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エデン・マキナ ~我らは機械仕掛けの楽園にて謳う~  作者: モッコム
第1章 楽園開場
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風獣死闘

ブックマークしてくれた読者さま、ありがとうございます!

「ちっ、やっぱすばしっこい。イセットもう一投いくぞ!」

(ゴロ!)


空歩猿との戦いは膠着状態の様相を醸し出していた。

空歩猿も最初こそ慌てていたが2,3回落とされた辺りからはもうイセットの動きに慣れたのか徐々に当たらなくなっていた。

今では何とか空歩猿を捉えるために俺がイセットを投げ空中で体制制御して高速で当たりにいく作戦に切り替えたのだが……これもそれそれ効かなくなってきてる。

因みに投げるのはイセットもちゃんと了承済みっていうか提案したのがイセット自身だ。

この作戦が危険であるのは重々承知しているがイセットも俺もそれだけ必死なのだ。


「それでも墜落した時には何度も殴ったし結構ダメージ溜まってるはず……なんだがなぁ。まだまだぴんぴんしてやがる」


やはりかなりレベル差があるっぽいな、これ。

あの空歩猿やっぱり火爪熊と同レベル帯の可能性が高いとみた。

どうもこのゲームの動物、いや魔物だっけか? は自分よりもレベルが低い、自分より弱い個体を積極的に狩る習性がある気がする。

それに強い魔物ほどその傾向が強いのではないだろうか? そうじゃないとあんなに何度も同じ魔物に遭遇したりしないはずだ。

そうする理由は……まぁ、レベルを上げるためとしか考えられないよな。


「要は俺は完全にカモだと思われてるって訳か……それで実際にカモられてるから笑えない」


そう思うとまたグツグツと空歩猿に対する怒りが沸き上がってくる。

くそぅ、舐めやがってからに……よし、やっぱあのクソ猿だけは何としてもぶっ潰す!

意外と自分の沸点が低いのだと気付きながらも空歩猿への憎悪を燃料にして頭をフル回転させる。


「……イセット魔力を使い切ってもいいから最大硬化だ」

(ゴ、ゴロゴロ?)


唐突な指示に戸惑いながらも魔力の殆どを使い『硬化』スキルを発動させるイセットを強く握り締めて空歩猿に照準を合わせる。


「先に謝っとく。ごめんな、イセット!」

(ゴロゴロ!?)


謝罪の言葉と一緒に『風魔法』でエアーガンみたいに撃ち出す……イセットを握った掌から。

そうなると当然俺の手に収まっていたイセットは銃弾のように飛び出すことになる、それも今までで最高速で。


(ゴ、ゴロゴロ!!)

「ウキィー!?」


最初こそ驚いていたが直ぐに自分の役割思い出したように空中で高速『回転』しながら軌道調整に入るイセット。

そして突如速度を増した攻勢に一瞬対応が遅れたのか飛来したイセットの体当たりを鳩尾に受ける。

空に中途半端に逃げようとした体勢からの直撃だったためにそのまま錐揉み回転しながら墜落してくる空歩猿……を視界に捉えて即座に駆けた。


多分これがこっちに流れを持ってこれる最後のチャンスだ。

この狡猾な猿のことだ、次とかになった時には必ず対策してくる。

たから無理、無茶をしてても対応仕切れないここで確実に仕留める!


「これでも喰らえ、このクソ猿ぅぅぁぁぁあ!!」

「ウ、ヴギィー!?!」


俺は事前に溜めておいた魔力を解き放ち火爪熊を貫いた時の水と風の噴射で押し出せるジェットパンチを叩き込む。

苦悶の叫びを上げてはいるがまだ余裕は少しだけがあるのかまた空に身を躍らせようと踏み出したのが見えた。


「ッさせるか!」

「ウキャー!?」


咄嗟の判断で『光魔法』の閃光を放つ。

強い光で目を焼かれ、視覚を奪われたことで再び墜落している空歩猿にさっきとは逆側の拳で狙いを定める。

ついにこれまで使ってしまった……閃光は知ってれば対策も簡単だし何よりMPバカ食いするのでこの機会逃せば次はない。


「だから確実に……!」


狙いを定める場所は……脚。

今までは他を殴られてもここだけは死守していたので狙えなかったが、目が見えない今なら当てれる。

渾身の力と魔力を込めて脚の関節目掛けて拳を繰り出し、ポキっとした音が響く。


「ウギャァァアー!!」

「くぅ、こっちも同時に骨が逝ったか……」


いや、よく見たらあっちは関節が外れただけだ。

くそ、残りMPをほぼ全部使ってこれか! こっちは腕の骨がちょっと砕けたってのに……やっぱり取り落とすことを恐れてあの爪を使わなかったのは失敗だったか?

ああ、『抗魔』のレベルがもう少し高かったら違ったかもだが今更な話をしても無駄だ。


「まぁ、でも機動力は潰せた。これで……」


やっとまともに戦える……なーんて考えたんだけど現実はそんな甘くなかった。

コイツ、普通に強い。


「くっ、何で片脚なのに俺より素早いんだよ!」

「キィ!」


慢心も油断も完全に消え失せたのかのように俺を睨みひらりと拳撃を避けていく空歩猿。

そして流れるような動作、『風魔法』で中心を支えての踊るような中心移動での回避

均衡を保つために大きく広けている腕に風を纏い攻撃を交えて来る巧みな技のキレにむしろこっちがどんどん不利になっていく。


敬意すら払う程に鮮やかで強かな”強敵”がそこにあった。


……技量に差があるのは分かっていたがここまで圧倒的とは思わなかった。

だめだ、このまま行くと押し切られてしまう……ちっとばかし死ぬかもだが勝つにはもう賭けに出るしかない。

まだこっちにも避ける余裕はある、その機会が訪れるまでひたすら耐える。

上段手刀、避ける、下段手刀、避ける、横薙ぎ、これも避けて、避けて、避けて、避けて、避けて………………ッ来た!


真っ直ぐ進んで迫る風を纏った貫き手へと怪我が酷い方の腕の肩を突き出して突進を敢行。

予想通りに肩が貫通されて血肉が飛び散りなかなかグロテスクなことになっている……が、体を無理に捻り動きを封じるのには成功した。

滅茶苦茶痛いがこれぐらいしないとコイツに通用しない。


「これでもう逃さねーぞ!」

「ウ、キキィーッ!」


叫ぶと同時に身動きが取れない空歩猿の顎を打ち抜く。

本来空歩猿を魔法無しで殴ったところで俺の拳じゃさしたる痛痒を感じないだろうがそれは俺の拳だけだった場合の話。

今空歩猿を打ち抜いた拳には指の間にあの炎の爪を挟めた状態であり、手応えからして顎下の肉を穿って内側から焼き焦がしているはずだ。

普通ならこれで終わり、でもこの空歩猿の命にはこんなのはではまだ届かない。

俺は素早く突き刺さったままの爪を手放して掌打で更に深く沈み込ませる。


「キィホ、ゲェホン!?」


押し込まれた炎の爪が気道を焼いているのか口から煙を吐く空歩猿。

流石にもうこれで詰みだろう、爪を取り除くには首辺りを開かないと無理なほどに潜り込んでいる。

と油断したのがいけなかった、やつはまだ諦めていなかったというのに隙を晒してしまったのだ。


「コフゥン!」

「なっ!? くぁあッ!」


何と空歩猿あの状態で動ける腕に風を纏い反撃してもう片方の肩に斬りつけた。

酸欠なせいか急所は外れてくれたようだが、どっちにしろ大怪我を負ったのには変わりない。

もう一度同じ攻撃を受けたら終いだ、と思い咄嗟に伸ばされた空歩猿の腕を掴み取る。

切られた肩から激痛が走るが気にしてる場合じゃない、でもこのまま窒息死するまで耐えさえすれば……。


シュサッ


そんな音が腹から聞こえてきた。


「ぐふっ、しっ、ぽに、風を……」

「ゲホン、ギィ……」


ゆっくり引き抜かれ次撃のために尻尾先を狙い定めるのが視界に映る。


不味い……あれを喰らと、今度こそ死ぬ……それにここで死ぬと、イセットが……。

分かってるのに……体が言うことを聞かない……くそ、またやり直しなのか?


そう諦めてかけたその時上から何かが弾かれる音が響いた即後、空歩猿の頭に見覚えのある球体が強襲した。


「グギャー!?」

「イセ、ット!」

(ゴロゴロ!)


《種族レベル6から8に上がりました》

《『走行』レベルが4に5上がりました》

《『風魔法』レベル4が5に上がりました》

《『水魔法』レベルが4に5上がりました》

《『光魔法』レベル2が3に上がりました》

《『素手』レベルが6に7上がりました》

《『抗魔』レベル2が3に上がりました》


それがトドメになったのかあんなにしつこかった空歩猿がついに崩れ落ち同時に戦闘終了を告げるインフォメーションが響き渡る。


お前、戻って来てたのか……はは、正直美味しいとこもってかれた感じはするが。


「最高にかっこよがったぞ、イセット」

(ゴロゴロン!)


俺は誇らしげにゴロゴロと転がり回るイセットを見ながらその場に崩れ落ちるように倒れ込んだ。

作者の力になるよう酷評でもいいので評価ポイントを押していたたければと!




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