57話 二人目の眷属と三人目の眷属
「「けっぷ……。とっても美味しかったー!」」
ご飯を食べ終わった。
メモリーネとジブリールが膨れたお腹を押さえながら、満足そうに地面に足を伸ばして座っている。
喜んでもらえたのなら、よかった。
「ふふっ」
テトラはその様子に微笑んで、二人の頭を撫でている。
「ほら、あんたたち、食べてすぐ寝ると牛になるわよ!」
「「ンモォ〜〜」」
「……もうなってるじゃない!」
驚くコーネリス。
「じゃなくって! 一応、ご主人様の前なのよ。満足したのなら、『眷属の腕輪』をご主人様に差し上げるのよ!」
「「あ、そうだったー」」
ハッとした二人が立ち上がると、手に眷属の腕輪を握って、俺のところまできてくれた。
「「はい、あげるー」」
「あ、あんたたちねぇ、眷属の腕輪を渡す時は、忠誠を誓うようにしないといけないのよ……?」
「い、いや、別にそういうわけでもないけど……」
「ご主人様は甘いの! これだけは、ちゃんとしないといけないの! それが眷属の腕輪を渡すってことなの!」
「そういうものか……」
「そういうものなの!」
ビシッと言うコーネリス。
本当に頼もしい子になってくれたものだ。
「ふ、ふんっ。まあ、そういう優しいところも、ご主人様のいいところなんだけどね。だから、私がその代わりに厳しくしてあげようと思うわ」
「「やさしさのムチですか……?」」
「そうよ。だって私は最初の眷属だもの。教育も、汚れ役も、全部私に任せなさい!」
「「「「た、頼もしい……」」」」
「べ、別にこれぐらい普通なんだからっ」
「ふふっ」
それからコーネリスは、二人に眷属の腕輪のはめ方を教え始めていた。
そして「やってごらんなさい」と言うと、メモリーネとジブリールが俺の前に膝をついて、小さな手で俺の腕に触れてくれていた。
「ご主人様、メモリーネは、ご主人様の眷属になることを誓います」
「ジブリールも、一生ご主人様にお仕えします」
二人の眷属の腕輪が、俺の腕に嵌められる。
青色と黄色の腕輪。
「ありがとう」
「「えへへっ」」
俺も二人の頭を撫でて、『降臨の腕輪』を二つ複製して、二人の腕にそっと嵌めた。
「「これで私たちも、ごしゅじんさまの眷属ー!」」
二人が空に腕輪を掲げて、嬉しそうに眺めている。
その姿を、テトラとコーネリスも微笑みながら見ていた。
「コーネリスもありがとう」
「ど、どういたしまして」
コーネリスがじゃれつくように、俺の胸に顔を埋めてもくれた。
『とりあえずこれでやるべきことは終えたみたいね。村に魔物が襲ってくる様子もないし、これからのメテオノールくんたちはどうする予定なのかしら?』
全てを終えると、月光龍さんが尋ねてきた。
「そうだな……」
もう村は本当に大丈夫そうだし、俺たちがあの村の近くにいる理由もなくなった。
俺は一応あの村を追放されている身だから、これ以上の長居は避けるのが本来あるべき姿だ。
『私としては、あなたたちにならずっとここに住んでもらってもいいのだけど、そういうわけにもいかないのでしょ?』
「はい。とりあえず、街に戻ろうかと思います」
「だね。あの街にはソフィアちゃんもいるし」
この前、月光龍も言ってたもんな。
聖女ソフィア様のことは、気にかけてあげると嬉しい、って。
俺が一番に考えないといけないのは、もちろんテトラのことだ。
だけど、ソフィアさんにも色々お世話になっているから、何か役に立てるなら立ちたい。
あと、メモリーネとジブリールが増えたから、せっかくだし街で装備とかを買って、準備を整えたりもしたい。
「私もいいと思うし、ご主人様の決定に従うわ」
「メモもまちにいきたーい」
「ジルもー」
『ふふっ。寂しくなるわね』
見守るような瞳をしながら、月光龍が尻尾で俺の頭をひとなでしてくれる。
『メテオノールくんなら、きっと何があっても大丈夫だと思うわ。私、信じてるから』
「ありがとうございます」
俺は頷き、月光龍さんの尻尾を撫でる。
この人とも、出会った当初は戦闘だったけど、優しい人だった。
信頼……してくれているみたいだ。
だったらそれに応えたいな。
「あ、でもその前に、決着をつけないといけないことがもう一つ残ってるね」
「「「決着……?」」」
「うん。とっても大事なこと」
そう言ったのは、テトラで。
「テオくんの本命のあの人に挨拶をしないといけないね。そして、この前のことを審判しないといけないね。そうですよね。テオくんっ」
「「「「し、審判………」」」」
……なんだか、最後に一波乱起きそうな気配だ。
次回だけ、アイリスさん視点での話を予定しています。




