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中学校の再来3

中学校の再来3

クラスの人達が当たり障りのない自己紹介をしていく中一人変な女の子がいた。

ロングでストレートの黒髪眼鏡。真っ直ぐな目をしており気が強そうな顔つきの人だ。それがパッと見の印象だった。


文野綴(ふみのつづり)です。好きなことは、観察することです。他に特に紹介するようなものはないです。」


そう言い終えると彼女は席へ着いた。

数秒の間が空いた後、ちらほらと拍手が聞こえた。


完全に浮いたな。


そう確信していると例の隣のやつがくすくすと笑いを堪えていた。


「趣味が観察とか…くっくくふふ」


何かツボっているようだが隣で笑うのはやめてほしかったお陰で文野さんがこちらを睨んでいる。


「お前も観察は趣味って言ってたろ」


「あんな真顔で真面目には言わないよ普通…ククッ」


笑いを堪えながら外峰そう言った。


「睡眠も大概だけどな」


「何を言ってるんだい睡眠は大事な欲求!三代欲求の一つだろ!」


「おいバカ。声が大きい」


「ん?なにザワザワしてるんだ。うるさいから静かにしてくれ」


「「すんません。」」


何人かがクスクスと笑う中


「はいはい次の子」


という先生の掛け声と共に自己紹介を再開していった


そして何人か紹介をしていく中自分の番が近づいてきた。


(はぁそろそろか)


俺は手を上げ


「ん?どうしたえーっと…」


「尾張乃です。ちょっと体調悪いんで保健室行っていいですか?」


自己紹介なんてものはしたくないし趣味なんてものもない。だから嘘をつき俺はこの場を逃げることにした。


「あ、あぁ場所はわかるか?」


「登校したときに場所は見つけたのでわかります。」


「そ、そうか…気をつけてな。行っていいぞ」


「はい。すんません。」


とガラガラとドアを開け俺は悪くもない体調不良を理由に保健室へ向かった。


保健室へ向かっているとひとりの教師が目の前から歩いてきた。


「ん?君はえーと…確か新入生だよね?」


そう聞いてきたのは、先程絶賛関わり合いたくない人認定された校長先生様だった。


「まぁはい。そうっす」


そう短く返すと


「ふんふんふんうーむ」


とわざとらしく考えたフリをした後


「今自己紹介とか教材配ったりとかしてる時間じゃなかった?」


さすが校長先生何をしてるか把握してらっしゃる。


「まぁそうっすねちょっと体調悪いんで保健室向かってるんです。」


すると目を細め


「…………ふーむ 仮病でしょ?」


当てられた。ものすごくめんどくさくなる気がする。


「仮病じゃないっすよ」


「ほんとかなぁ」


「理由あるんすか?」


「ないよ。女の感ってやつ」


「はぁ…取り敢えず保健室行っていいですか?」


「あーいいよ私もついていくけど」


と後ろからとたとたと足音を立てついてきた


「あの別に場所もわかりますし大丈夫ですよ。」


遠回しにくるなと伝えた。だが無意味だったようで彼女は


「何言ってるの?親切でついていくんじゃなくて興味本位でついていくんだよ」


と彼女は満面の笑みをこちらへ向けてきた。


あー終わった。

目をつけられたくない人に目をつけられてしまった。


「それに今出張で保険の先生いないよ?どうやって鍵あけるの?」


と人差し指で鍵の束を回していた。

この人がいなきゃ今は保健室には行けないってことだ


「……どうぞお好きに」


「うんうんそうこなくちゃね!」


ご本人はルンルンだが俺は最悪だった

それから保健室に着いた瞬間横から素早く先生が通り過ぎ


「ささ!この私が問診しちゃうよー」


「できるんですか?」


この人が、問診とかそういった類をできそうには思えなかった


「あ、できなそうに見える?ハハハッ実はねー元々保険の先生なんだよ私!」


「…これで?」


「君だいぶ手厳しくなってきたね。」


「もう捕まった以上どうでもいいっすからね仕方ない。」


「そんな人を食うような化け物みたいな言い方しないでよー」


「化け物は間違っちゃいないでしょ」


「ふんふん君からは、私はそう見えてるんだ…」


「ま、いいやそれじゃあ問診するねー」


「はぁ…どうぞ」


「では、本日は何故仮病を使ってまで教室を抜けたかった理由はなんですか。」


訂正。これは問診じゃなく尋問だ。


「仮病じゃないです。」


「あーいいよいいよそういうの別に報告して云々とかそういうわけじゃないから。」


ほんと、ヤバイ人に捕まったもんだ……


「あー別に特段理由はないですよ。あーいった場面で表立って何かをするのが苦手なだけです。」


「ふむふむでは次。わたしをみて即逃げようと思った理由は。」


なんか今度は警官に見えた。


「単純に関わったらめんどくさい人と思ってたんで。」


もうこの人相手に取り繕うのはやめたため正直に答えた。


「そう思った理由は?わたしこれでも前の学校では愛想よくて人気だったんだよ。」


と少しドヤ顔でこちらをみてきた。そのあざとさがキツくないほどこの人は顔が整っている。天は二物を与えないんじゃないのかよ。


「いくら愛想よくて、可愛いくてもあそこまで冷酷になれる人はもう関わりたくないんすよ」


「なるほどなるほど。もうってことは、他に私みたいな人に会ったことあるんだ」


感も鋭い。なお嫌いになった。


「まぁ一人知ってますね。」


「きっと苦労してきたんだろうねその人」


と軽く苦笑い気味笑った。この人の顔を俺は知っている。だがどこまでいっても他人は他人だ。他人の事情に深く追求するべきではない。


「そうですね」


そう短く返すと、先生はすぐに切り替えて話を続けてきた。


「おっとしんみりしちゃったね。じゃあ最後に!」


そう話を区切り何を言い出すかと思っていたら


「どうだい!生徒会にはいら「入らないです」まだ言い終えてないよ!」


なんであんな会いたくない人が何人もいるような所に入らなきゃいけないんだ


「俺は面倒なことはしたくないっていったじゃないっすか」


「やることなんかそんなないよ上の人が優秀だから基本ペラペラ紙を確認するだけだし」


なら尚更いる意味ないじゃないか


「とにかくやりません。」


「そんなこと言わずにさー」


「じゃあ勧誘はここまでにして、次に。逆に私に質問とかある?これでも若くして校長になる人だよ!なんでも答えれるよー」


「特にないっすね」


「えーしてよ質問。」


「じゃあ…先生が害があると認識することってなんですか?」


「集会で言ったことだね。そうだなぁ一概にこれってのはないけど強いて言うなら治ることのない傷をつけた時かな…そして私は傷をつけたやつを許さないし絶対的に生徒の味方でいる」


さっきの笑ってる顔とは裏腹に真面目な表情で彼女は言った。


「治ることない傷…それって生徒が加害者でもですか?」


「うーんそれは…」


と口を開けた時

不意にガラガラとドアが空いた。


「先生いますかー?」


と入ってきたのは見覚えのある顔だった。

なんでこうも今日は、望まぬ再会をしなきゃいけないんだ…


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