1話 スグル
ここは平和な日本、ごく普通の男子高校生であるスグルは英語の時間中に電子辞書で読書を楽しんでいた。
「ガリバー旅行記、読破」
辞書のくせに書籍が収められているCACIO製電子辞書で本人曰く退屈な英語の時間中にコツコツ読んでいたガリバー旅行記をスグルは今日、約一ヶ月の英語の時間を捧げて読破したのであった。
「僕がガリバーだったら絶対に俺TUEEEEEEEEEEEEEEEEEするのにな」
男子高校生らしくスグルは今日も妄想力を働かせていたのであった。
スグルは夏限定でよく海に行く。言ってしまえばおっぱいが見たいからである。海に潜っては顔を半分だして観察するのである。しかし、慣れというのは怖いものである。放課後に海へと直行したスグルは気付かないうちに沖へと流されていた。
スグルが自分の危機に気づいたときには手遅れであった。なにせ波の勢いが強い、深さを確認しようと海の中を見ると漆黒の海底に今にも飲み込まれそうな気がするほどだ。半場パニックになりながら手足をばたつかせているとスグルは不意にひときわ大きな波に飲まれた。
そしてそこでスグルの意識は飛んだ。
次に目をさますとそこは腰ほどの小さな木が生える変な土地であった。もしかして自分は死んだのだろうかとスグルが思っていると足元から声がすることに気がついた。
「化け物だ!!」
「落ち着け! 陣形を組むんだ!」
足元のソレがピーピー喋っているのを見てスグルは、あ。死んだのかな僕、それとも幻覚? と混乱しながらも話しかけた。
「君たち小人?」
「に、にげろ~」
「ま、まて置いてくな!」
スグルが話しかけると鎧を着た小人たちは一目散に逃げていった。
一人残されたスグルはそのまま考え始めた。
「これがガリバー旅行記ってやつ……かな」
スグルが自分の置かれた状況を察すると先程の鎧とはデザインの違う鎧を着た青年小人騎士? がこちらに剣を向けていることに気がついた。
「君、小人だよね。おー本物の小人じゃん! 痛てぇ!!」
スグルが調子に乗って小人に触れようとした瞬間、まるで植物の棘が刺さったかのような痛みをスグルが襲った。
「ぼくはわるい巨人じゃないよ!」
スグルはそう言うと小人騎士から離れた。少し間があいてさてどうしようとスグルが思っていると足元から鈴がなるような声がした。
「あの! 本当に敵でないなら私のお願いを聞いて!」
スグルが声に目を向けるとそこにはスグルのド・ストライクな美少女がいた(サイズ以外)。
背中まで長く伸びた赤髪に小人サイズでもわかるぱっちりした目、スタイルはサイズの小さくとも整っているのがよく分かる。唯一の欠点をあげるならば胸が小さいことくらいか、とにかくスグルのタイプであった。