6話 巨人大騒動
ちょっと汚い話になります。食事中には注意
王都滞在一日目の朝、スグルはものすごい苦しみに襲われていた。
理由とすれば昔のアイドル以外だったら人間だれでもある生理的なものである。
それは……。
それは?
う○こである!! ではなぜう○こでそんな苦しみを味わうというか?
なぜなら……。
なぜなら?
巨人サイズのトイレなんてあるわけねえよ!!
そう、スグルは朝、スッキリしようとしてトイレに行こうとしてそのことに気づいたのであった。
スグルは考えた。ルルにう○こがしたいと言うのであろうか? いやダメだ。女の子にう○こがしたい。どうしようなんて聞けるわけない。ここは同性であるギルに頼むしか無いと!!
スグルはルルに気付かれないように左手をお腹に当てながら右手でギルの部屋を突いた。
「どうしたんだい? そんな深刻そうな顔をして」
ギルは窓を開けるとスグルの顔を見て尋ねた。
「う○こ! う○こに行きたい!」
ギルもその必死な形相にう○こを我慢する辛さに思い至ったのだろう。真剣な顔になると言った。
「フィンに聞いてどうにかしよう」
しばらくすると寝ぼけ顔のフィンがやってきた。
「どうしたんです? こんな朝早くに」
急いで連れてきたんだろう、フィンは危機的状況に気づいていないようだった。
「う○こ、う○こをする場所がないんだよ」
フィンもギルと同じようにその辛さと危機的状況に思い至ったのだろう。こちらも真剣な顔になるとこちらにと走り始めた。
はじめは普通に走れたスグルも、10分ほど走ると走り方が内股にぎこちなくなってきた。
「もうあまり時間は残されていないようだ……」
「残り寿命が少ないみたいに言わないでくれ……」
スグルがボケていたとしても笑えないとギルとフィンは思った。
「ッ! あと3分ほどで着きます!!」
フィンが叫ぶ。
「もうすぐだ! スグル、う○こをあと少し我慢するんだ!」
ギルが励ます。
スグルは出口近くにソレが落ちてくるのを必死で耐えると三分ほどの道を走り抜けた。
「すみません! 入ります!」
フィンはドアを開け放つと中にいる人を引っ張り出した。
「巨人がう○こをしてもいい場所に案内してください!」
フィンがスグルを指しながら言うとちょっと髪の薄い顔のテカった小太りおじさんは笑顔になって
「コッチです!」
道を案内した。
おじさんがこちらにと指を指したときにはすでに限界を超えていた。スグルは他の人の目があるのもお構いなしにズボンとパンツをおろし、その穴めがけて放出した。
「スッキリしたぁ」
スグルは頭でファンファーレが流れているような気分で言った。
~ギル視点~
スグルが私たちの目を気にせずに用を足すのはしょうがない。我慢の限界だったのだろう。
だけどこの小太りのおじさんの反応はヤバい。
「ああ! ああ! 堆肥用の穴が満たされるぅううううう!! ああ!」
これはヤバいだろう。
小太りのおっさんが今まさに用を足しているスグルの方を向いて天を仰ぎながら幸せそうにしているのだ。そんなことを思っていたらまさに気持ち悪い張本人がこちらを向いて語った。
「ちょっと前に王都に下水が通ったおかげで、堆肥用にう○こが集まらなくなったんですよね」
さすがに無視するのは良くないと思い曖昧にうなずく。
「ですが肥料の需要は以前と変わらないくらいにある。当然私達は困るわけです。そんなとき! そう、たった今です! 巨人がう○こをしに来てくれた! 私はう○この神に救われたのです!!」
私は目の前にいるこのおじさんは狂人なのではないかと思った。
「そうですね」
私はもはや何も考えないように返事した。
するとスグルが用をたしおわったようだ。こちらへ来た。するとおじさんはまるで崇めるかのような態度で言った。
「私は堆肥を生産しているシットというものです。よかったら今後もうちで用をたしていってください!」
私は全力で断れと言いたかったがさすがに本人が目の前にいる状況では言えなかった。
「僕はスグルです。ぜひお願いします! あ、でもたぶんピレネー高地に暮らすと思うので厳しいかもしれないです」
するとおじさんから独り言が聞こえ始めた。
「王都周辺の農地への輸送費とう○こを集める効率を考えると……」
おじさんは計算を終えたようでスグルに言った。
「はい! もしスグルどのがピレネーに住むのであったら私どももそちらに堆肥製造工場を作りますよ!」
スグルもトイレを手に入れられ、相手にも利があって良いと思ったのだろう。
「それだったらぜひお願いします!」
私はフィンと顔を見合わせると性格が非常にアレなこのおじさんが領地に着いてくるという未来にため息をついた。
~視点もどり~
帰り道の途中で僕たちを探すルルに出会った。
「たしかにトイレ問題は考えておかなければいけなかったわね」
ルルはうなずきながら言った。
「でも、自分たちで解決するなんて偉いわね」
ルルはそう言うと微笑んだ。
ギルもフィンも微妙な表情なのにスグルは疑問を感じていたが、主人に会いたいといったトイレおじさんシットがルルと話したそうにしていたので紹介した。
「こちらが僕にトイレを提供してくれることになって領地まで来ることになったシットさんです」
スグルが笑顔で言うと、ギルとフィンは更に苦々しい顔になった。
「ありがとう、私はスグルの主人のルル・アルデンヌ、向こうでもよろしくね」
ルルは笑顔で言うとシットも口を開いた。
「いえいえ、私共も堆肥を作ることを生業としておりますので助かるのです。あちらでもよろしくお願いいたします。では私は移転の準備をしますのでここで」
そういうとスグルの恩人は来た道を戻っていった。
「じゃあ、私達も領地に向かうわ、明日には出発よ」
ルルの一声でスグルたちは移動の準備を始めた。
はい、ちょっとヤバいひとが出てきましたネ。こういった巨人が出てくる話ってこういったトイレの話とか不都合な部分はご都合主義で消しちゃうところがありますが、僕は書きます。そう! 面白いと思うから!(ガキか!) 次回は王都を出ます。