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フロウラの末裔  作者: みっつっつ
第8章 魔物
70/157

3 イワトビザル・・・アリス

 これまで:パルザノンで出会った魔物狩りの案内人は3メルに近い大男伯爵家3男だと言う。一行はクロミケが引く偽装馬車で西の内海を目指すが。

 一杯のお茶を飲み終えた頃、前方から馬車が走って来た。まだ遠いけどあの全力疾走は何かあったようだ。片付けをしているうちにその2頭立て馬車は近づいて来る。


 御者がいない?レントが街道に出て口から泡を吹き興奮する馬を止め(なだ)める。

 その間にあたしが馬車に乗り込み中を見た。


「誰も乗ってないよ。これはここに置いて先を見に行こう」


 すぐにクロが馬の形に戻り馬車が動き出した。

 揺れには構わず全速だ。5メニとかからず、街道に転がる人の死体がひとつ目に飛び込んできた。クロ達が止まり人型になるあいだに、レントが傷を調べる。

 あの馬車なら3、4人乗っていてもおかしくない。他の人はどうしたのか?


 ミットが上に向け弓を構えた。見ると岩に隙間があって血の跡が見える。高さは12メル。

 どうする?足場も梯子(はしご)も時間がかかる。クロミケコンビなら飛べるか?……行けそう。マノさんから指示が飛ぶ。あたしはクロの腰にロープを付ける。その間にミケが割れ目の下、岩の3メル手前に立った。クロがそこへ向かって走り込む。ミケの組んだ手のひらを踏みクロが飛び上がる。それに合わせミケも腕を振り上げ、さらに両脚で地面を蹴った。

 高く飛び上がったクロが空中で腰の短剣を岩の向こうへ投げた。そのまま左右の岩に手をかけ岩を飛び越え見えなくなる。殴りつけるような音が聞こえて、すぐにロープが落ちて来た。ミケが張りを確かめ登り始める肩へミットが飛び付いた。ミケはそのままスルスルと登って行く。


「女の人と子供が一人生きているようです」

 マノボードを(かざ)してシロルが知らせてくれる。

 上を見るとミットが見えない。ミケはもう少し。

 ガサゴソ、ギャギャっという音が遠く(ひび)く中、岩を超え茶色の汚らしい毛玉がひとつ落ちて来た。毛玉は地面に叩き付けられ、ガフッと声を()らし息絶えた。体長1メル60程の猿だ。頭の毛に黒い筋が3本見える。

 ミケが戦闘に参加したようで上の物音が大きくなった。5メニほどでそれも収まると

「アリスー。怪我人が3人居るー。一人ずつ吊り下ろすから、カゴ作ってー」


「はーい」


 振り向くともうシロルが馬車の後ろを開けるところだ。速っ!


 こういう時は単純にした方が速いはず。木質(セルロース)から幅10セルの帯を作らせる。20メル分どんどん作って。

 3メルできたところで千切って輪にする。2メルごとに帯を切り分け、輪の半分に10セロ間隔でぶら下げる。ぶら下げた端を輪の反対側にくっつけて行く。カゴの形になって来た。底で帯の重なったところを粗方くっつけると、それを持って岩の下へ走った。ロープを結わえるとすぐに引き上げられた。


 まず子供が降りて来た。青い吊りズボンの6、7才の男の子だ

 青ざめた顔で、腕と足に傷があるが血は止まっている。あたしがカゴから抱き取りシロルが傷口にジェルを()り込む。


「坊や。もう安心よ。悪い猿はみんなやっつけたから心配ないよ」

 シロルが気を引いている間に痛みが引いたようで、顔色がすこし良くなった。


 次は女の人、30代くらい。この子のお母さんかな?薄い青のシャツのお腹の辺りが真っ赤に染まって、紺のスカートの半分が血で黒く見えるほどだ。肩にもひどい傷があるがこちらも血止めは済んでいた。ミットが応急でジェルを使ったのだろう。ぐったりして反応がない。

 レントが抱き取り子供のそばへ座らせた。

 ジェルは何にでもそこそこ効く設定なので、血止めくらいは問題ないけど、何をするにも時間がかかる。まずお腹の確認をすると内臓は大丈夫そうだ。

 岩角(いわかど)が刺さったようで、悪い汚れを体の外へ出さなければならない。ジェルの毒素(どくそ)排出を強化しておく。肩も同じでこれ程の傷となると何日もかかりそうだね。


 最後は男の人、40前くらい?灰色のジャンパーに黒いズボン、全身が血塗(ちまみ)れ。

 あれ?左の足首がないの?意識もないね。ミットのジェルは品切れだね。大きな傷だけ血止めされている。残りの血止めを優先して処置していると、クロが足首を持って降りて来た。

 これなら付きそうかな……見込みは6割くらい?やるだけやってみよう。


 ドサドサーッと音がする。見ると猿が小山になっていた。まだミケが何体も投げ下ろしている。岩の上でミットが警戒(けいかい)を続けているのが見える。

 ミットが矢を2本射ったね、まだ居るの?グェッとか聞こえるし。レントが調べて半分は魔物だと言っていた。既に40体以上も投げ下ろされている。

 ミットとミケは30メニの間、襲って来る魔物を狩り続けた。下には60体もの猿が積み上がり、レントとクロが解体して皮と魔石を回収している。

 助け出した3人は馬車へ入れ寝かせたので、シロルが一緒に馬車へ入り子供の相手をしている。


「ねー、ミットー。もーいーんじゃないー?」

 ツーシンで言ってみた。


 『うん、あたいも()きて来たとこー。だいぶ少なくなったから良いことにするよー』


 ミットが降り、ミケも続いて下りるがその間にもパラパラと襲いかかる奴がいる。ミケに払われて地面へ真っ逆さま。どれだけ見境がないのだろう。

 ミケに街道脇を掘ってもらい猿の残骸(ざんがい)を埋めることにした。


「肉は取らないの?」

「ああ、イワトビザルは不味いからな。全部捨てる。持ち帰ったところで売る当てがない」


「トカゲは美味しかったけど?」

「あれはパサパサして不味いだろう?」

「それがねー、小さく切って煮込むと美味しいの。あたいが考えたんだよー。調理次第でなんとかなるかもー」

「まあ、捨てるのはいつでもできるから、馬車に積めるだけでも取っておくね」


 そうは言っても馬車には怪我人が寝てる。皮は屋根に無理矢理積み上げた。なんせ3メルが3人も居るんだもの。2メル半の馬車に積み上げるくらいはなんてこともない。84頭の猿皮は屋根に載ってロープで固定された。

 肉は袋詰めにして馬車の周りにぶら下げる。あたしが猿を片っ端から干し肉、燻製(くんせい)肉に加工するとミットとミケが袋に詰め、ミケが馬車のシロルに渡し中が一杯になると外側へ吊り下げて行く。


 なんだかんだで50頭ほど、200キル近い肉を確保できた。

 美味しくなったらいいなー。


 とんだことでお昼を大きく過ぎ、死体の埋葬と始末も付いたので、まず暴走(ぼうそう)馬車を止めた広場へ戻る。何はともあれ腹ごしらえだ。怪我人にも食べさせないと体力は落ちるばかり。


 早速シロルに干し肉に加工した猿肉を細かく刻み、スープにしてもらう。他にも工夫してくれるよう言って、あたしは猿に荒らされたままになっている馬車の中を整理する。

 怪我した3人はハッポーが敷いてあるだけうちの馬車の方が傷に(さわ)らない。パルザノンに戻って怪我人を養生させた方がいいので、ここを片付けて毛皮を売れる状態にしようと思う。クロミケに屋根の毛皮をこっちに積んでもらった。

 しっかし、すっごい臭いだね。ミットが来ない方に1票だよ。


「アリスー、ご飯ー。うわっ、ひっどい臭いー。あんたこれに乗ってくつもりー?」

「パルザノンに戻るなら売ってしまいたいじゃない。邪魔(じゃま)だし」

「うふぁ。早くご飯に行こー」


「あたしはアリス。坊や、お名前はー?」

「……キルスクレイグ。キールでいい……」

「そう。キールも食べようね」


 刻んだ肉にスープはそこそこ?肉の臭みを香草で抑えてこれかー。猿肉は強敵だね。

 煮込みは美味しいね。


「シロルー。この煮込みのお肉美味しいね。

 こんなの積んでたんだ」

「あら、アリスさま。こちらは先日買っていただいた香辛料を使って煮込んだお猿さんです。これでしたら売れると思いますがいかがでしょう?」


「うわー、こんなに違うんだー。さっすがシロルだよー。でもこんなには要らないからホンソワ屋敷に降ろそうか?どっちみちあそこに一旦帰るしかないでしょー?」

「ふむ。まあそれしかあるまい。初日から予定が狂ったな。しかし本当に(イワトビザル)なのか。これ程まで美味く食えるようにするとは」


「キール、お肉切ってあげるよ。ちょっと大きいよね。いっぱいあるから、たくさん食べてね」

「……ありがと」



 大人2人は目を覚さないまま遅い昼食を終え、パルザノンに向かって馬車は走り出した。


 クロミケが引く馬車にみんな乗って、その後ろに馬を繋いだ。あたしは1人で後ろの馬車に乗る。

 猿の毛皮はまだ()いだばかりでベトベトのままだ。あの崖下を離れるのと肉の確保が優先だったからね。


 手持ちの皮塊(かたまり)から2重のシートを作って、その上で1枚ずつ出して畳んでささっと()でる。もう1枚畳んで隣に置き撫でる。5枚並ぶと最初のが出来上がり。それを脇に積み次の毛皮を畳んで、と繰り返していく。

 要らない脂や何かはシートの間に溜まっていくので周りが汚れない。


 ふと思いついて処理の終わった毛皮を広げてみる。当然だけど猿の形のままだ。裁断を考えるとすっごく使いにくいよね。あたしなら簡単に端切れになったのも集めて1枚にしちゃうけど。これも最初から長方形なら使いやすいんだけどなー?そういう道具を作っちゃおうか?

 パルザノン支店だろうな。ここは魔物が多いせいで毛皮が豊富だから。試しに5枚くらい四角くしてみる。

 何を作るにしても絶対いーよね、これ。


 毛皮の処理は終わったけど馬車はまだまだ走るよ。

 あ、こっちのお馬さんはお馬さんだよー。


「ミットー。休憩入れよー」

『えー?3ハワーくらいだよー?一気じゃないのー?』

「こっちのお馬さん、生身だよ?」

『あー!そうだった。それは可哀想だよー。クロミケ、止まれー』


 飼い葉も少しだけどこちらの馬車に積んであった。


「ごめんねー。水はいっぱい有るからねー」


 レントが手伝って馬を休憩させている。


「お。臭くないねー。もう終わったんだ」

「そう。終わって退屈だから何して遊ぼーかって考えてた。ねー。これ見てー」

「わっ?四角い毛皮?

 へー。これいいねー。レントー。これ売れるー?」

「ぬ?こんな大きな猿はいなかっただろう。こんな大きな皮、どこから出て来た?」

「違うよー。アリスが四角くしたんだよー。これで多分1頭分ー」


「ぬぬ。フラクタル殿の言われる通りであるな。常識が通じない、か。

 店に持ち込むと大騒ぎになるな。大猿が出た証拠になってしまうぞ」

「そっかー。やっぱりね。じゃあさ、端切れを集めて1枚に繋ぐのは?」

「ぬぬぬ。そんなことが?……できるのであろうな。毛皮製品が多少安くなるであろう。2割程度か?」

「なーに?繋いじゃう道具ー?それいーねー。

 あー、ガルツ商会パルザノン支店ー?」

「ミットもそう思う?」

「うん。ガルツに相談してみよー」


「女の(かた)が目を覚ましました。今スープを飲ませています」


 シロルが馬車から声を掛けた。


「危ないところを助けていただいたそうで、ありがとうございます。

 私はマルリスから来たナミアと言います。そこに寝て居るのは従士のサイクス。この子は(おい)のキルスクレイグ。ヤットンクルス家の次男です。パルザノンのおじいさまを訪ねる途中でした。ネクトの姿が見えませんが?」

「お一人は亡くなっていました」

「……そうですか。彼も私の従士でした。

「ヤットンクルス士爵ですか。西門から近いですね。寄って行きますか」


 レントは知ってるみたいだね。任せるよ。


   ・   ・   ・


 パルザノンの西門に入るとレントが門衛に話しかけて、ヤットンクルスの屋敷を聞いていた。その案内で迷うようなこともなく門前に辿り着く。


「俺はレントガソールというものだ。この家のナミアとキルスクレイグという者を西の街道で保護したのだが」

「確認しますので中を見てよろしいでしょうか?」

「ああ、どうぞ。前に乗っている」


「ナミア様、キルスクレイグ様。そこにいるのはサイクスですか?」

「ええ、そうよ。彼には担架が要るわ」

「分かりました。

 ひとまず馬車を中へ入れてください。用意します」


 2台の馬車をぞろぞろと引き込むと庭はいっぱいだ。担架を持った男たちと身なりのいいおじいさんが来た。


「わしは当家を預かるネックローエン。家の者が世話になったと聞いた。礼をさせてもらいたい。まずサイクスを運ばせてもらう。

 おお、ナミア。よく無事であった。キルスクレイグも大変だったな。中へ入って休むと良い」


「後ろの馬車はそちらのものだ。怪我人を乗せるため積めなかった荷を移させてもらう」

「うむ、良かろう。荷というのはこの毛皮か?イワトビザルであるな、少し分けてもらって良いか?」

「ああ、相場で良ければ」


「いや、そうも行くまい。わしはこれでも長年毛皮を見て来たが、このような美しい処理をされたものは見たことがない。

 まず、獣の臭いが全く無い。次に地肌まできれいに洗浄されておる。さらに裏になめしカスが全く無い。この皮は野生のものゆえ毛並み、毛艶は問うまい。だが?」


 そこまで言ってじいさんが皮を3枚ほど(めく)って仔細(しさい)を改める。


「この3枚には傷がないな。まさか皆そうなのか?」

「うん。傷があると買い叩かれるからね。

 あたしはアリス、こっちがミット、後ろがシロル」

「狩の腕も神がかりか。凄まじいな。

 何枚あるのだ?」

「79かな?5枚はうちの分に()けたから」

「ではその79枚(ゆず)ってはもらえぬか?1枚5000出そう。迷惑料を合わせ45万シルで如何であろう」

「おい、相場は1枚1000だ。いくらなんでも高過ぎないか?」

「そんな事はない。わしはこの毛皮、6000で売ってみせる」


「いや、じーちゃん。あたいは相場なんかわかんないけど無理は良くないよ。

 それにうちの仕入れ値はタダだからね。相場の1000でも十分さ。あたいたちはホンソワール家に厄介になってるんだよ。代金は後日精算って事でどうだいー?」

「ぬう。ホンソワール殿なら知らぬ仲でもない、後日か。良かろう」

「じゃあ毛皮はこのまま置いていくよ。レントー。うちの分5枚持って行って」

「おう」

「じゃー、またねー」


 お爺さんは畏まる門番をよそに手を振って見送ってくれた。



「ふう。貴族はめんどーだねー。でもあの人たち、なんで護衛も無しにあんなとこ通ったんだろ?」

「うむ、他家の事情を掘り返すのもどうかと思い聞かなかったが、気になるところではあるな」


「そういえば、あの猿、半分くらい魔物だって言ってたね」

「ああ、土の魔石が37個だな。これも売るんだろう?」

「3個ちょうだい。見てみたいの。あとは好きにして良いよ」

「いや、そうは行かない。こういう高価な物は倒した者に帰属するのだ。()ぎ取りしかしていない俺がもらって良い物ではない。しかも俺は案内料をすでに受け取っている」


「分かったよ。じゃあ預かる。

 屋台に寄って行こうよ。お土産代わりにみんなで夕飯に食べられる物を買って行こう」

「クレープとかジュースとかのデザート系が良いかもねー。シャルとジョスが喜ぶよー。メイドさんたちの分も要るねー」

「そんなに買うなら手押し車が要るよ。ちょっと作っちゃうね」



 先にミットとシロルが注文して周り、後からあたしとレントで支払いと受け取りで分業した。

 35人分なんてできるの待ってから注文してたら、ホンソワールの夕食時間に間に合わないよ。ジュースは瓶に4種類、皿や器も持ち込みで盛り付けてもらった。


 さあ、急いで行かなくっちゃ。



「途中で魔物騒ぎがあって怪我人を連れて戻ったの。突然でごめんね。これ差し入れだから」


 門番に串焼き14皿放出ー。


 執事のセバークさんには連絡が行っているので厨房(ちゅうぼう)へデザートを納品ー。シロルが(イワトビザル)肉で一品作るからというとあっさりオッケー。


 あたしたちはお着替えに急ぐよー。

 ミシェルが待ち構えてました。顔と手足だけでもと(ぬぐ)い回されてお着替えー。

 食堂へ急ぐー。

 わっ?もうみんな着席してあたしたちを待ってる。レントも引っ張り込まれてるね。逃げ損なったみたい。

 あたしたちの着席を待ってフラクタルが告げる。


「客人の無事な帰還と豊かな恵みを、最高神アルクトゥールスと女神サフィアゼフィールに感謝をして食事を頂こう」


 流石にシロルはいないね。猿肉料理を仕上げてるんだろう。


「ヤットンクルス家から令状が届いている。仔細(しさい)は後程聞こう」

「今夜はたくさんの屋台料理をお届けいただきありがとうございます。急な話ではありましたが、多少のことでしたら大丈夫。今後はお気遣(きづか)いなきように。それはそれと致しまして、折角のお料理でございますので一部とりわわせを変えお出しします。ではご堪能(たんのう)ください」


 セバークさん、気を使ってるねー。執事さんは大変だよ。


 前菜は予定通り、メインには用意してあったお肉とシロルの猿肉料理が並んで出て来た。料理長、大丈夫かな。

 あとはデザートだけど何種類も並べて持って来て選ぶ形にしたね。あたしは料理長のケーキを取ったよ。ジュースも希望を聞いてから注ぐ形だね。

 和やかに夕飯は終了ー。


 食器が片付きお茶が出て来たので、昼前くらいに広場に止まったところから話を始めた。

 クロミケが連携して岩の上に飛び上がる場面ではシャルが喜んで、その活躍で猿を掃討しつつ、岩山から3人を助け下ろした話にジョスが顔を引き()らせていた。

 毛皮剥(けがわは)ぎと肉の回収ではセバークさんが興味深そうに頷いて、治療の話にフラクタルさんが考え込む様子だった。ヤットンクルス家で毛皮を渡した話には額を抑えて、テレクソンと視線を交わしていた。

 護衛がいない件についての解釈は聞けなかった。


「今夜はレントガソール殿も屋敷に泊まって行くが良い。我が家の風呂を是非見てもらいたい」


 フラクタルさんがレントにそう言ったら、レントは(あきら)めたように(うなず)いていた。

 あたしも早くお風呂に入ろうっと。


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