表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/60

ミノタウロスと五人のカヤード

 影から変貌した八体は皆、顔は一つ目の水牛、体は異常に発達した筋肉を纏った人間の姿、手には黒い手袋越しに長い槍を持ち、足にはブーツ、腰には革の腰巻きを巻いていた。



 ヒドゥンの中でも上位に位置する実力を持つ『ミノタウロス』。

一体相手に四、五人のクルセイダーが小隊を組んで、ようやく倒せる強者だ。



「少し数が多いな……」



 カヤードは腰を落とし、闘気とカルマニクスを瞬時に練り上げる。



 それと同時に八体のミノタウロスは槍の先をカヤードに向けながら、縦一列になって一斉に突進して来た。



 『車懸』と呼ばれる戦法で、次々と敵が襲い掛かかり、相手を休ませない古典的な戦法であるが、ヒドゥンが繰り出すのは非常に稀である。



「車懸……知能の低いヒドゥンが統制の必要な戦法を使うとは!!」



 ネオはカヤードの後ろから興味深そうにミノタウロス達を凝視している。



「騒ぎ過ぎだ。ヒドゥンの中でも集団戦術に長けた連中はいる……しかし、ネオ、君を守りながら戦うには少々無理があるな……」



 カヤードは若干顔を曇らせ、ネオにそうに言い放った。



「いや、頼みまよカヤード! 貴方以外、連中に勝てる者はここに居ないんですから!」



 冷や汗混じりに狼狽するネオ。さすがの天才も、この危機的状況には冷静さを保て無い様子だ。



「仕方ない、じゃあ『近寄る』前に一掃するまでだ!」



カヤードは一瞬、双眸を閉ざし、思案に耽る。



(白鳳破は祠ごと森を破壊しかね無い……ならば……アレか!)



 刮目したカヤードの眉間が煌めく!



 それと同時にカルマニクスがカルマの器内で爆発する!!



「幻影一刀流・奥義!!」



 カヤードの発した声に呼応し、カヤードの影が一瞬で四つに分裂する。


 その間もミノタウロス達は強烈な勢いでこちらに向かって来る!



 距離にして十メートル。



 カヤードの影たちは、物の二、三秒で実体化すると、カヤードそっくりの容姿に変貌していた。



「えっ!? カヤードが五人!?」



 それを凝視していたネオは思わず驚愕の表情を浮かべる。



 それはそうだろう、ネオの視界には五人のカヤードが映っているのだ。

錯覚かと我が目を疑った。



 しかし、錯覚ではなかった。



「よし、一人当たり二体弱だ!余裕だな!!」



 カヤードの一人がそう言い放つと、残りのカヤードたちは黙って頷き、瞬時にミノタウロスの群れに突進して行った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ