4 お客さま・・・パック
これまで:ハイエデンの街に本拠と温泉場は出来上がった。ガルツはパックに商品管理をさせるようだ。パックの仕事はまだまだ忙しい。
今日は年越しだそうだ。僕の生まれたケルヤークでは春に年越しと開拓準備だったから土地によってずいぶん違うものだね。
お日様ハツデンは近隣の村に幾つか売れた。
灯りとベンキ、ご近所ツーシン、着火具にナノマシン治療ができるジェルなどが使いたければ、ないと話にならないからね。仕入れ値で70000シルくらいかかるんだけどかなり無理をしても買ってくれる。
ビクソン商会の口車ってのも大いにあるみたいだけど、あれでなかなか良心的なんだよ?
おっと、今日は温泉浴場の場長代理だ。向こうに詰めないと。朝ご飯を掻き込んで地下通路で温泉に向かう。
「やあ、ニコラスさん、今日一日よろしく頼むよ」
「パックさんも大変ですねえ。責任者代理ですか。まあ、私が大体片付けちゃいますから、やることないでしょうけど。なんかの時はお願いします」
場長室。なんか無駄に広い感じの部屋に僕は収まった。食材の搬入はこれから、今は場内や浴槽の掃除で大忙しだな。トラブルに備えてここは動かないことになってるみたいだけど、これじゃどうにも退屈だ。ピン留めのトラシーバを襟につけて浴槽掃除を見に行く。
お湯は全部抜いて洗浄泡を一面に撒きデッキブラシで隅を擦っている。どうしても隅っこは泡だけではキレイにならないからね。
おや、排水溝が汚いんじゃないか?蓋だけ洗ってるのか?
めくってみると底はドロドロの何かがこびり付いている。蓋を全部外して泡を撒いた。
「ブラシを借りるよ」
「パックさん、どうなさったんですか?」
「ああ、溝の汚れがね」
「えっ?その溝ですか?洗うの?」
「当たり前でしょ?網目からヌルヌルが見えてるし、ほら」
指で掬って臭いを確かめ鼻先へ突きつける。
「どんな臭いがしますか?」
「うえっ!?臭いです」
「この流末はどうなってますか?」
「ええっ?」
「あれ?もしかして知らないの?」
「はい……」
「一斉放送。
場長代理のパックだ。洗い場横の排水溝を全部改めてくれ。流末まで調べてキレイにすること。頼んだよ」
場内に僕の声が響き渡った。バタバタと誰かが走り込んで来た。
「なんだってんだ、お前何様だ。何を勝手なことしてんだよ」
「うん?あなたは?」
「俺は副場長のゲイラーだよ。お前みたいな子供の指図は受けない」
「ゲイラーね。なんでも良いけどさっさと掃除してね。これお客さんに見せられないよ。直に開店なんだから」
「このクソガキが!」
体格が違うので簡単に掴み上げられてしまった。
「ふーん?それでどうするの?」
「ふん。場長室に篭ってろ!」
「やだよ。降ろして」
「うるせえ。黙ってろ」
「聞く耳持たないのね。じゃあこれは要らないね」
僕の手を自由にして持ち上げるなんてね。思い切り両耳を掴んでねじり上げると、ゲイラーは悲鳴を上げ膝をつく。いつまでも正面にいたんじゃ危ないので足がつくとサッと後ろへ周りさらに耳を捻る。一頻り喚いてもらったところで片耳を持ち上げ、
「今度は聞こえたかい?」
いきなり飛んで来た拳を左手で払う。
おや、まだやるの?もう一度払うと両手で掴み掛かろうと向かって来る。
周りに3人ほど茫然と立っているが僕に加勢する気はないようだ。
鼻に手のひらを叩き付けるとゲイラーが後ろへひっくり返った。
「ゲイラー。君は首だ。代理とは言え場長に手を出すなんてどういうつもりか知らないけど、ここには置いておけない。
さあ、開店は近いんだからさっさと掃除を終わらせるよ」
手を叩いてそう呼びかけるが、誰一人動く気配はないね。さてどうしたもんだろう。
「どうしたのかな?開店準備をしたくない。で良いかな?みんなお給料ってどこから出てるか知ってるの?」
「少なくともお前の財布からじゃない」
「へえ。じゃあどこから出てるの?」
「客からだろ」
「お客さん。だよ」
「どっちだって良いよ、そんなもの」
「そんなもの、ねえ。そんなものからもらったお金でお給料ってか。やっぱりあんた使えないよ。自分がなんの仕事をしてるのか分からない人は要らない」
「なんの権限があって……」
「僕、場長だもの。
じゃあ聞くけどあの溝はいつから掃除してないの?誰が掃除しないことにしたの?あんたはあの溝の匂いを嗅いでみた?」
「んなことは……」
「だーかーらー。ちょっとおいで」
首をぎゅっと掴むと引き摺って溝へ向かう。
「あんたら、そこどいて。
ほら。匂いを嗅ぎなよ。いーから」
「やめてください!」
「んー?あんたは誰?」
「お掃除のミレーヌです!」
「ふーん。ちょっと待ってね。
ガルツさん、エレーナさん。パックですけど緊急事態です。今日の営業は暫定2ハワー遅延します。取り込み中ですのでこれで切ります」
「で、なんだって?」
「遅延ですか?」
「そうだよ。どうみたって間に合わないもの。誰も掃除してくれないみたいだし。最悪、今日の営業も中止かもね。
話を戻すよ。なんだって?ミレーヌさん」
「何って……匂いを嗅げって酷いです!」
「どうして?僕は嗅いでみたよ?お客さんにも嗅いでもらう匂いだもの。どうして酷いのかな?君たちはそんな酷い匂いをお客さまに嗅がせて平気なの?」
「いや、それは……」
「あんたたちはどうなの。ここが始まって3ヵ月。この溝はいつ掃除したの?流末はどうなってるの?これから他も見て回るけどこんな汚いとこが1箇所でもあったら、しばらく営業中止だね。まあ僕の意見だけど。
他に何か言いたいことは?」
「………」
「ゲイラーくん、匂いを嗅ぐ?すぐに出て行く?」
「クソガキがー!」
「懲りない人だね。あれだけやられたのに、力の差が分からないのかな?どーしたもんだろ!」
僕は一歩左へ避けて、顔だけこちらを向いたゲイラーの頬を手の平で張った。
パチン!
突き抜いてはいないので痛いだけだろう。
「ここだと後始末が面倒だから表に行くよ。
ほら立った立った」
飛びかかるゲイラーを避けて、さらに煽りながら外まで連れ出した。
「ほら。どーしたの?やるんでしょ?ここなら遠慮は要らないよ」
あーあ。ガルツさんとアリスが来たよ。止められるかな?
「てめ。このクソがー!」
「まあ、レディの前でなんて口を利くのかしら。パックさん、お行儀を教えて差し上げて」
うへっ、ミット譲りのシスターさん入ってるし。
軽く右に寄って左腕を掴み右にぐるっと回るとゲイラーは引きずられる様の顔面から地面に突っ込んだ。そのまま相手の左腕を背中にまわし跨る。ドスっと一つ尻を打ち付けパッと立ち上がる。
「まだやるの?副場長のゲイラーさん」
「あー、こいつがゲイラーか。ほう」
「あ、あんた、ガルツさん。このガキなんとかしてください!」
「あー?お前も大概だな。アリス、あのボタン一つ予約な。お前、西の難民の一人だったか?家族はどうなってたっけ?あー、一人ものだったか?兄弟親戚は?」
「居ません」
「アリス、どうだ?」
「いいよ」
「そうか。
ゲイラー、お前の話は場長から聞いてるよ。マイクも手余ししてるんだよ。パックが子供だってんで舐めた真似してくれたよな。お前はこれで終いだ。よく反省するこった」
アリスのデンキが飛び、ゲイラーがよろめくところをガルツさんが抱き取って運んで行った。
待っているお客さんは20人くらいになっている。
連絡入れてあるから僕は中の準備に戻ろう。
ミットがお客さんの相手をしてら。任せた。
浴室へ行くと溝を泡まみれにして掃除の真っ最中だった。ぐるっと見て回る。男湯はいいみたいだね。次は女湯だ。
「パックが入るよー」
「はーい。どうぞー」
「一応見せてね」
「やだ、エッチー」
「いや、そんなギャグやってる場合じゃないよ。20人待ってたよ」
「きゃー、大変ー。急げー」
目皿を捲ってみると見える限りキレイに洗ってある。匂いは?お湯の匂いだね。洗い場の鏡も脂で湯気を弾くマダラがない。脱衣場へ行ってトイレを覗く。ロッカーの隅を覗いて男湯の脱衣場へ。こっちもどこと決めずに掃除しにくそうなところを見たがきれいになってるね。
「一斉放送。
浴室の準備はいいか?食堂はどうだ?」
『浴室開店準備できました』
『食堂はできてます』
『休憩所は掃除が終わってます。給水もできてます』
『トイレの準備終わってます』
「これで全部かな?じゃあ始めるよ。開店」
「「「いらっしゃいませー。遅くなりましたー」」」
「一斉放送。
ようこそいらっしゃいました。本日はいらしてくださった皆様をお待たせして申し訳ありませんでした。
今いらっしゃる方に受付で赤いコインを配りますのでお受け取りください。お飲み物をどれでも一杯、コインと交換で提供させて戴きます。代金はいただきませんのでお忘れ無く受け取って下さい。
本日はご来店いただき誠にありがとうございます」
「ニコラス、聞こえる?」
『パックさん、大活躍でしたね』
「大したことはしてないよ。それより地下浴場を見て来るから」
『はい。ごゆっくり』
「ごゆっくりってね、ま、いーか。切るよ」
一回外へ出て裏へ回ると一枚の[温泉]とだけ書かれた看板が壁から2メルの高さに突き出ている。その先に灯りが一つポツンと付いていて、夜になると灯るようになっている。
看板の真下には下へ行く階段があって建物の下に向かって降りて行くと白い扉が一つ。押し開けると中は灯りは幾つか灯っていて明るい。水の配管とカップが並んだ一角に受付があり、入浴に必要な記帳をするようになっている。10シルで飲めるジュースも置いてある。
左手に40人規模の食堂があり50シルで一食提供している。メニューは日替わりで3種類、ここの管理はここで募集した。15人が5人ずつ交代で務める。
「クリスさん、ご苦労様。中を覗いてもいいかな?」
「はい、パックさん。ちょうど今出たところですから女湯には誰もいません」
「ああ、ありがとう。上の掃除で一悶着あってね」
「ああ、それで一斉だったんですね」
「あれ、ここにも繋がってたっけ?」
「この間アリスさんが来て繋いでくれました。なんでも困ったら言って良いと仰いましたが、とてもとても」
「ああ、そうか。アリスが良いって言うなら良いんだよ。僕も賛成だよ。
じゃあ、一回りするね」
一通り見て回ったがこっちは心配なさそうだね。
「流石にキレイにしてくれてるね。欲しいものはある?ああ、そうだ。タオルの貸出用のがちょっとくたびれてきててね。ここへ下そうか?廃棄にするから欲しい人は持っていって雑巾にでもしてくれたらありがたいんだけど」
「またですか?前回だってまだまだキレイなタオルをたくさん降ろしてくださって。アリスさんに聞いたら何回でも作り直せるって言ってましたよ?」
「それはその通りだけどね。でも作るのも作り直すのも手間賃は一緒なんだよ。材料代と洗濯代もどっこいかな?貸出料で元は取ったし今更値段下げられないでしょ?今までが高かったって言われるし。廃棄でここに持ってきて洗濯は勝手にやって貰えば洗濯代だけうちは儲かるんだもの」
「またそんな口の上手いことをおっしゃって」
「まあまあ、食堂の方はどうなの?広さは足りているの?」
「そうですねえ、今5人来て内職をやってますけど多い時は20人くらいになるんです。ご飯を食べるひとが座席待ちになるんで退いてもらったりしますけど……」
「ふーん?アリスに相談してみるか。
子供たちはどんな感じかな?」
「なかなか来てはくれませんね。家の手伝いが多くて通わせてもらえないみたいで。来てくれたらその間はもう一所懸命ですけど」
「聞いてるかどうか知らないけどぼくら4人はこの土地のものじゃない。この街の景色に惹かれたってのと、虫退治でなし崩しにここにいるって程度で、そんなにここでなくっちゃってのはないんだ。いつ居なくなるかも分からないあやふやな余所者なんだ。僕らができるうちはいいけど、なるべく自分たちで回して欲しいんだよ」
「なるようになるんですよ。今までだって苦しいとか辛いとか、一杯あったけど生きる人は生き残って、そうじゃない人は……
でもそうやってずっとやって来たんです。
あなた方がいろいろ心配してくださるのは本当にありがたいことですけど、居なくなることだってあるんです。でも生き残る人は必ず居ます。そうやって続いて来たんですもの、これからだってやっていきますよ。
全部背負うなんて誰にもできませんよ。明日放り出されたらそりゃあガッカリしますけど、でも生きていきますよ」
その夜3人で部屋に集まり話をしたんだ。
「どうしたのー?パックー。暗いよー?」
「うん。ちょっとね」
「ふーん?アリスはなんか知ってるー?」
「パックが教えてくれない」
「ふーん?」
「アリス。地下温泉だけど食堂と別に内職部屋を作るのはどうかな?」
「あー。それで沈んでるんだー。あたいの出番なさそー」
「広げるのは良いけど、内職考えないと」
「そうなんだよ。もっとバンバン売れるんなら、街中の暇なやつ集めて作らせても良いんだけど」
「行商ったって近所の村や街だって貧乏だから大して買ってもらえないしねー」
「あたしが聞いた話ね?今ガルツさんが筒で行商ができないかって考えてるよ。たぶんどこも食料が1番欲しいんだと思う。この街は売るとこがないから畑を遊ばせてるらしいよ。だから持って行くところがあれば畑の仕事は増えるね。
ビクソンさんが穀物を売って鉱石なんかを仕入れて来るくらいで、あとはほとんど動いてないからね」
「この街でたくさん欲しいものって何があるんだろ?」
「さあー?あたいたち、ってかマノさんが欲しいのは鉱石、銀と銅?」
「あんまり感じなかったけど、ケルス村のお茶って美味しかったと思わない?あとブドウ」
「あたいはお茶なんか飲んだこと……あったかなー?ブドウは美味しかったねー」
「あれをここで売ったら買う人は居るよね?」
「でも遠いからー、ダメになっちゃうでしょー?」
「そうだよね。遠いと運ぶのに何日もかかるから、その間も運ぶ人も食べなきゃいけないし手間賃も嵩むんだ。肉、魚なんかは保って2、3日、果物だって10日かそこらだからね」
「日持ちすればずいぶん違う?………どーだろ?
冷やすと保つらしいよ。肉で10日、魚で7日?野菜も10日。果物はダメみたいだね。
あとはチッソ?ってなんだろ?むーー、分かんない……
あー。箱を作ってそこに魚入れてー、冷やしてー、チッソ?をナノマシンで入れると7日が10日になる?
ふーん?野菜で15日、果物はひと月かー。ずいぶん延びたけど、運ぶのにもっとかかるもんね。運ぶ手間賃は一緒だし?」
「その箱つくろーよ。近所の村とかだって新鮮なおサカナ食べたいでしょー?」
「値段はどうする?高いと思うよ?」
「タオルみたいにさー、貸すのはどーお?あー、でもお日様ハツデンが要るのかー?」
「そうだねー。あれも貸しちゃう?サントスさんに相談しようか?」
「そう言えばアリスー。この街って石が敷き詰めてあってー、ゴトゴトいうけど馬車が走りやすいよねー?」
「うん」
「あの洞穴のとこってー、アリスが作った箱の道に似てたよねー?」
「えっ?ああ、そう言えばそーかも。5メル幅くらいだったかな?……ちょっきり5メルだって」
「なんかー、マノさんが絡んでそーな話だなー?って。
てことはー、5メル幅の道を作れるー?」
「それはできるよ。3メル半の道を作ったもん」
「いやー、そーじゃなくって。例えばハンスに作らせるー、とか。別の道をテモンドが作るー、とか。あー、でも川とか山とか邪魔ものがあると困るかー?」
「それができたらすごいな。とりあえず平らなところをどんどん伸ばして貰って、ボタンツーシンでアリスを呼ぶってのはどうだろ?」
「ボタンで間違いないのは5000メルだよ?
あとはエーセイ?次第だよ。あたしが一緒に行かないとダメっぽいなー」
「早く移動する方法があると良いんだけど」
「早く移動する?
……わわっ?またいっぱい並べてー。そんなのできるのー?
……ほら見ろー。えー?空を飛ぶって?何がいるのよー?
……土?デンキ、鉱石、銅、鉄?それって誰でもできるー?
……大丈夫なの?筒より少し遅いのー?本当かなー?それで荷物はー?
……えっ?全部で80キル?少なっ!
……ええっ?人間も足して?ガルツさんなんか乗れないじゃないの!ダメだー」
「「………」」
「プンプーン!この役立たずっ!」
「まあまあ」「まーまー、落ち着いてー」
「ったくー。もーちょっとマシな案出しなさいよー。フーッ、フーッ」
「アリスー。落ち着いたー?」
「ううっ、ミットはあたしの癒しだー。
あ、なんか出た………
マノレール?ふーん?5メルの道路とどっちが早いのよ?
……専用の箱だけどこっちが早い?本当かなー。
……いーけどこれ、どーやってすれ違うのよ?
……こんなでっかいの2本もよーいするっての?
……ダメだー。
5メル道路だとどーなのよ?
……トラクー?ふーん?馬がいない荷車ねー。
トラク、いーかも。
そうなると5メルの道だね。パック、どーしよーか?」
「いや、ぼくに振られても。
あれってそもそもどうやってるの?」
「えーっとね、地面を見るでしょ。で、あそこへ行きたいなーって思うと、マノさんが途中の凸凹に少し合わせて赤い線を引いてくれてー、あとはそのとーりに道のブロックを10メルずつドーンと作っちゃうの。
そうそう、下が柔らかかったりするとこは取って入れ替えるよ」
「あー。あの赤い線が見えちゃうやつかー。なんか目の中に線を引くんでしょ?便利だけどあたいたちには見えないんだよー」
「えっ、そんなのがあるの?出来上がる道が作る前に見えるのか?それ誰でも見えるようになるの?」
「さあ?………ダメみたい。今はあたしだけだって」
「そうか。紐張ったらそれに合わせてってのはできるかな?真ん中に一本で出来たらかなり楽なんだけど」
「んー?………ブロックの大きさを決めちゃって目印を置く?………
うーん。10メルの真っ直ぐな棒を例えば30セロ浮かせて何かで固定するでしょ?棒に合わせて30セロ下にブロックを作っちゃう。そうすると棒の向きも高さも目で見えるから調節できるよね?
あ、固定する道具の分、もう少し長くないとだね。
曲げたい時はどーしよっか?………
へえー、先に作ったブロックは分かるんだ。じゃあどんどん曲げられるし登りも降りもちゃんと道が繋がりそうだね」
「あとは溝を越える時どうしたら良いか。土をブロックの材料に使うなら、足りなくなるんじゃない?」
「あーそっかー………たぶん土とか石ならなんでも良いんで、量がブロックの範囲にあれば作れるかな?近くを掘って山にするとか?
試しにやってみないと分かんない。
………ブロックは5メル幅、10メルだと厚さ30セロあれば、20000キルの荷車でも大丈夫だって」
「明日にでも準備して、敷地の中でやってみようか?」
「そーだねー。あたいはトラクが見たいよー。ぐるっと回るよーに作って走らせてみよーよ」
「それもそうか。道ができても馬車じゃあ、ちょびっと早くなるだけだもんね。あたしも乗ってみたいし。
材料は?………土、銅、鉄、木質、鉱石、デンキ。大丈夫だね。じゃあ道路を作る道具を作ってー、やってる間にトラクー。で、道具の改良ってとこかなー?」
「あたいはさっきの会議で聞いた通り、ガルツと筒に乗って近所の探検だから明日は手伝えないよ?」
「いいよ。準備だけだし」
「そろそろ寝たほーがいーねー」
「「おやすみー」」




