10 滝・・・ミット
これまで:ついに西の内海に到達したアリスとミットは、道を作りながら左回り内海沿岸を探検して行った。森で出会ったトカゲを苦戦の末倒し、沿岸の旅は河口に突き当たった。
アリスが広い河口を見て楽しそうに橋を架ける準備を始めた。めんどくさいだけだと思うんだけどねー。
出来上がった橋を渡るのは楽だからいいんだよー?
あたいはミケを連れて周りの探検に出た。アリスに出してもらったおっきなボートにミケを乗せて森を2分するように貫く川を遡る。
河岸の木はまた種類が違うみたいで面白い。10ケラルほど左右の森を眺めながら走って行くと滝が見えて来た。
あちゃー。お楽しみもここまでかー。
左の岩が船着場っぽい形をしてて乗り降りし易そうだ。木もそばに生えていて舫うにも良さそうだけど、ボートはミケが小さく畳むからあたい達には必要ない。
岩壁なんだけどなんか階段っぽいねー。3、40セロの段差で石段になってて登りやすい。よく見ると岩を削り出したような四角い溝や板を重ねて高さ合わせをしたような大きな石もある。
「ふーん?誰かいるかもねー」
ミケは喋れないので黙ったままあたいに付いて来る。途中からなんか違和感がある。そんなに嫌な感じじゃ無いんだけど?なんだろ?
10数メル登った黒い岩壁の上は、左から正面にかけずっとここまで見てきた森、右は藪の間に獣道。違和感が強くなる。やっぱりちょっと嫌な感じ。でも通れそうなのはここだけだねー。
「アリスー、シロルー、聞こえるー?
10ケラルくらい上流に滝があってねー。左側が登れるんだよー、階段みたいにさー。上には獣道が一本あってさー、これから行ってみるねー」
『面白そうだね。気を付けてね、明日あたしも行ってみたいなー。忙しいから切るよ』
なんだー?つれないなー。絶対これから行くって言うと思ったのにー。まいっかー。
薮はあたいの目くらいの高さだ。クロが後ろからついて来るので見る方はお任せだ。何か居ればあたいが先に気がつくし。臭いが少しキツくなったねー。クロは途中、上に張り出した枝を屈んで抜けるのが大変そうだよー。
「ねー、クロー。あれって屋根かなー?」
頷くクロ。あたいの脇に両手を入れ持ち上げてくれた。微動だにしないクロの肩の上に立って前を見ると、谷の広くなったところに村があった。30軒くらいかな。谷の奥、左の山に強い違和感を感じる。ほんと、なんだろう?
「おばばー。なんか来たよー」
「わっ、余所者だ。長を呼んで来い!」
「きゃー、怖いよー」
なんかえらい騒ぎになったねー。
あたいはミケから降りて、先に立って村へ入った。
「来たぞ。余所者だ。武器を持ってこい!」
「あー、いやちょっと待ってよー。
ミケ。そこに正座!」
ミケがサッと座り、ピシッと背筋を伸ばし両手を膝の上に。そのまま関節をロックした。正座しても2メル近いけど、姿勢が良い所為で無害に……は見えないか。
おおっと言う響めきがあって、長らしい婆さんが現れた。
「あんた、どこから来なさった?わしはこの村の長をしておるジーナじゃ」
「あたいはミットだよー、この子はミケ。そこの海を左にぐるっと回った反対側、その向こうの山を超えてきたよー」
「ほう、海を回ってきたと言うか?この頃は出かけておらぬ故、そのようにして来るものがあるとは思わなんだ。して、なんの用であるか?」
「あー。用ってのは無いねー。探検ー?」
「ふふふ、そのような身軽な出立ちで探検とな。見ての通りここは50人ほどの小さな村じゃ。満足したかの?」
「うん。面白いねー。谷の左の山ってなんかあるのー?すっごく気になるんだけどー」
「む、そなた、何が気になると申されるか?」
「いやー。それが分かんないから気になるんだよねー」
「少し考えたい。この場は帰ってもらえぬか」
「いーよー。明日また来ていーい?あたい達は5人だよー」
「む、良いが食料に余裕がない。自分たちの分は持参してくれぬか」
「そっかー。いいよー、いっぱい持って来るねー。また明日ー。あ、この村の名前はー?」
「サイナスじゃ」
「ふーん、サイナスかー。
ミケ、帰るよー」
ミットの用語解説だよー
単位ねー
お金 シル
長さ セロ=センチメートル メル=メートル ケラル=キロメートル
重さ キル=キログラム トン=トン
時間 メニ=分 ハワー=時間
温度 セッシド=度
角度 デグリ =度
アリスの目 見たものの寸法が分かって線を引いてもらえるー 温度が見えるー 毒が見えるー
マノボード マノさんが提供する絵やカメラの絵が見られる板
サーモ ものの温度が見られる表示モード
チズ 上から見た周りの絵が見えるー。大きさも変えられるってー
マノボタン 飾りボタンだけどお返事がないらしいー。マノさん材料が採れるってー
デンキ 浴びると軽いのは人や動物の動きが止まる。強いと気絶したり、死んだりする 滅多に使わないよー
灯り 4セロの猫耳付きの白い円盤 厚さは半セロ 真ん中を押すと3段階で光るよ 明るいので連続3日くらい光るらしい
バッテリ 元気な力を溜めるものー
トラク 幅2メル30セロ 高さ2メル50セロの箱型の乗り物ー 長さは用途により変わるよー
速度は150ケラル/ハワーまで出せるー
木質 木が原料ー。木には戻らないけどこっちの方が丈夫ー。いろんなものになるよー。
甘味 木が原料ー。甘い味の調味料ー。
箱紐 乗り場の隠し部屋で採れるー。たいがい四角い箱の片面から紐が何本も生えていて箱がぐるぐる巻になってるー。いろんな原料が採れるよー。
虫の殻 これもいろんなものを作る原料になるよー。




