16話 降臨術と最初の眷属……?
俺のスキル『召喚術師』。
それは代償を払い、いかなるものをも召喚させることのできる能力である。
代償として差し出すのは、魔石でいいらしく、しかしあの日以来そのスキルは少し変化していた。
「とりあえず、今のテオの状態を調べてみるね。えい!」
名前 メテオノール 15歳
スキル 降臨術師★
・契約者(1) テトラ
青空の下に、俺のステータスが露わになる。
魔族による魔眼と、聖女の力を持つテトラにかかれば、隅々までチェックすることができるとのことだった。
「名前メテオノール。身長は……165センチほど。髪は……黒っぽい色に見えます。それが私のご主人様です」
「くすりと微笑みながら嬉しそうに言ってくれるテトラ。
「あと、ほら見て。スキルの名前が変わってるよ? 『召喚術師』から『降臨術師』に変化してる」
「本当だ……」
多分これはこの前、スキルを使ってテトラを召喚したからだろうか。
このスキルは主に眷属を召喚できるスキルみたいだ。
「スキルは使えば使うだけ、熟練度、つまり経験値が増えるの」
「経験値……」
「それと、テオと私は主従契約が結ばれていて、リンクで繋がってるんだよ。テオはこの前私を降臨させてくれたもんね」
リンクで繋がると、様々なものが共有されるとのことらしい。
テトラがこのスキルに詳しいのも、それが関係しているようだった。
俺が未だに知らない所まで教えてくれる。
「つまり私は0番目のテオの眷属だよ。そんな私のできることは、テオができることでもあるの。ステータスをチェックすることもできるし、聖女の力もテオが引き出して使うこともできる。あっ、それと、もうすぐで腕輪が取り出せるようになるみたいだよ!」
「腕輪……」
「うんっ。『眷属の腕輪』を使えるようになるみたいなの! そしたら眷属に出てきてもらえるようになるよ! そのためにも、早速経験値稼ぎだ……!」
というわけで、俺たちは経験値を集めるために、周りを見回して見ることにした。
「……いた!」
広がる草原の中に、茶色い地面と同じ色をしていて、這うように地を歩いているトカゲのような魔物がいる。
あれはゲーダーリザードという魔物で、日中の日が高い時間のみに活動する魔物だ。
その牙は鋭く尖っていて、出会ったのなら、相手はこちらを食いちらかそうとしてくるから、倒すしかない。
「くるよ……!」
「テトラは俺の後ろに」
俺はテトラの前に立ち、腰に差してあった剣を抜いた。
武器は、魔石を加工して作った魔法の剣。属性は雷。
『ガッガアアアアアアアア!』
撃ち出されたかのように飛びかかってくる敵。
俺は剣を構え、迎え撃つ。
刀身で、牙をむき出しにしているその魔物を弾いた。
「……ッ」
ガキィン、と音がした。
そして刀身にヒビが入った。
それでも敵の攻撃を逸らすことができた。さらに、反撃の準備もすでに終わっている。
頑丈な敵の苔むした色をしている革は、剣で斬るのは難しい。
だから俺はヒビの入った魔法の剣が砕けると同時、それを敵の口内へと投げ入れる。
その次の瞬間だった。
『ガッガアアアアアアアア!』
地に降り立ち、こちらを振り向いた敵の口の中で魔法の剣が炸裂する。
剣が砕かれたことで解き放たれたのは、雷の魔石の力。
翡翠色の雷撃が敵の口内で弾ける。
体内で弾けたその雷は、バチバチと敵を内側から蹂躙し、やがて敵は動かなくなった。
「やったああああぁぁぁぁあああ……! 戦うテオ、やっぱりかっこいいぃ……!」
戦闘の後、俺を抱きしめてくれたのはテトラ。
俺はそのテトラの頬に触れながら、怪我がないかを確認する。
「テトラ、怪我はしてない……?」
「うんっ、テオくんのおかげで無事でした。テオくんも大丈夫でしたか?」
「うん。こっちも大丈夫」
「さすがです、守ってくれてありがとっ」
互いに互いの無事を確認する。
そのあとは倒した魔物を手早く解体することにした。
俺とテトラ、二人で作業をして、血を抜いたあと、魔石を取り出し、肉と皮を剥ぎ取っていく。
これは素材になる。食料にも使える。その他にもいろんな使い道があるから、無駄にするわけにもいかない。
「あ……! 魔物を倒したから、スキルの効果が解放されたみたい……! 『眷属の腕輪』を使えるようになったよ!」
・『眷属の腕輪』……眷属に適した腕輪を二つ取り出すことが可能。
所有権は、眷属にある。
それを服従の証として、主人に渡すことで、己の力をさらに主人に与えることができる。
また、腕輪を依り代として、姿を魔力に変換し、腕輪に宿ることができる。
「早速取り出してみるね」
テトラが自分の胸に手を当て、そして俺の首筋に口付けをした。
その瞬間、首に暖かいものを感じるとともに、テトラの体がわずかに光を帯び、その手には二つのリングが出現した。
色は白銀色。
ふちの部分が紫色になっていて、紫色の宝石が埋まっている。
「これが……眷属の腕輪……!!」
光が反射して、眩く光り輝いている腕輪だ。
「テオ……私の腕に嵌めてくれる……?」
俺の手を取ったテトラが、その二つあるうちの一つを俺に渡してくれる。
そして、こちらに向けられるのは、白くて綺麗なテトラの手。
「ご主人様のテオから、私の腕につけてもらいたいの」
手の甲が上、手のひらが下。
俺はテトラの手のひらに自分の手を添えた。
暖かい手だった。その指先から、ゆっくりと腕輪をくぐらせていく。
「素敵……」
腕輪を嵌め終えたテトラが、自分の腕で輝いているその腕輪を見て瞳を揺らしていた。
その頬は赤く染まっていて、大事そうに腕輪を撫でているテトラは優しげな顔をしていた。
「テオ……ありがとう。じゃあもう一つの腕輪はテオに嵌めるね」
俺の手を握って、もう一つの腕輪を嵌めてくれるテトラ。
「メテオノール様。テトラは改めて誓います。一生あなたにお仕えすることをお許しください。その証として、どうぞこれをお納めください」
テトラは腕輪を嵌めた俺の手に口づけをすると、大事そうに頬ずりをしてくれた。
俺はそっとその頭を撫でて、テトラと見つめ合うと、テトラを抱きしめた。
俺たちの腕には同じ腕輪が輝いている。その光は決して失われることなく、いつまでも輝き続けだろう。
「ふふっ。じゃあ、テオ……次は降臨もしてみよ……? そして最初の子、出してみよ……?」
「うん」
最初の子。
俺たちの力になってくれて、守ってくれるはずの子。
魔石を取り出した俺は、テトラが見守る中でスキルを発動した。
「スキル……発動」
代償に捧げたのは、紅色の魔石。
それが眩い光となり、赤黒い雷撃がバチバチと発生した。
そして次の瞬間、
「「ぐ……っ」」
一際、その雷撃が強くなった。
そして、次に目を開いた時には、俺たちの前には紅い髪をした少女の姿が降臨していた。
『……私を降臨させたのは……あなたたち?』




