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中学校の再来

中学校の再来

 中学校の入学前日。俺はスマートフォンを姉から頂いた。一緒に入ってた手紙には


『たぶん、お父さんやお母さんは買ってくれないだろうから、私からのちょっとした入学祝いです。支払いは私が全部済ましとくから好きに使いなさい。あー、あとこれ私の連絡先。』

 

という文と一緒にQRコードの印字されてあるプリントが入っていた。


取り敢えずSNSを一通りダウンロードし、QRコードを読み込み姉へ連絡した。


〔スマホありがとう。〕


そう短く送ると5分後ぐらいに返信がきた。


〔ん、元気にしてる?あと希は?〕


〔いつも元気だよ。たまにお姉ちゃんこないねーって寂しがってるけどね笑〕


〔なら少し安心したわ〕


〔まぁ来年か再来年には帰るから…よろしく。〕


〔言っとくけどあなた自身も気をつけなさい。〕


〔わかってるよ。〕


 嘘をついた。姉は知らないだろうがもう自分自身なんか気にしてない。気にしなくても問題なんてない。そう思っていた俺はそう短く返した。


――――――――――――――――

入学式


入学式当日俺は、少し早めに家を出て学校へ向かった。


そして登校中一人の女の子とすれ違いざまに体をぶつけてしまった。


「あ、すいません。」


即座に謝った。するとその女の子は


「あ、いえ私の方こそぼーっとしてたから…」


「…………あっ君は」


そんな事を言われたふと目を合わせると見覚えのある顔だった。


「日戸塚さん……」


彼女だった。あの時関係を切って以来だった。

すると彼女はすこしニタっと笑って


「ふーん君もここにくるよねそうかそうかふーん…」


何か納得したように頷き始めた彼女は続け様に


「久しぶりだね。小学校3年以来だから3年ぐらい?」


「まぁそうっすね」


「そうだよねーうーん相変わらずの目と顔だね!」


そちらも相変わらずのようだ。全く感情の読み取れない顔だ常にニタニタしてて怖いったらありゃしない。


「あ、俺入学式なんで」


ここは、早く去ることに限る。

そう言って去ろうとしたら袖を掴まれた。


「なんでそう毎度逃げようとするかな…」


「いやー入学式なんで…」


「まだ始まらないでしょすこし早くきてる上にその言い訳は見苦しいよ」


「色々用事もあります。」


「具体的に言わないのは嘘っぽく見えるよ」


「いう必要性がないですからね」


「ふーん…あっ!」


 何か思いいたようだだが、ろくなことじゃないのはわかってるどうにか去る手段はないか、そう思っていると二人の生徒が日戸塚に声をかけにきた。


「転香ちゃーん」


彼女は呼ばれた方を向いた。


「ん、どうかした?」


「今日入学式の関係で2年、3年は早く学校終わるでしょ?」


「うん」


「それでクラスの何人かで遊びに行こうって話してるんだけどどう?」


「いいよ。今日は予定ないし遊べるよ」


「やったね!取り敢えず今はいけるかどうか確認したかっただけだから!」


「………ちなみにお話お邪魔しちゃった?」


どうやらやっと俺の存在に気づいたようだ。

だがこれはいい機会だ。


「いえちょっと正門の位置を知らないでうろうろしてるところを道案内してもらっただけです。」


「………」


日戸塚さんは無言でこちらを見た。


「あーなるほど!てことは新入生か!」


「あーはいそうっす。」


「よろしくねー2年の糸士 口理(いとし こうり)です!よろしくねー」


あんな勢いよく挨拶されちゃし返すかない


「よろしくお願いします。尾張乃といいます。」


仕方なく自己紹介をすると


「!?」


糸士さんは目を見開いて驚いたような表情をした。


何にだろうか疑問に思ったから聞いた。


「俺の名前がどうかしました?」


「あ、いやーもしかして…君のお姉さんに尾張乃叶さんっていない?」


「いますけど」


「そっかぁ…ふーん…あ、転香ちゃん足止めちゃってごめんね!会長がもうすぐ生徒会の集まり始まるって言ってたよ!日和ちゃんも!」

 

「私トイレに行ってから向かうね!」


「あ、ほんとだこんな時間だ!日和いくよ!」


「あ、うんわかった」


そう言い日戸塚さんは、時白さんをつれて駆け足で向かっていった。


俺も解放されたと思い少しため息混じりに新しい教室の方へと向かおうとした。


だが体は前へ進むことはなかった。


「君。お姉さんを知ってる私について何も聞かないんだね。」


さっきまでの表情は何処へ。

さっきまでのニコニコした表情から一変、ただただ俺を睨むような目で、聞くというより問いただす様に聞いてきた。


何をしたんだうちの姉は…


そう思いながら口を動かした。


「生きてれば姉の知り合いなんか腐るほどいますよだから別に驚いたり反応したりする必要ないんですよ」


「その言い回しほんとあの人にそっくりね」


「まぁいいよ」


と言っていつものニコニコした表情に戻り


「君とは初対面だけど、言わせてもらうね?

その言い回し、あの人と似てるその顔。全てが嫌い。わかった?」


そう言い放った。初対面で嫌われることは初だった。まぁ嫌われることはよくあることだ別に構わない


「よくわからないですけど…まぁ了解っす俺としても関わる気もないんでそこんところは安心してください。」


「人から悪意を受け取ってるのに嫌な顔ひとつしないんだね」


「まぁ慣れてるんで。いちいち反応するのが苦なんですよ」


「ふーんそっかま、そゆことだから。」


「俺も会いたいわけじゃないですし、これっきりで。」


「そうね。2度と会いたいくないね。じゃっ」


そう言い早足に彼女は日戸塚さんたちが向かった方へ行った。


全く我が姉はいったい何をしでかしてんだ…そう思いながら大きいため息を吐きながら中学生活を過ごす新しい教室へと足を運んだ。

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