若くして封印、結界学に精通したネオは自然と防御系蓬術のスペシャリストとなっていた。
ネオはイージスによって、この刃の流星群を防ぎ切っていたが……。
「くっ!」
カヤードに降り注ぐ龍鱗は容赦なく彼を追い詰めていた。
超人的な脚力で地面を蹴り上げ、五メートルほど跳躍するカヤード。
しかし、その蹴り上げられた地面から三本、地上より十メートル以上離れた天井より四本、そして左右からそれぞれ三本の龍鱗が、カヤードに向かって高速で迫る!
【幻影身刃克至霊】
ミノタウロス戦で見せた奥義を、ここぞとばかりに繰り出すカヤード。
カヤードが跳ね上がったと同時に地面の影が分裂し、実体化。
実体化した幻影の一体は地面からの龍鱗を、残りの三体はカヤード本体の左右と、上空から迫る龍鱗を斬り裂こうと試みる!
刹那、幻影たちは大半の龍鱗を破壊する事に成功するが、それでも上空から一本、地面から一本、撃ち損ねた龍鱗の刃がカヤード本体に迫っていた!
上空で挟み撃ちの状態に陥ったカヤード。
「破ーっ!」
気合いの一声、抜き放っていた刀を上段に構え直し、後方に仰け反るほど勢いを付け、下方から迫る龍鱗を弧を描きながら一刀両断!
龍鱗は痛々しく中央から左右に切り裂かれ、枯れた草木の如く、弱々しく地面に落下して行く。
そして、それを待つこと無く、撃ち漏らした上空からの龍鱗がカヤードの頭上ギリギリまで迫っていた!
だがしかし、先刻の渾身の一撃は次の一手への布石。
カヤードの弧を描いた一撃は、龍鱗を斬り裂きながらもその勢いを爆発的に増幅させ、全身を『車輪』の如く高速回転させる。
頭上から迫っていた龍鱗は、『強力な遠心力』がもたらした『刀の車輪』によって、細切れにされていく…………。
その『超人的且つ、計算された一連の動き』によって、カヤードはヒドゥンの第一手を防ぎ切った。




