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膳上史話  作者: ゆきやまイマ/鶏林書笈
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回遊魚

 夕食の膳に民魚湯がのっていた。

「ああ、もうこの時季なのか」

 巽庵はこう呟きながら匙で汁をすくい口に運んだ。

 民魚湯は夏の滋養食である。暑さで弱った身体に活力を与えてくれる。

 箸で魚の切身を取り上げた。この魚〜民魚は夏になると、ここ黒山島にやって来て秋の訪れと共に去って行く回遊魚だ。時々、自身も回遊魚になれたらと思うことがある。

 回遊魚になったら、まず弟のいる康津に行こう、それから都にいる家族のもとへ、その後は各地の友人知人を訪ねよう。たとえ声を掛けられなくてもその姿さえ見られれば満足だ。

 子供じみた考えに我ながら笑ってしまった。

 民魚湯は美味だった。これで暑さも乗り切れそうだ。


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