【短編】 勇者パーティーを追放された白魔導師の異世界転移。生活魔法を駆使してあなたをお世話します。
魔導師が現実世界で活躍する話が書きたくて創りました。
よろしくお願いします。
「マシロ、君はクビだ。」
魔王城の玉座の間の前で、白魔導士のわたしは勇者、ユウトから追放を言い渡されてしまった。う勇者たちは、玉座の間へと入っていく。わたしは、一人で取り残されて、故郷に向けて転移しようと転移魔法を展開する。そうして魔法陣の中へと入るのだった。
マシロを勇者パーティーから追放したユウト達は、玉座の間へ入ると魔王は玉座に座りこちらを見下ろしていた。魔王は驚いた表情をすると不快な顔でこちらを睨みつける。
「何じゃ、お主らは?ここは我が城ぞ。不法侵入ではないか!四天王はどうした?!」
「俺たちは勇者パーティーだ!魔王、お前を倒しに来た!」とユウトが高らかに宣言する。
「四天王?ここにくる前に倒した奴らのことか?なかなか骨が折れる奴らだったな
まあ、僕の暗黒魔術の前では敵じゃなかったがな!」
グレイは片手を角度をつけて顔の前格好つけて言う。
「グレイ、お前は暴れ過ぎだ!っ痛っ...」
「あっ、ユウト怪我してるじゃない!今、ヒールをかけてあげるからね」
「助かるよ、リーシャ。ありがとう!頼りになるなー」
「い、いいのよこれくらい!」
リーシャは頼られてるのが嬉しいのかほ頬を朱色に染めて言う。
「貴様ら、勝手に我が城に足を踏み入れて...イチャついて分かっておるのか?!」
「い、イチャついてないもん!」いリーシャは抗議する。
「俺たちを葬るつもりか?俺たちもそもそも魔王と因縁の決着を付けにきたからな。!」
「分かっておるのか?我は吸血鬼のの頂点にに君臨するの魔王だ。怪我をする前に立ち去るがよい、今なら見逃してやるぞ」
(さあ、早く立ち去るがいい戦闘なんてまっぴら御免だ!)
「魔王を前にして逃げ出せるか!魔王、僕たちの因縁の決着を付けようじゃないか!」
「いや、お主とお我は初対面なんじゃが?!因縁って...」
「我がお主など、赤子の手を捻るように倒してくれよう!」立ち上がってコートを翻してそう、高らかに宣言する。
(なんて好戦的な奴らなんだ。あんな暑苦しい奴を相手にするのなんて御免じゃ。少しば身を引いてくれるじゃろ。)
「キャー!可愛い。ちびっ子魔王よ!金髪赤眼で可愛い!名前はなんて言うの?」
リーシャが魔王のちんちくりんの全身を見るや、急接近して頭をなでなでとテンションMAXで愛てかかる。
「やめろー!頭を撫でるなーどさくさに紛れて胸を触るなー!」
それで、お名前はー?」
「やめろ!猫を撫でるように顎の下をくすぐるなー!分かった、言うルナじゃ!」
「そ、よろしくねルナちゃん!」とやっとルナを解放する。
「おい魔王、なにリーシャと打ち解けてるんだ?!俺たちは宿命の敵ど同士だぞ?!!お前を倒して世界を平和にしてみせる!」
「ちょと待てぃ!コイツらウゼーーー!我は、宴を楽しみたいだけなのに!」
「魔王ちゃん宴を開いてたのーどう?楽しい?」
「うん!楽しい!じゃなかった...よくも我の宴を邪魔したな。この罪は重いぞ!」
「お主ら魔王城に殴り込みとははいい度胸じゃな。我が...う、いや何でもない」
(どうしよう、酒を飲み過ぎた、。トイレに行きたい!でも敵を前にして行かせてくれなんて言えるか!)
「ん?どうしたの?ルナちゃん」
「な、何でもないぞ。いいからお前達は早くここからさっさと立ち去るがよい!」
「ん?魔王、お前、あっきからなにステップ踏んでるんだよ」
「お、お主には...関係ないこと、じゃ...」
(ヤバイ!もう限界じゃ、漏れそう...もう、魔王としてのプライドなんて我は捨てる!)
「おい、お主。我は、トイレに行きたい。そこを退け。」
「なに言ってるんだ?魔王、これから命の奪い合いをしようというときに!」
「いいから早くそこを退いてくれー!!」
「そんなにトイレに行きたかったら俺の屍を超えてゆけ!」
「ええい!面倒くさい望み通り消し炭にしてくれようぞ!」
「極大魔法展開。ヘヴンズゲートオープン!木っ端微塵にしてくれる。...退けよ!痛いんだぞ!」ゲートから魔剣を取り出して魔剣を振るおうとするやいなや、玉座の間全体を包み込む巨大な魔法陣が展開し勇者パーティーと我は、眩い光ん赤へと消えいき、玉座の間は誰一人居ないもぬけの殻になるのだった。
***
「どこだここは?俺達は、さっきまで魔王と闘っていたはずなのに...」
俺は、辺りを見渡す。見たこともない高い建物が広がり草木も生えていない綺麗な大地が広がるばかりだった。
「ここはどこだ。俺たちはどうしてこんなところにいるんだ。
「リーシャ、グレイ!居るか?!」
辺りを見渡し二人の安否を確認しようとする。
「大丈夫よ、ここに居るよー」 「大丈夫だ!安心してくれ!」すぐ傍で二人の声が聞こえてくる。」「良かった、二人とも無事のようだ。居ないのはマシロだけか...」
「マシロは?!マシロが居ないの!!扉の前で待っていたはずなのに...」
「落ち着けリーシャ、アイツはきっと大丈夫だ!」
「今の、マシロの転移魔法だよな、マシロ自身が使ったのかもしれないな」
「じゃあ、マシロはこことは違うところに転移しただけで無事ってことよね!?」
「まあ、そうなるな。だからひとまず安心していいぞ。むしろ安心できないのは俺たちの方だな。ここ、どこだ?」と見知らぬ光景を見渡す。木の実すらないこの荒れ果てた土地で
もない。
「マシロがいれば探索魔法が使えたのに……」
「何だよ!俺がマシロを追い出したのがいけないって言いたいのか?」
「ユウト、あなたはこのパーティーでゆ唯一の優秀な生活魔法が使えるあの子を追い出したのよ。この意味分かってるわよね?」
「さあ、何のことだか?考え過ぎじゃないか?アイツは無能な魔導師だぜ?俺たち勇者パーティーには相応しくないだろ?!」
マシロが居た頃は、普通に出来ていたことができなくなり、生活面は苦しくなる一方。
勇者ユウトが自分のしてしまったことの重大さに気付くのはそう、遠くない。
***
俺の名前は、藤原零二どこにでもいる高校一年生だ。部活には所属していない。
放課後は、喫茶店でバイトして夜自宅マンションに帰ると言う生活をしている。
今日も、バイト帰りに家でくつろいでいると、突然、ベランダでガタンと物音がした。
烏でも落ちてきたか?とベランダを覗くと、一人の少女が倒れていた。
「うわぁぁぁぁ!」
どうしてこんな所に女の子が?!し、死んでる?と困惑する心を落ちつかせて脈を見るとどうやら眠っているだけみたいだ。どちらにせよ、こんな寒空の下に晒しておくおわけにもいかずにとりあえず中へ運ぶ。
ベットに寝かせて、布団で暖めて風邪を引かないようにしないと。
暖かい。いつの間にかわたしは家に帰ってきて、自宅で休んでいるのだろうか?
魔王城の玉座の前にて、これから魔王と最終決戦をしようと言う時に勇者のユウトが魔導師のわたしを勇者パーティーからの追放を言い渡す。同然と立ち尽くすわたしをを尻目に皆、玉座の間へと入っていく。取り残されたわたしは、勇者パーティーを無能だと言われ追放されたから…わたしが足手まといだったから。もう、いいよね?辛かった旅はもうおしまい。
あとは気楽にスローライフでも贈ろう。気楽に商人でもやって生計を立てて暮らすんだ。
「こっこはどこ??知らない天井だ…」わたしは、ここがどこかも分からず、自分が見知らぬベットで寝かされていることに気付き、困惑する。ふとベットの横に知らない男性が心配そうにこちらを見ていることに気付く。
「大丈夫?ベランダで倒れていたけど、空から落ちてきたの?」
「いえ、違います。」
拠点に転移したはずが、よそ様の家に転移してしまったんだ。
早くシルバーテイルに向けて転移しないと!
拠点に向けて転移したはずなのに、よそ様の家に誤って転移しちゃったんだ!
早く、シルバーテイルに向けて転移し直さないと!
「いえ、なんでもないです」くぅーっと可愛いお腹の音が聞こえる。
「お腹空いてるでしょ?菓子パンでよかったら食べる?」
「えっ?仮死パン?」
「なんですかその怪しい食べ物は!デッドフードを勧めないでください!」
「なに、その危ないパンは!お菓子のパンだよ!」
「お菓子のパン?」
「そうだよ、菓子パン知らない?甘いクリームパンやメロンの味がするメロンパンとかあるんだけど、コロッケパンや焼きそばパンの惣菜パンの方が良かった?」
「甘いパンですかー、食べて見たいです」
「わかった。クリームパンとメロンパンのどっちがいい?」
「それじゃあ、クリームパンでお願いします」
丁寧な受け応えにいい子だなと感心する。最近の若い子は初対面でも平気でタメ口で話すが、この子は礼儀がちゃんとしている。
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます。」
彼女はクリームパンを手に取ると不思議そうに眺める。
「あの、普通のパン見たいですけど……」
「パンの中にクリームが入ってるんだよ。クリームパン食べるの初めて?」
「はい、初めて食べます」
「マジか……」
今の時代、クリームパンを食べたことが無いって、金持ちのブルジョアでこんな低俗な食べ物を食べない富裕層か、クリームパンも買えない極貧の貧困層のどちらかだろう。
銀髪の少女は、小口でパンを齧って「クリームがなめらかで優しい甘さで美味しいです。こ
んなパン、食べたことが無いです!」と喜ぶ。
こんなクリームパン程度でこんなに喜んで貰えるなんて嬉しい。仮に彼女富裕層だとしてもいい子に違いない。だってこんなに美味しそうに食べてくれるんだから。
「わたし、マシロ。休ませてくれた上食事までご馳走になって頂いてありがとうございます」
「そんないいよ、ご丁寧に。」
「じゃあ、わたしはこれで失礼しますね。少し、道に迷ってしまっただけですから」
家出少女かな?ファンタジックな服装だけど、コスプレとかかな?
「家はこの辺り?どこから来たの?」
「はい、魔界からです」
「えっ?今なんて?」
聞き間違いかな?愛知県の稲沢市祖父江町の馬飼かな?
「ずいぶん遠い所から来たんだね。」
「はい、魔界の魔王城で魔王との最終決戦手前、勇者からパーティーを追放されてしまって…拠点へ転移しようと思ったんですが誤って貴方の家に転移してしまったんです」
あっ、聞き間違いじゃなかった。これよくあるWEB小説のファンタジー小説の追放モノみたいだ。ていうか今、言っていることが本当なら、この子異世界転移してね?
「空いません、お邪魔しました。それじゃあ、わたしはこれで失礼します。」
「え、大丈夫?帰れる?の?」
「はい!シルバーテイルまで、ひとっ飛びですよ!」
詠唱すると魔法陣が出現するそして彼女は、ヒュンっと姿を消す。
次の瞬間、宙からベットの上にボフンと落ちてくる。
何これ?イリュージョン?!
「あれ?転移できない!」
彼女は困惑してみるみる顔が青くなっていく。
「あの、帰れなくなったみたいです…。」
「え?!今まさか転移しようとしたの?」
「は、はい……」
「帰れるようになるまで好きなだけここ居たらいいさ!」
「え?いいんですか!?わたし、この家にいても……」
「うん、いいよ!君さえ良かったらだけど」
恐らくこの子は異世界の少女だ。元の世界に戻れない以上何も勝手が分からない外へ放り出すのは危ないだろう。
どうやら人の性善を疑わないみたいだし、あぶない輩について行ったりしたら危ない。
「ありがとうございます。この御恩は必ず返します!」
「いいって、そんなかしこまらなくても」
こうして異世界の少女との共同生活が始まった。この時は彼女正体を知る由がなかった。
***
ベットの上でゆっくり意識が覚醒していく。頭過ぎるのは勇者パーティーと共に魔王を倒すために旅に出ていた記憶。そこでわたしはお荷物だった。戦闘は出来ないし魔法も大して得意じゃない。生活魔法と転移魔法が得意なくらいだ。何か突出した力でも無ければ勇者パーティーなんて務まらない。ああ、わたしにもっと力があればな……
そんなわたしに力なんてもたらされる筈もなく皆から無能だと蔑まれてパーティーを追放された。
そして、拠点へと転移するはずが転移した先は、見知らぬ人様の家だった。
家主は、わたしを優しく受け入れてくれた。あたりを見渡すと見たこともない器具が部屋の中にはあり、化学が発達しているみたいだけど、ここは王都とかかな?
体力が回復したら歩いて帰ろう。転移魔法は使えなかった。一泊の御恩にわたしに何か出来ることはないかな?
手料理なんか振る舞ったら喜んでくれるかな?
この家の中の調理器具を見てなんとなく使い方はわかった。包丁にまな板。うん分かる。
火を起こす所が無い。何?こと板状の器具は?お米はどこで炊くんだろう?なんだ、この
楕円形の機械は?蓋を開けてみると中に鉄板が楕円形に沿って入っていた。
(なんに使うんだろこれ)
そして、一際存在感のあるこの大きな四角形の箱はなんだろう?
触ってみると蓋が開いた。「ひゃっ冷たい!」中は冷気で満ちていて食材などが入っていた。
(そうか、ここで食材を保存しておくのか。王都の魔道具って進んでるなー)
「今夜はここにあるので藤原さんに夕食を作ってあげよう!」
お腹が「くぅ〜」と鳴り自分がお腹が空いていることに気づくふと、小さい簡易テーブルを見ると、クリームパンとミルクがが置かれていた。クリームパンを食べながら、お米はどうやって炊こう?そだ!土鍋があったから、中にお米を入れて水を張って火魔法と風魔法を使って、土鍋ごと空間に密閉して熱して炊き上げよう。との献立はなににしようかと考えるのだった。
***
マシロちゃんがぐっすり寝ていたことで起こさないように静かに身支度をして家を出てきた。
「おはよう」
「はよー、藤原今日は顔が死んでいんだな。何かいいことあった?」
「いや、別に何もないよ!」
まさか自称、異世界の魔導師を名乗る厨二病の家出少女が居候しているなんて言えるはずがなく黙っておくことにする。言ったら言ったで面倒なことになるのは目に見えているから言わなぬが花だ。
「そっかー妙ににやけている気がしたから可愛い彼女が出来たのかと思ってさ。
「変わったこと言えば落とし物を拾ったら妙に懐かれたくらいかな」
「捨て猫でも拾ったのか?藤原、動物好きだもんな犬?それとも猫?」
「犬?かな。」
どちらかというと人懐っこい犬ぽいと思ったからそう答える。まさか女の子の落とし物とは言える訳がない。どちらかというと天使のような落とし物だと改めて思った。
「陽良今日は学校はどうするんだ?」
「んー今日は行ってやるかー」
「なんで上から目線なんだ?」
コイツは、明日陽良髪を赤茶髪に染めていて少しチャラそうなこの男が俺の親友でもあり悪友でもある不良少年だ。
「これからもちゃんと学校来いよ。」
「そんな毎日学校行って何が面白いのやら」こうして俺たちは学校までの道のりをバカ話していた。
「あんた達遅い!遅刻ギリギリだよ。ホームルームが始まっちゃうよー!」
こう口うるさく言うのは真馴染みの柏木よもぎだ。
ライトブラウンのミディアムヘアーの真面目な優等生だ。
「昨日は、ちゃんと夕食食べた?どうせ菓子パンとかでしょ」
「まあ、そんな感じかな…」
「やっぱり…そんなんじゃ栄養が偏ルっていつも言ってるじゃない。ご飯はちゃんと食べなきゃ!」
「うん、気をつけるよ」
「私が今夜、作りに行ってあげようか?」
「あー、俺今夜はコンビニ弁当が食べたい気分なんだよねー」
まずいまずい!今家に来られちゃマシロちゃんのことがバレちゃう!
それだけは避けないといけない。
「だから栄養が偏るて言ってるでしょ!まったく。ていうかわたしの手料理よりコンビニ弁当の方がいいていうの!?」
「そ、それは……」
ヤバイ墓穴を掘った。
「それじゃあ、今夜行くからね」
「え?!ちょっと待って!」
と断ろうとしたところホームルームを開始する予鈴が鳴って担任の先生が入ってきて俺は、
断る機会を失ってしまうどうしよー!これはマズイことになった。
家に見知らぬ女の子を家に泊めてしまった。だってしょうがないじゃなか!世間知らずの中二病みたいな奴で放っておけなかったんだ。学校での授業を受けている最中、昨日泊めた彼女が気になって授業に全然、身が入らなかった。誰かに相談するにも、見知らぬ女の子を家に居候させているなんて言えるはずがなく、ただ一人で、悶々とするしかなかった。
午前の授業が終わり、昼休みのこと後ろの席の陽良が声を掛けてくる。
どうしたんだよ秋二、難しい顔をして。家に家出中の女子高生でも匿ってるような顔をやがって」
「いや、違うからな!て言うかなんだよ、その怪しい例えは!違うからな!断じて匿ってないからな!」
「え?その反応は、マジで匿ってる?」可愛い?それともブス?可愛い子なら紹介してくれ」
「ブスって言ったら?」
マシロちゃんはとても可愛い。だけど、俺の家に美少女が同居しているなんて言えるはずがなくそう言う。
「いらね、お前でおいしく頂いてくれ。」
「お前、ほんとに最低のクズだな」
「ふん!元から美少女にしか興味がないのさ!」
コイツ開き直りやがった!でも、俺は、マシロちゃんが美少女だから泊めてあげたのだろうか?もし、彼女がブサイクだったら見捨てたのか?いや、俺はアイツとは違うんだ!
放課後となり、生徒たちが部活動や委員会などに各々散っていく。
俺は、部活動に所属していない俺は教室を出る。いつも放課後は喫茶店でバイトをしている。
マンションは両親が契約して家賃を払ってくれているから、の家賃を払う為というよ将来の社会勉強のために日々働いている。高校を卒業して大学生になってからでもいいのだけど、経験を積むのは早いに越したことはないということで俺は、今働いている。
喫茶店でのバイトを終えて自宅に帰り家のドアを開けると、出汁のいい匂いが鼻腔をくすぐった。
「お帰りなさい!藤原さん。」
「ただいま、マシロちゃん。何かいい匂いがするけど……」
「あっ、勝手ながら家の中の食材で夕食を作ってみたんですけど、いけなかったですか?」女の子の手料理キタァァァ!思わずガッツポーズを決めてしまう。
だって、嬉しすぎるだろ?男子高校生なら皆、泣いて喜ぶぞ!
「お帰りなさい、藤原さん。ごはんにしますか?お風呂にしますか?それとも……」
そこで言葉が途切れる。それともなんなんだ?まさか……
「ダメです、やっぱり恥ずかしくて無理―!」マシロちゃんはぼしゅっと湯沸かし器のように顔火照らせる。
「ごはんにするよ、お腹空いているからね」
部屋の中に入りダイニングテーブルへとつく。
「残り物で、味噌汁とほうれん草のおひたしと野菜炒めを作ってみました」
やった!美味しそう!心の中で再度、ガッツポーズをする。
「なにしているんですか?藤原さん」
「ごめん!なんでもない。」
しまった、あまりに嬉しくて体で表現してしまっていた。
改めて作ってくれた料理を見る。
「和食だねご飯の炊き方は分かった?」
「はい、生活魔法を駆使して作りました!」
うん?魔法の料理って言いたかったのかな?まあ、いいか。
俺は、料理に箸をつけて無心で食べていく。その間、無心で。どれも美味しい!
豆腐とワカメの味噌汁なんて出汁からとっているのか味におくいきがある。
野菜炒めもキャベツのシャキシャキ感が損なわれずにちゃんと熱が通っていて美味しい。
と気づくと、マシロちゃんは、何かを言いたげにこちらをチラチラと見てくる。
ああ、そうか。大事なことを忘れていた。
俺は箸を置きマシロちゃんに向き直る。「美味しいよ、マシロちゃん。作ってくれてありがとう!」
「ふふ、お粗末様ですこちらこそ、ありがとうございます」と彼女は微笑む。
「うん、毎日食べたいくらいに美味しいよ。ぼくに毎日ごはんを作って欲しいな」
「え??」
「へ??」
「いいですよ、毎日作ってあげます。あとそれ、どういう意味ですか?」
「え?それは……」
言ってから気づいたまるでプロポーズのような言葉を言っていたことに。
「わあ、別に、変な意味じゃなくて!ただ、もっと食べたいと思ったんだ」
彼女とかではないけど、女の子から、毎日ごはんを作ってもらうってすごく嬉しかった。
そんな俺とマシロちゃんががいいムードを漂わせる中で突然、インターホンが鳴った。
誰だろう?玄関に出てみるとよもぎが立っていた。「なんで、お前がここに?!」
「何言ってるの?今夜夕食作りに行くって言ってたでしょ!」
あーそうだったー!忘れていたー!マズイ今、中にはマシロちゃんが居るのに……
「上がるわよ」そう言い、俺の静止も聞かずにズカズカと部屋に入っていく。
「えっ!誰あなた!?」とダイニングからよもぎの驚きに満ちた声が聞こえてくる。
マズイ!見つかったか、どうしようー!
「あなた誰?!なんで零二の家でご飯食べてるの?!」
「藤原さんの友人ですか?この料理は、わたしが藤原さんのためにわたしが作りました。」
「人の幼馴染を勝手に餌付けしないでくれる?この泥棒猫!」
「わたしは猫ではありまあせん」
「いつの時代の昼ドラだよ!あとマシロちゃん、さっきのは言葉の譬喩だから!」
「わたしは、あなたなんか認めない!」
そんな…マシロちゃんと仲良くしてくれよ」
同年代の女友達になっtもらえたら俺も嬉しい。
「よもぎさんも一緒に食べましょー…今、ごはんをよそいますね〜」
「なにこの子!わたしがこんなにツンツンしてるのに優しくしてくれて……」
よもぎはマシロちゃんの柔和な対応によって毒気を抜かれたようでおとなしくなり
「それじゃあ、いただこうかしら」と少しだけマシロちゃんを受け入れる。
こうして、二人だけの秘密は終わりをつげ新しい交流が始まったのだった。
後日、連載版も投稿する予定なのでよろしくお願いします。