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48話 大戦果とその結果

 スグルを戦闘にリトリア軍別働隊は、山を駆け下りた。奇襲は敵に気づかれずに素早く攻撃しなければならないので、みんな必死に走った。


 そして、うまく敵に気づかれぬよう敵陣地に近づくとあちこちから陣太鼓の音が盛大に響く。

 これは少ないこちらの軍勢を少しでも多く見せようとフィンが考えた1つ目の作戦であった。


 スグルは奇襲に混乱を極めた敵陣地で天幕をその巨大な盾で薙ぎ払い、また次の天幕を狙いその靴でもって蹴り飛ばした。

 そこに続いたリトリア歩兵が傍にあった剣を掴むのがやっとという風の敵軍を倒して回る。

 数で劣るこちら側ができるだけ素早く相手を倒すというための2つ目の作戦であった。


 そういった風にはじめは快進撃といえる戦果を上げていたリトリア軍別働隊であったが、次第に疲労が見え始め、攻撃の手が鈍り始めていた。

 すると、攻撃を仕切っていたギルが退却命令をだした。あくまで敵を混乱させることが目的であったためその目的は十分に果たされていた。 

 

「退却だ! 戻れ!」


 敵も、奇襲されて、すぐに追撃隊をだすことはなかった。

 リトリア軍別働隊は多大な戦果を上げると山道を駆け抜けて退却していった。




 ベルデ軍本陣。


「報告です。我が軍の後方に現れた敵軍は巨人兵を先頭に突撃し、我が軍に多大な損害を与えたのち退却したとのことです」


 籠城を続けるとばかり思われていたバイガルド要塞からいきなり敵の総大将であるヴィルヘルムが自ら突撃を仕掛けてきて、数で勝るとはいえ、連日の強固な要塞への城攻めで疲れが溜まっていたベルデ軍は数キロほど全軍が後退するほどの苦戦を強いられた。

 それに呼応するように、1万5000はいると思われるという報告を受けた敵の別働隊が後方から攻撃。


 報告を聞いているベルデ軍総司令官ジルベールとしては悪夢のような出来事であった。


 たった一回の戦闘でこれだけの大損害がでるとは。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()西()()()()()であればこうもいかぬものを、ジルベールはそう思わずにはいられなかった。

 いままでの戦争の常識を覆すあの兵器。自分だけがもっていればこれほど心強い武器はないが、絶対に敵に使われたくない兵器。そんなことをジルベールは頭の片隅で考えると、今は軍議だと思い直して長机に向き直った。


「ふむ、これは巨人兵がいる我が軍後方が敵の主力だと思われます」


「どちらが主力だとしても後方にそんな軍勢がおれば満足に要塞を攻めることもままなりませぬ」


「兵站を遮断されてもまずいな」


 ジルベールは意見を聞くと、決して無能とは程遠い知将の表情を浮かべると、


「後方に敵軍が兵力を割いたとすれば要塞内にはそこまでの人数はいないはずだ。ベルガルド要塞には最低限の軍勢を残し、残りは反転、敵別働隊を総攻撃する! 巨人兵だけは殺すのだ!」


 

 フィンの作戦は成功を収めたが、その結果、敵はたった3000人しかいないリトリア軍別働隊を15000の主力と勘違いし、絶望的な戦力差でもって戦う運命の日が訪れることになる。

 


 

大変遅くなりました。

すみません、今かなりやることができていて更新遅くなってます。


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