2.気になる人
「はぁ!?中学から?なぁ気になる人って誰だよ〜」
颯真が机に寝そべりながら優弥の顔を覗き込む
「おしえねぇよ、まだ一回同じクラスになっただけだし、関わりがないんだよ」
優弥が颯真の頭を押し返す
「あーあ、せっかく恋愛相談乗ってやろうと思ったのに」
颯真は前を向き伸びをする
授業が終わり、優弥と颯真は部活見学に来ていた
バスケ、サッカー、野球...
いろんな部活を見て優弥が興味を持ったのはテニス部だった
「俺、テニス部に入ろうかなって思うんだけど颯真はどうすんの?」
颯真は顔をしかめて言った
「いやぁ、優弥がテニスはいるんだったらなぁ、でもなぁ...」
頭を抱えながら悩んでる姿を見て優弥は少し呆れていた
「颯真が好きなの入れば?」
「いやぁ、やっぱ俺テニス部はいるわ!」
笑顔で優弥の方を向く颯真をみて少し笑っていた
二人は入部届を出して下校していた
数日後、二人は部活へ行き先輩達に挨拶していた
「神里優弥です、よろしくお願いします」
「上田颯真です!お願いします!」
テニス部は2.3年含めて15人、男子8人、女子7人いた
部長と副部長が前にでてきて自己紹介をした
「ソフトテニス部部長の菅亮平だ、よろしくな」
「副部長の高崎麗奈です、よろしくね」
男女混合で活動しているこの[空凪高校]では県で5本の指にはいる強豪校だった
「とりあえず1年生はラリーして、来週あたりからちゃんと練習始めるから」
そう言い菅はコートに入っていった、優弥と颯真は同じコートに隣同士で入っていた
颯真はラリーをしながら少し優弥の方に近づき話し始める
「なぁ、お前の好きな人教えてくんない?」
ニヤニヤしながら聞く顔を見て、優弥は別の方向をじっとみながら言った
「べつにただ気になる人なだけだから、好きってわけじゃ」
優弥が顔を向けている先には愛衣がいた
それを見て颯真はなにかに気づいたような顔をして「もしかして...」と声を漏らした
それに気づいた優弥は動揺してボールを天高く飛ばしてしまった
「あ゙っ!!」
慌ててボールを取りに行く優弥を見て、颯真の予想は確信に変わっていた
次の日の登校中、颯真は思い切って聞いた
「優弥の好きな人って、もしかして白川さん?」
優弥は一瞬フリーズしてから動揺しながら「ち、ちがうよ!」と弁明していた
颯真は笑いながら
「絶対そうやん、お前反応わかりやすすぎ」
「うっ...誰にも言うなよ」
下を向く姿を見て颯真は少し驚いていた
「大丈夫、誰にも言わないよ」
その言葉を聞き優弥はホッとしていた
すると後ろで聞いていた一人の生徒がひっそりと呟いた
「へー、神里は白川のことが好きなんだー、いいこと聞いた!」