【第一部完結記念一気読みVol.1】青のキャンパスの向こうから〜ちょっとズレてる大学青春白書〜
某大学に通う3人のお話。
話が噛み合っているの、噛み合っていないのか。
仲が良いのか、良くないのか。
3人の会話が絡み合ってなんとも言えない1日が今日も始まる。
「#1 クリスマスに恋人は必要か?」
授業が終わった教室内で話していたテンドウとドッチにメガネが走って近づき話しかける
メガネ:彼女が欲しいんだよー!
テンドウとドッチが顔を見合わせて、少し沈黙。
テンドウ:オレ達が付き合うって話をしてたら、お前最悪のタイミングと内容だぞ。
メガネ:付き合う気ないんだからいいじゃないかー!
ドッチ:で、なんでメガネはそんな事になったの?
メガネ:もうすぐクリスマスだろ。毎年毎年、外を歩けば幸せそうな恋人達ばっかり。もう見飽きたよ!オレも見下す側になりたいんだよ!
ドッチ:見下すってどんな理由?そもそも、歩いてる人たちは見下してないと思うけど。
テンドウ:まぁ、メガネの事だ。彼女の目星があるんだろ?
メガネ:さすがテンドウ…よくぞ聞いてくれた。もちろんデートに誘いたい相手がいるのさ。君達と違う教室になる英語の授業。そこで、英会話の練習をペアでしている、ポニーちゃんだ!ドッチ:接点少な。テンドウ:メガネの事だ。勝算はあるんだろ?メガネ:さすがテンドウ。もちろん、僕の妄想の中では既に彼女さ!
ドッチ:ポニーちゃん、今頃寒気してるな。
メガネ:しかし妄想。念には念をいれて、確実にポニーちゃんと付き合う為に、テンドウとドッチに力を貸して欲しいんだ。
テンドウ:で、何をして欲しいんだ?
メガネ:デートプランはどうすればいい?
ドッチ:デートはオッケー前提なんかい!
テンドウ:まぁ、これから暇だったし、付き合ってやるか。今、当日待ち合わせで集まった様なもんだから、昼飯を想定してみるか。オレに考えがある。
○ンタッキーに移動
ドッチ:クリスマスにここは正解だけど、デートは間違いじゃない?
テンドウ:夜はアウトだが、昼はオッケーだ。
メガネ:オッケーな理由は?
テンドウ:クリスマスの食べ物としてわかりやすい。そして、あえてのチョイスにより恋人達がすくなく、結果見下せる。
メガネ:なるほど、それいいね。で、メニューは何がいいかな?
テンドウ:メガネは骨付きチキン一択だ。
ドッチ:チキンオンリー!?なんで?
テンドウ:今の世の中、男らしさ、女らしさという表現はどうなんだ?という話があるが、女性は潜在的に男に男らしさはあって欲しい!と思っている筈。そこで、無骨にチキン一択、食べる様もワイルド感が感じられるだろ。
ドッチ:チキンで男らしさは感じないけどな。
メガネ:なるほど、一理ありだね。これは男にしかわからないのさ。
注文し、商品を受け取って席に座る
テンドウ:メガネ、さぁ食べてみろ。
メガネがチキンを食べる
テンドウ:メガネ、舐めてるのか!クリスマスだぞ。男のオレが男らしさを感じるくらいの男らしさが必要だぞ。もっとワイルドに喰らいつけ!
メガネがチキンにかぶり付き、引きちぎる。
ドッチ:……食べ方汚な。
テンドウ:オレにできるのはここまでだな。ここからは女性の意見を聞いた方がいいと思う。ドッチがクリスマスにデートするならどこ?
ドッチ:あんまわかんないけど、一緒に気になるお店行ったり映画とか、夜は夜景見てとかなのかなぁ……その娘の好みがあるし、聞いた方が早いんじゃない?
テンドウ:なるほど、メガネ、ポニーちゃんに直接聞いた方が良いぞ。
メガネ:なんか相談して、いける気がしてきた。ありがとう!
ドッチ:今日にいける内容一個も無いけど……
授業が終わった教室内で話していたテンドウとドッチにメガネが歩いて近づき話しかける
メガネ:やっぱ現実は厳しいわ。英語で誘うのなんて難しくて、できなかったよ。
ドッチ:いや、日本語で誘えよ。
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「#2 延滞料金ってなんか怖い」
テンドウが額に手を当て、俯いて座っている
メガネ:どうした、テンドウ?何か悩みでもあんのか?
テンドウ:メガネか…よくわかったな、エスパーかお前は。
メガネ:このメガネにかかればなんでもスケスケだぜ!
ドッチ:なんか、キモいワードが聞こえた。
ドッチが歩いて近づきながら話す
メガネ:テンドウが悩みがあるんだって。
ドッチ:ふーん、どうしたの?
テンドウ:……DVD返し忘れた……
ドッチ:……そんなに落ち込む事?
メガネ:さては、エロDVDを借りて、延滞して、延滞料金を店員さんに払うのが恥ずかしいんだろ。わかる、わかるぞ、でも中学生じゃないんだぜ、オレ達。大学生なんだから大丈夫、気にすんな。
メガネがテンドウの肩に手を添える
テンドウ:違う!
テンドウがメガネの手を払い、2人は呆然とする
テンドウ:約束を守れないのは人としてどうなんだろう。
ドッチ:……えっ
テンドウ:こんな簡単な約束すらも守れない、オレはクズだ。
メガネ:そんな事ない。延滞料金があるという事は返却期限を守れない人が大勢いるという事だ。そんなに思い詰めるほど重い罪じゃない!それに、お店には延滞料金を支払うじゃないか。これは、約束を守れなかったという罪に対して、お金を支払うという罰だ。お店としてお金で清算する事を望んでいるのだから、被害を受けた方も納得してる筈だ。むしろ延滞料金で儲かっている節がある!延滞料金が借りる値段に対して高くないか!設定おかしいだろ!!確信犯だろ!!
ドッチ:メガネ落ち着け。店側への文句になってる。あと、興奮してメガネズレてる。
メガネがメガネを恥じらって直す
ドッチ:メガネの言ってる事はアレな部分もあるけど、延滞料金を払えば問題ないじゃない。どのくらい延滞したのさ?
テンドウ:10日だ。しかも、まだ見てない。
ドッチ:10日ー!?
メガネ:まだ見てないー!?
ドッチ:いやいや、見てない方より10日だろ!なんで?期限の次の日とかに店から連絡とか来ないの?
テンドウ:今思えばあった。でも、ほら、オレは知らない番号は出ないから。
ドッチ:いやいや、自分ルール言われても言い訳になんないでしょ。……で、いくらな訳、延滞金……
しばらく沈黙
テンドウ:いくらだと思う?
ドッチ:いやいや、年齢当てみたいなノリいらないから。
テンドウ:……3.000円。
ドッチ:……DVDの延滞額としては、まぁ、アレだけど。払うしかないっしょ。
テンドウ:どのツラして延滞料金払えばいんだよ。店員さんの「あっ」って顔が目に浮かぶんだ。そして申し訳なそうに「3,000円になります」って言われて、それ以上に申し訳なさをオレは出せるのだろうか?少し沈黙メガネ:どうせなら見てから返したら?DVDだって見られた方が喜ぶだろ。
ドッチ:見られた方がって何。まぁ、料金変わらないんだったら見てからでも良いんじゃない。何借りたの?
テンドウ:トトロだよ。
ドッチ:メイちゃんみたいに言うなや!
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「#3 学食のメニューはまるで占い」
3人が学食の前で列に並ぶ
メガネ:いつも思うんだけど、学食のメニューを選ぶ時いつも同じモノを頼んでしまうんだけど。他のを頼んでみたいけど、ハズレそうで一歩踏み出せないんだよなぁ。
テンドウ:オレは考えるのが面倒だから、いつも一択だぞ。
ドッチ:一択でよく飽きずにいられるね。まぁ、メガネの言ってる事はわかるよ。確かに好みじゃなかったらショックだし、これどうする?みたい状態だよね。
メガネ:……今日オレは一歩踏み出すぞ。
ドッチ:どうした、急に。何きっかけ?
メガネ:オレは物心ついた時からメガネをかけていた。メガネはもうオレの体の一部といってもいい。しかしだ、オレがモテないのはメガネがあるからだ!メガネがあるからオタクの様に見られんだ。だから……コンタクトだ。オレはコンタクトにしてメガネを卒業する。
ドッチ:メガネに全責任を取らせるなよ。あと、学食と何が関係あるのさ?
メガネ:未開拓のメニュー、それは未知なる挑戦。失敗する可能性がある。いや、むしろ失敗する可能性が高い。ここを乗り越えたら、その勢いで脱メガネも成功する気がするんだ。
テンドウ:一理あるな。オレもDVD返す為にチャレンジするか。
ドッチ:まだ返してないんかい!それはご飯食べずにでも返しなよ!
メガネ:さて、運命を変える大勝負だ。ハイリスク、ハイリターンでいこうじゃないか。味の想像がつかない、人生で今まで食べた事がないメニューに今日は手を出す。
ドッチ:そんな珍しいメニューなんか学食にあんの?
メガネ:……ドライカレーだ。
ドッチ:ドライカレーって何?確かによくわかんない。カレーピラフみたいな物?
メガネ:カレーピラフだったら、カレーピラフと書くだろ。ドライカレー、それは別物の筈。カレーはウェット。ウェットなカレーがドライ。未知なる食べ物で人生で出会った事が無い。
テンドウ:オレは学食でカレーを毎日食べてるが、確かにドライカレーに気付かなかった。何者だ。
メガネ:ふふふ、それは会うまでのお楽しみさ。いざ、ドライカレー、勝負!あっ、ドライカレーくださーい。
先に席に座って俯いているメガネにテンドウとドッチが合流
ドッチ:これがドライカレー?…なんか想像してたのと違う。
テンドウ:確かに。キーマカレーの固まりの様な。初めましてだな。
メガネ:2人とも困惑してるようだけど、1番困惑してるのはオレだよー!!何これ、何なのー!!ドライじゃない、もう既にウェットじゃん!!
ドッチ:これは困惑するわ。
テンドウ:オレのカレーの方が美味そうだ、負け戦かもしれんな。
メガネ:負け言うなよ…そうだ、見た目で判断してはダメだ。重要なのは見た目ではなく、中身。
ドッチ:重要なのは見た目じゃないってわかるけど、この流れは既にコンタクト失敗しそうじゃない?
メガネが一口食べるのを見守るテンドウとドッチ
メガネ:…やっぱりドライじゃない。
ドッチ:いやいや、味の感想わい。
メガネ:普通のカレーの方がうまい。オレはやっぱり一生メガネのままなのか……
テンドウがドライカレーを一口食べる
テンドウ:オレはうまいと思うぞ。カレーといっても色んなカレーがあるからな。メガネも色々なメガネがあるじゃないか。メガネの種類を変えたら印象も変わるんじゃないか?
メガネ:確かに、オレはこのメガネと一生付き合うわけじゃない。これから色んなメガネと付き合っていくんだ。
ドッチ:メガネを彼女みたいに言うな。あと人は中身が重要だから。
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「#4 結局どこでもいいが1番困る」
授業が終わってドッチとテンドウが立ち上がる。
メガネ:2人ともこの後時間ある?
ドッチ:まぁ、あたしは今日平気だけど、テンドウは?
テンドウ:オレも特に用事はない。
メガネ:じゃあさぁ、3人でどっか遊びに行こうぜ。
ドッチ:どっかって、どこ?メガネ:えっ……決めて無いけど。
ドッチ:言い出したんだからメガネが決めなよ。
メガネ:えっ……、ドッチはどっか行きたいとこないの?
ドッチ:うーん、今は思い浮かばないなぁ、どこでもいいよ、合わせる。
メガネ:テンドウはどっか行きたいとこある?
テンドウ:ないな、どこでもいい、任せる。
メガネが困り、震える
メガネ:どこでもいいってなにさー!全く興味ないわけ?全く考えてないじゃん、テンドウに関しては脳までいってない、脊髄反射じゃん!
テンドウ:メガネ、落ち着け、あとメガネズレてる。
メガネがメガネを恥じらって直す
テンドウ:提案した人がまず候補を提示する。何も興味がないわけじゃない。まずはメガネの意思を尊重したいから反射しただけだ。なぁ、ドッチ?
ドッチ:あ、あぁ……
メガネ:そうなのか、まぁ、それならいいけど。じゃあ、アレだ……カラオケだ、カラオケに行こう!こう、スカッとした気分になりたい。
テンドウ:カラオケはないな。
メガネ:なんでだよ!どこでもいいって、尊重したいって言ってたじゃないか!しかも、また脊髄反射じゃないか!考えたのか?もう、言う前に決まってたスピードだぞ。
テンドウ:どこでもいいっていうのは、100%じゃない。天気予報とおなじだ。100%の降水確率でも雨降って無い場所だってあるだろう。
メガネ:じゃあ、どこでもって言うなよー。上げて下がられるのが1番堪えるんだからな!じゃあ、どこか行きたいとこあんのかよ?
テンドウ:ない。任せる。
メガネ:行き先に意見するんだったら、別案提案しろよ!任せるなよ、こっちはもうボロボロで代案なんて出せる状況じゃないんだよ。
ドッチ:まぁ、まぁ、メガネ落ち着け、メガネズレてるよ。
メガネがメガネを恥じらって直す
ドッチ:まぁ、確かに今のはテンドウが悪いよ。メガネの言う通り、どこでもいいんだったら行くべきだし、違うんだったら他に行きたい所出してあげなきゃだめっしょ。
テンドウ:そうか、ごめんな、メガネ。今度こそどこでもいいぞ、メガネの行きたい所を行ってくれ。そこに今日は行こう。
メガネ:そうか…じゃあ、メイド喫茶。
ドッチ:あ、ごめん、それは無いわ。
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「#5 電車の乗り換えはまるでパズル」
テンドウが頭を抱えて座っている所にドッチとメガネが合流。
メガネ:テンドウ、どうした?またDVD借りたのか?
テンドウ:違う、今日はもう疲れた、帰りたい気持ちが満載だが、帰りたくない。
ドッチ:朝一から言ってる事が意味わかんない、何、今別れでも告げられた人の心境?
テンドウ:今日suicaを家に忘れたんだ。取りに帰る時間が無かったから、切符を買えばいいやと駅に向かったんだが、どの切符を買えばいいのか、もうワケがわからん。時間が無いからとりあえず買ったものの、改札でピンポーン鳴って、サラリーマンに死ぬほど睨まれたぞ。
ドッチ:確かに、乗り換えが何回かあったら自力で切符買うのは無理だね。
テンドウ:suicaが無かった時代の人はこの難問をどう乗り越えていたんだ?オレは、もう、帰りに電車に乗る気にならない。
メガネ:suicaもう1枚買ったら?
テンドウ:確かに、それであれば帰りは楽に帰れる。でも、帰った後suica2枚だぞ。いらないだろsuica2枚。
ドッチ:使わなくなったsuicaは返却できるよ。
テンドウ:そうなのか……朝買えば良かった、suica。
メガネ:でも、さっきの話でさ、suicaがない時代はホントどうしてたんだろうね。まぁ、定期は今と変わんないかもしれないけど、普通に乗る時の切符買うの想像しただけで怖い。
テンドウ:毎回改札で止められるだろうな。
ドッチ:改札機が無かった時もあるらしいよ。その時は駅員さんが切符を確認していたみたい。
テンドウ:駅員さんが、確認。複雑で切符すら買えないオレがいるのに、それをどうやって確認していたんだ?
メガネ:確かに。そんなにまじまじと見る時間なんてきっと無いよなー。切符に経由する駅名が書いてあるとか?
ドッチ:それだと経由する駅が多いと文字がめっちゃ細かくなるか、切符がめっちゃ大きくなりそう。
テンドウ:いずれにしても、昔の駅員さんはとんでもないな。ずっと目が血走ってたんじゃないか?
ドッチ:切符で気になる事があってさ、改札機に入れて出てきた時にジャンプする時ない?
テンドウ:ないな。
メガネ:ないね。
ドッチ:ないの?私だけ?
メガネ:子供じゃないんだから、そんな嘘でオレ達が喜ぶと思うかい?
ドッチ:嘘じゃないし、そもそも喜ばせようと思ってないし。
テンドウ:切符が飛ぶのか……見てみたいな!
ドッチ:1人ちょっと喜んでるじゃん。いやいや、全部飛ぶわけじゃないから。私も今までに1回しか見たこと無いし。
テンドウ:しかし、もう1回切符を買うのはハードルが高い。しかし、飛ぶのは見たい。
ドッチ:いやいや、切符買えば飛ぶみたいになってるけど、1回しか見たこと無いんだって。
テンドウ:じゃあ、飛ばないのか……?
ドッチ:うーん、どうだろう、ほとんど飛ばないと思うから見るのは難しいって事だよ。
メガネ:切符とかって、ダメってわかってるけど、折っちゃったりするよね。そーいう、異常で飛び出したりするんじゃない?
ドッチ:改札機に詰まるリスク高いでしょ。詰まったらピンポンって改札機に止められるよりもプレッシャー凄いことになるよ。
テンドウ:あー、あれは嫌だな。じゃあ、どうすれば切符が飛ぶのを見られるんだ。
3人が悩む
ドッチ:ググったら、切符が飛び出しやすい駅があった!こんなトコあんの!?
テンドウ:そこだ!そこに早く行くぞ!
ドッチ:これから授業だから。あと、切符買うの凄い難しいよ。
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「#6 バイトで得られるのはお金だけじゃない」
授業終わりで3人が荷物を鞄に入れている時にメガネが話出す。
メガネ:今日どこか行かない?
テンドウ:すまん、今日はバイトだ。
ドッチ:私も。
メガネ:そっか……オレもバイトやろうかな?
ドッチ:なんか欲しい物でもあるの?
メガネ:あんま無いなぁ、メガネくらいかな。
ドッチ:前コンタクトにするとか言ってたのにメガネがまだ欲しいんだ。
テンドウ:どんなバイトをするつもりなんだ?
メガネ:話聞いてた!?今バイトをしようか考えてたから、何をするかまでなんて全然到達してないから。バイト経験者から聞いてみたいから、何かお薦めとかはあったりする?
テンドウ:オレが過去やったバイトで鶏肉の手羽元をパックに詰める仕事があったけど、向きを交互にしてパズルの様に置いていくんだ。あれは集中力が高まったな。
メガネ:え、お勧め聞いてるんだけど。なんか、修行的な目線なの、バイトって?
ドッチ:私はやった事ないけど、リゾートバイトってなんか良さそうだよね。
メガネ:何それ、いい響き。
ドッチ:夏休み、冬休みみたいな長い休みの間、観光地とかスキー場とかに住み込みで働くみたいだよ。
メガネ:スキー場、メガネ曇りそうだけど、なんかいい事がありそうな雰囲気を感じる。
ドッチ:遊びに行くわけじゃないからその場所にそんなに期待するのはどうかと思うけど、休みの日とかは遊べるかもね。
テンドウ:確かに、働きながら技術の習得にはもってこいの環境だな。
メガネ:技術の習得はオレのバイト項目には入ってないんだよ!普段やる様なバイトでドッチはお勧めないの?
ドッチ:うーん、お勧めって言ってもなぁ。学生でやれる仕事って接客業か工場勤務か引越しとかの肉体労働なイメージなんだけど、メガネってどれも働いてるイメージが湧かないんだよね。
メガネ:えっ?どういう事?
ドッチ:接客はなんか客に対して文句言ったりしそうじゃない?
テンドウ:確かに文句言うな。
ドッチ:工場勤務みたいな単純作業はやってるうちに「この仕事は何の意味があるんだ」とか言って辞めちゃいそう。
テンドウ:確かに辞めるな。
ドッチ:肉体労働はメガネ運動苦手そうじゃない?
テンドウ:確かに苦手だな。
プルプル震えているメガネの肩にテンドウが手をのせる
テンドウ:今のメガネのままでいいじゃないか。
メガネがテンドウの手を払いのける
メガネ:2人して酷いなー!オレが社会不適合者みたいじゃないか!大学卒業したらオレには道が閉ざされてるのか?そんな状態でこれからの大学生活のモチベーションをどう保てばいいんだよ。
ドッチ:ごめん、ごめん、想像で言い過ぎたよ。実際やってみないとわかんないからさ。まずは自分の好きな事の延長でバイト先を探してみたら?
テンドウ:メガネ屋とかどうだ?
メガネ:確かに。メガネ屋って、メガネかけてる事が一次審査の様な気がするから、いけそう!って、真面目に考えてよ!
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「#7 居酒屋料理は喉が砂漠」
3人で学食を食べている
テンドウ:昨日の夜、駅に人が倒れていたんだ。
ドッチ:えっ、めちゃくちゃ大変な事態じゃん。
テンドウ:なんか周りの人がスルーしていて通り道だから近くを通って様子を見てみたんだ。そしたら、酔っ払いが寝てただけだった。
ドッチ:なんだよ、心配して損したわ、そんなヤツは風邪をひいてしまえ。
テンドウ:その人を見てて思ったんだ。「オレ、こんなに酔った事ないな」ってね。
ドッチ:ん、どういう事?
メガネ:ふーん、オレはわかったぞ。さてはテンドウ最近嫌な事でもあったんだな。それで、「オレもこんな人みたいにお酒を飲んで、嫌な事を忘れたい」なんて思ってるんだろ?
テンドウ:いや、嫌な事は別にない。
メガネ:…飲みたい気分になったよ。
テンドウ:単純に自分が酔っ払ったらどうなるか興味があるんだ。前にもめちゃくちゃ酔っ払ってる人を見た事があるだけど、両サイドで人の肩を借りてたけど全く歩けてなくて、例えるならゼリーのようだった。
ドッチ:人がゼリーになったらめっちゃ重そうだなー。絶対抱える側にはなりたくない。
テンドウ:オレはゼリー派なのかどうか試してみたい!
ドッチ:ゼリーになったら抱える側だから私はヤダ。
テンドウ:メガネ…
メガネ:オレはお前のおかげで飲みたい気分だぞ。
テンドウ:よし、今日酔っ払ったらどうなるか試してみるぞ!
ドッチ:どうなったかは興味あるから、明日教えてねー。
テンドウとメガネが居酒屋へ移動
テンドウ:まずは一杯目だ、どうする、メガネ?
メガネ:今日は酔っ払う事が目的だからな、アルコール度数が高いお酒からいってみるか!
テンドウ:ダメだぞ、メガネ。急性アルコール中毒になったらどうするんだ、しっかり飲める土壌を作るべきじゃないか?まずは空っぽの胃をしっかり埋めて、そこからが勝負だ。
メガネ:これから酔っ払う前提なのに、身体に気を使うなんて真面目だな。まぁ、一理あるか。じゃあ、テンドウは何がお勧めなんだ?
テンドウ:そうだな、まずは空きっ腹には米だろ。この海鮮丼を食べよう。後は揚げ物で唐揚げとフライドポテトは外せないな。餃子も欲しいな。卵焼きもいいな。
メガネ:おいおい、めちゃめちゃ食うな。で、何飲むんだ?
テンドウ:言ったろ?まずは土壌作りだ。その為にはしっかり食べる。そこに酒は邪魔だ!ウーロン茶だな。
メガネ:おい、普通に飯食ってるだけじゃん。それじゃ、牛丼とか食ってから居酒屋でも良かったんじゃないか?
テンドウ:それも一理ある。しかし、今日は飲むと決めた。準備が整ったら直ぐに飲みたいじゃないか!
メガネ:そうか、じゃあ、オレも酒は後に取っておくか。
黙々と食べる2人
テンドウ:もうウーロン茶がないな、おかわりで。メガネも飲むか?
メガネ:確かにやたらと飲み物飲みたくなるな、お願い。
黙々と食べて飲む2人。
テンドウ:よし、舞台は整った。早速酒を飲むか!
メガネ:なんか、お腹いっぱいになって飲みたいっていうよりも、眠い。後、ウーロン茶もたくさん飲んだから、なんか飲み物ももういいというか。
テンドウ:そうか……実はオレも同じ気持ちだ。居酒屋料理は美味いな!
メガネ:そうだな、なんかきた料理を直ぐに、真剣に食べると美味いのな。
テンドウ:最後にゼリー食っとくか?
メガネ:よくわからないけど、なんか今日のことが報われる気がする。
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「#8 近くだから良いって事もない」
授業終わりにドッチが2人に話しかける
ドッチ:もし一人暮らしするならさぁ、学校の近くに住みたい?
メガネ:そりゃあ、住みたいね!電車に乗るのはストレスなんだよ。小さい時から満員電車に揉まれる毎日…メガネが潰されない様にメガネを外して待った手を上に伸ばしてたっけ…泣ける。
ドッチ:大人の隙間からメガネだけ飛び出てるみたいな状態?何それ、ウケるね。
メガネ:ウケないよ!やってる本人は大変なんだぞ。朝のサラリーマンは殺気だって子供でも容赦ないんだから。何度圧迫感と匂いで失神しかけたか、頑張った、オレ。
ドッチ:まぁ、確かに子供に満員電車は酷だよね。今もそんなにキツイの?
メガネ:夏場なんかは悲鳴ものだね。ワイシャツ1枚で汗だくのおじさんと密着だそ!オレはなんかの罪を犯したのかよ!なんの仕打ちだよ毎日毎日!
ドッチ:乗る車両変えたらいいんじゃない?
メガネ:変えても同じ様なおじさんが出没するんだよ。もうオレは諦めたよ……
ドッチ:なんか悟りの領域に行ってしまったな。テンドウはどうなの?
テンドウ:オレは適度に離れている方がいいかな。
ドッチ:通学するの面倒じゃないの?
テンドウ:面倒は面倒なんだが、学校が近くだと気分がリセットされない気がする。電車に乗ってる時間で学生気分が切り替わる感じだな。
ドッチ:学生気分って、学生じゃん!切り替える必要あんの?
テンドウ:あぁ、家に帰ると学生ではなく、息子であり兄だからな。
ドッチ:なんか学生がヒーロー的な立ち位置になってない?怪人倒した後に人の生活に戻る的な。
テンドウ:まぁ、ある意味勉強という名の怪物と戦っているな。
ドッチ:なんか、聞く人間違えたなぁ。
メガネ:質問して答えさせといてなんだよ。何が知りたかったんだよ?
ドッチ:メガネ現実に戻ってきたんか。来年弟が大学に通うんだけど、一人暮らししたいらしくてさぁ、色んな人の話聞いてみようかな、と思って。なんか学校の近くは溜まり場になりそうだから嫌だとか言っててさ、近い方が楽だと思うんだけどねー。
メガネ:溜まり場って、友達たくさんできる前提じゃないか……なんて贅沢な悩みなんだよ。
テンドウ:友達は仲のいい友達が1人って言う可能性もあるからな、そんな事考える必要は無いんじゃないか?だいたい、鍵があるんだから勝手に溜まり場にされる事はないだろ?
ドッチ:確かに鍵があるから入る人を選べばいいじゃんね。
メガネ:因みに弟君はどこの大学に通うんだ?
ドッチ:北海道。
メガネ:そもそも聞く人オレ達じゃダメでしょ。オレ達関東で実家暮らしよ。
ドッチ:私北海道出身で一人暮らししてるけど、よくわかんないよ。
メガネ:じゃあ、弟君は地元じゃん。実家から通えばいいじゃん!
ドッチ:北海道の広さなめんなよ。
メガネ:……なんかすいません。
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「#9 年齢差って大人になっていくとよくわからない」
3人が校内を歩きながら話す
メガネ:大学に入って思ったんだけど、年齢の序列って良くわからないなぁって。
ドッチ:どういう事?
メガネ:オレたちは2年で、3年は一個上だから先輩って事で話す言葉を変えるだろ?でもさ、同じ2年に浪人して年上の人いて、その人と話す時は話し方変えないよね?同年代の扱いでしょ?
ドッチ:確かにそうね。
メガネ:その浪人した人は同年代の人達に敬語を使う訳じゃない?本当の年齢無視かよ、って思うんだよね。
ドッチ:まぁ、基本は同じ学年は同年齢っていう前提だからわざわざ年齢聞いたりしないよね。聞いて年上だったら、なんか変な感じになりそうだし。
メガネ:大学だと浪人って多いと思うから、意外に年上でした、っていると思うんだよね。テンドウなんかは体育会系だったんだろ?
テンドウ:あぁ、そうだな。
メガネ:今まで一個下だった奴が同年代になってタメ口になったら嫌だよな?
テンドウ:あぁ、嫌だな。
メガネ:なんか、言葉が重いな……まさか、テンドウ……
テンドウ:……
ドッチ:えっ、嘘でしょ……
テンドウ:浪人してないぞ。
メガネ:何だよ!思わせぶりな間をとるなよ!てっきり今更年上どうすりゃいいんだ、が頭をよぎったよ!
テンドウ:すまん、すまん。考えごとをしていてな。
メガネ:何を考えてたの?
テンドウ:今まで同学年と見てたけど、4月生まれと翌年の3月生まれが同学年っておかしくないか?ほぼ1歳差だろ?
メガネ:まぁ、確かに。でもどこで区切っても必ずその差はできてしまうだろ?そこはしょうがないんじゃないか?
テンドウ:しかし、1日差で学年が違って、先輩風を吹かせられるのは納得いかん。
ドッチ:確かに、ほぼ1歳差だもんね。小さい時は体格差とかがわかりやすいけど、私たち位の歳になったらほぼ差なんてわからないから、あんまり気にならないんじゃない?
テンドウ:ドッチは何月生まれだ?
ドッチ:私は6月だよ。
テンドウ:メガネは?
メガネ:3月だよ。確かに小さい時は何か周りがデカく見えたなぁ。何をするにも自分が遅れてる感じがして、苦労した記憶があるよ。
テンドウ:オレは4月生まれだ。という事は、メガネ、一歳差だな。
メガネ:……えっ、何だよ。テンドウ:オレはさっき言ったが、1歳差が同学年なのはおかしいと思ってる。ましてや、メガネ、お前は3月生まれだ。もう丸々1歳差だろ。
メガネ:おいおい……今更それ言うのかよ。
テンドウ:だが、実際こうやって今まで話して共に過ごしていると、実際の年齢なんてあまり関係がないって事を実感したよ。今まで通りこれからも宜しくな、メガネ。
メガネ:おぉ、テンドウ、なんか嬉しいよ。
テンドウ:……メガネ、テンドウじゃなくて、テンドウさん、だからな。
メガネ:今まで通りじゃないじゃないか!めちゃくちゃ歳の差意識してる!
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「#10 勉強のモチベーションはどこへ行った?」
授業が始まる前にメガネが呟く
メガネ:なんの為に勉強しているんだ……
ドッチ:メガネの悩みにしてはまともだな。
メガネ:大学に入るまでは進学の為に勉強していた。大学に入った後になったら何を目指して勉強すればいいんだ?
ドッチ:就職する為とかでいいんじゃない?
メガネ:就職するのであれば大学は卒業するだけでいいだろう?特に内申点の様なものはなくて、出身校とどんな事を専攻してたのか?みたいなざっくりした事で評価されるんだろう?その他は資格だったり、学生で企業してる奴がもてはやされたり…何をモチベーションにこの必修になってる中国語を勉強すりゃいいのよ!しかも発音難しいんだよ!
テンドウ:確かに発音難しいな。「ア」と「エ」の中間の発音と言われてもよくわからん。
メガネ:発音の方に食いつくなよ!発音の愚痴はオマケなんだよ。
ドッチ:まぁ、確かに首席で卒業とかだったら別だけど、それ以外は出身校で判断材料にされてしまうかもなぁ。それだったら単位が取れる、卒業できる程度で頑張るのがいい、と思ってしまうかもね。
メガネ:そうだろ?中国語も勉強してペラペラに喋れる様になるなら勉強に身が入るけど、高校までの英語の事を考えたらとてもそうは思えないから余計やる気がでないんだよ。
ドッチ:それは確かに。
テンドウ:確かに英語は上手く話せないが、身振り手振りで単語だけでも話すと意外と伝わるもんだぞ。
ドッチ:それも確かにだけど、余計勉強が無意味に思えるよね。でも、そもそも何で大学に進学したのさ?
メガネ:大学に行きたかったから。
ドッチ:いやいや、何か勉強したい事があったとか、やりたい事があったとか、そんなんないの?
メガネ:大学生に憧れがあったんだ。なんかキラキラした世界があって、今までの自分じゃなくて新しい自分にならそうな気がして。
ドッチ:アイドルに憧れる女の子の様な理由だな。そもそもの動機がそれじゃあ、まぁ、しょうがないんじゃない?
メガネ:じゃあ、君達はどうなのさ?
ドッチ:私は心理学に興味があったからそれなりに勉強楽しいけど。関係ない中国語とかは、まぁ身が入らないのは確かね。
テンドウ:オレも政治と経済に興味があったから、専門的な内容は興味深く、今までの勉強とは違うから楽しいぞ。
メガネ:…2人ともご立派ですね。所詮、不純な動機で大学に入ったオレが悪いのさ!高校まで勉強勉強で過ごしてきて、この大学の短い4年間で羽を伸ばすくらい良いじゃないか!この大学生活が終わったら就職さ。就職したら朝通学の時に見ているサラリーマンみたいに月曜の朝からうなだれて、曇ったメガネで出社するんだ。それまでどうか虐げないでくれよ……
テンドウ:メガネ、働く事は罰ではないぞ。バイトでもしてみろ、仕事に対する見え方が少し変わるかも知れないぞ。
ドッチ:あと、大学生活は別に決まり事なんてないんだからメガネの好きな様に過ごせばいいじゃん。
メガネ:2人とも、ありがとう。中国語、単位落としそうなんだけどどうしたらいい?
テンドウ:うーん、とりあえず中華でも食いに行くか?
ドッチ:解決になってないけど、お腹すいたから食べに行こうか?
メガネ:謝謝。
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「#11 同じ言葉なのに方言は心に刺さる」
メガネが食事に手をつけずため息をつく
テンドウ:どうした、メガネでも割れたのか?
メガネ:違うよ!メガネ割れてため息ついた事なんてないから。なんで心配事がメガネに直結なのさ。
ドッチ:で、どうしたの?
メガネ:……好きな人ができたんだ。
ドッチ:ほぉー、どんな人?
メガネ:この間電車で聞きなれない言葉が聞こえてさ、なんか気になって耳に全力で集中してたんだ。できるだけ言葉を覚えて後で調べたら博多弁だったんだ。博多弁めっちゃかわいい。
ドッチ:で、どんな人なの?
メガネ:博多弁の人だよ。
ドッチ:どういう事?
メガネ:博多弁の人がいいんだよー!
ドッチ:……つまり、博多弁の人と付き合いたいと?
メガネ:……そう。
テンドウ:ただのフェチだな。
ドッチ:やっぱりただの変態だった。
メガネ:なんだよ、この軽蔑感。嘘だろ、いいじゃないか、方言。博多弁めっちゃ可愛いんだぞ。ここにあるご飯だって「食べりー」って言ってくれるだぞ。頼む、「食べりー」って言ってくれよぉ!
ドッチ:食べろよ。
メガネ:東京色に染まったねぇ、心までコンクリートジャングルかよ。はぁ、福岡女子いないかなぁ。
テンドウ:方言に魅力を感じるのはオレもわかるぞ。
メガネ:さすがテンドウ!で、どこの方言が好きなんだ?
テンドウ:関西弁だ。
メガネ:関西っ娘もいいねぇ!わかる、わかる。
テンドウ:テンポがいい。大事なのは間だが、関西弁だからこそ成立する「間」があると思う。やっぱり笑いの本場だからこそ生まれる笑いがあると思う。
メガネ:…なんかオレの好きと違わない?
ドッチ:それで言うと、津軽弁は凄いよね。もう聞いててわかんないもん。青森に住んでる海外の人がガッツリ津軽弁喋ってて、最初の日本語マスターがそこかよ!ってびっくりしたよね。
テンドウ:確かに津軽弁は凄いな。省略して表現する言葉があるし、ある意味若者文化の最新をいってるんじゃないか?
メガネ:2人ともオレの好きと違うから!あと、津軽弁が若者文化を作り上げてるわけじゃないから!どうしたら博多弁の娘と出会えるのか教えてくれー!
ドッチ:福岡に行けばいいんじゃない?
テンドウ:確かに。福岡でリゾートバイトがないか探せばいいじゃないか?出会いありそうだぞ。金も稼げて一石二鳥だな。
メガネ:…確かに。
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「#12 車の免許が無い男は失格でしょうか?」
メガネが必死に本を読んでいる
ドッチ:ねぇ、テンドウ。メガネは何をあんなに必死に読んでるの?
テンドウ:さぁ、なんだろうなぁ?本人に聞いてみたらどうだ?
ドッチ:なんかさ……無駄に鬼気迫ってて、話しかけにくくない?
テンドウ:確かに追い込まれてる感じだな。でも考えてみろ、メガネだぞ。なんかあってもドッチがビンタでもしたら意気消沈するんじゃないか?
ドッチ:あーいうのが怒ると1番ヤバいんだって。
テンドウ:じゃあ、オレが話しかけてみるか。
ドッチ:なんかさ、好きな人がいて友達に話しかけてって頼んでるみたいな感じになってない、これ?なんか嫌だから私行ってくる。
ドッチがメガネに近づく
ドッチ:何を必死に読んでるの?
メガネがチラッとドッチを見て再び本を読み始める
ドッチ:えっ……シカト?どういう事?
テンドウ:メガネ!お前、何のつもりだ!
テンドウがメガネに詰め寄る
メガネ:……オレって男失格なのかな?
ドッチとテンドウが不思議そうに顔を合わせる
テンドウ:何があったんだ?言ってみろ。
メガネ:オレ、車の免許持ってないんだ。
テンドウ:それがどうしたんだ?
メガネ:昨日の帰りの電車で聞こえたんだ。「車の運転出来ない男って有り得なくない?」という女子の声が。
ドッチ:それはメガネに言ってる訳じゃないでしょ?
メガネ:それはわかってるんだけど、運転出来ずに彼女に運転してもらって助手席に座ってる自分を想像したら情けなくてさ……
テンドウ:お前、彼女いないだろ?
メガネ:今じゃなくて、未来の話だよ!そうなる前に取っておきたいって話だよ。あと彼女がいない事ズバッと言うなよ、決まり事みたいでなんか傷つくだろ。
ドッチ:北海道だったらやっぱり車は必要だったよ、移動手段として必須感はあるよね。でも関東だったら電車で事足りない?車だと渋滞するし、車が絶対必要って感じしないけど。車が男性として必須かどうかは人によりけりじゃない?私は結構どうでも良いかな?
テンドウ:確かに関東だと電車使えば大抵の場所には行けるよな。車の渋滞を考えたら、電車の方が確実感はある。でも、車の免許は持ってた方がいいんじゃないか。一生関東にいられるのかわからないし、車は持ってなくても、カーシェアとかで十分事足りるだろう。
メガネ:因みに2人は車の免許持ってる?
テンドウ:持ってる。
ドッチ:持ってるよ。
メガネ:2人は免許を持ってるからこそ生まれる余裕があるんだよー!車はいらないとかいるとか、電車が便利かどうかについて、免許無いやつはスタート地点にすら立ててない感があるんだよ。オレに足りないのは免許だ、免許があると心に余裕がでる。心に余裕が出ると包容力が滲み出る。包容力が出るとモテる。モテると彼女が出来る。彼女が出来るとドライブにいく。ドライブに行くと……
ドッチ:妄想のドライブに行ってしまった。
テンドウ:妄想の峠攻めで事故にあうまで放っておくか。
今日もいい1日になりますように