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エデン・マキナ ~我らは機械仕掛けの楽園にて謳う~  作者: モッコム
第2章 混宿寄誕
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目覚めた場所は……

わいわい、がやがやとした喧騒が霞んだ意識を揺るがし、覚醒されていく感覚のまま目を覚ます。


「ん、うるさい……ふかふかだ」


ベットで寝かされてる? それに天井をみるに大きな天幕の中かここは……。

と言うか、あれ? また知らない場所だ……WCOに来てから多いなこういうこと。

幾ら何でも前の生活と極端に変わり過ぎだろ、これ……つーか直前何してたっけ?

あれ、そういやイセットはどこだ……まさか寝てる間に逸れて……


(ゴロゴロ~♪)

「イセット! 良かった、無事で!」

(ゴロゴロ!)


……とか心配したのだが、どこからか飛んできて楽しいそうにゴロゴロと俺の懐で転がってくるイセットを見て一安心。

少なくとも逸れたり、引き剥がされたりしていないみたいで良かった。


「相変わらずお二人は仲良いですね」

「この声は……やっぱりミーチェさん!?」

「私もいるよん~」


暫く感動の包容(サイズ差でイセットは服に埋まって見えない)をしていると扉の帳を掻き分け猫耳の女性と銀髪赤眼の女性……ミーチェさんとイブンさんが入室する。

あー、やっと思い出した確か森でイブンさんにあって、そのまま気絶同然に眠ってそれで……どうなったんだ。


「イセットちゃんが騒いでたかたもしやとは思って見に来たけど。やっと起きてたんだね」

「……イブンさんに、ミーチェさん? ……そうだ、他の人たちは!?」

「アベルさんお陰で無事ですよ。僕も探索組の皆も」

「はぁ、よかった……って、今更だけどここはどこ? さっきから何がなんだか」

「落ち着いて、それらを含めて現状を説明します。そのため来たのもありましたし」


そこから今までどうなっていたか、ここは何処か、何故ここに俺たちが運ばれて来たかをゆっくりと落ち着けるように説明された。


あの黒猪から何とか逃げ果せたミーチェさんたちだったが、伝え聞いたのと同じく『架け橋』にいた人たちはパニックでとてもすぐ援護に来れる状況じゃなかったらしい。

パニックを何とか落ち着け『架け橋』経由で援軍を呼びよせたりその場の人を集めたりして俺たちと黒猪の戦域に戻ろうしたが上手くいかず、痺れを切らしたミーチェさんとそれに釣られていった数人が森に突入……した直後にあの大爆発が起きたそうだ。


因みに爆発ついてどうやったか聞かれ、ありのまま話すと「なんて勿体ないこと」って呆られた。

長いので今は詳細は伏せるがどうも俺がやった魔石の爆発は完全に銭投げ戦法扱いらしい。


で、話を戻すと暴走気味だったミーチェさんたちも流石にはこれには驚き足を止めた。

その間にガンテツ率いる後続が追いつき、戦域……引いて言えば爆発現場を中心にちゃんとした捜索隊を編成し直してイブンのところを辿り着き今に至る。


「……よく見ると腕はないし、疲弊していましたからこのまま数日は寝たっきりになるんじゃないかと心配しましたよ」

「流石にそこまで行くと外に強制ログアウトだと思いますが……」

「どうですかね。GMコールの返事も事態が収拾してからでしたし、わかりませんよ? 特に僕たちは……」

「……それは」


弱々しく呟かれた最後の一言に空気が重く伸し掛かる。

そう、だよな……体調や精神状態が悪いぐらいで現実側に引き戻される、なんて処置は俺たち”被験者”にあるかどうか怪しい。

俺が普通のプレイヤーでここが普通のゲームだったらそんな心配はいらなかったかもしれないが。

俺は……いや、なにより俺たちは……。


「なんか知らないけど話は終わったんだよね! まずアベルくん、歩けそう?」

「ええ、何とか……」

「じゃあ、お外に出てみてすっこい面白いのいるから!」

「うわ、ちょ……引っ張らんくだいさい。自分で歩きますから!」


その空気を取っ払うように差し出されたイブンさんの手が俺の手を手掻っ攫い、そのまま引かれて天幕の外へと踏み出す。


「待てって!?」


ご、強引だなこの人……それにまだ今後のこととか色々考えが纏まってないんだけど……。

別に腕力は強くないけど片腕では抵抗し辛い、ちらっとイセットやミーチェさんを見ても微笑ましげ見てるだけ。

くっ、ここに味方はないのか!


「まぁ、まぁ。いいじゃん小難しいことは後で」

「いや、だから……」

「あんなとこじゃ気が滅入るだけだから、ね?」

(ゴロゴロ~♪)


……その後も暫く押し問答をしていたが、天幕があった他の係の人にうるさいから他所でやれと追い払われ、結局は”村”に繰り出すことなった。


それからは、もう抵抗するのも億劫になり成るように成れと流れに身をまかせることにした。

俺が寝かされている場所は『架け橋』……の外周に作られた村の奥にある救護者用の天幕のひとつだそうだ。

辺りを見渡してみるとここと同じ天幕と、継ぎ目がない木造の建物や石造の建物などが所狭しと建てられて少ないながらも多種多様な人々が行き通っている。石材の継ぎ目はともかく木造のは魔法スキルかなんかで建てたのだろうか?

その中には何者かにより壊された建物もおり、何人かが集まって魔法なり工具なりと再建しても姿や新築を建てるところも見えた。

その建築速度でかなり物でさっき村と言ったが、この速度で規模が広がるなら直ぐに”町”と呼べる日がくるだろう。


「俺がイセットと彷徨って間にこんな村が出来てたなんて……上空ではこんな村何処にも見当たらなかったのに」

「そこは純粋にメジャトのお陰ですね。彼が光を屈折させる迷彩の『魔術』を村全体張り巡らせてくれなかったら僕たちは今も『架け橋』内部で震えて過ごしてたはずです」

「ああ、そいうや空に薄っすらとありますねそれっぽいの。……やっぱり凄いんですね、あいつ」

「ええ、ほんと……性格とか色々難はありますが……」


何とも言えない表情で言うミーチェさんを俺も見て深く頷く。

俺とイセットもある意味メジャトのお陰で命拾いしたし、その『魔術』の腕に尊敬の念もあるが……中身があれじゃ畏まるのはちょっと出来そうもない、と思っていたのだが……。


バァ――――ンッッ!? カシャ――ンッ!


「うわっ、なんだ!?」

「わわっ!、今凄い音したね!?」

「はぁ、またですか……噂をすればってやつですかね」

「ってことはこれって……」

「見たほうが早いでしょう。どうせそこが目的地ですし」


また何時ぞやのお疲れ顔になったミーチェさんを先頭に、村のもっとも外郭に向けて移動する。

やがてそこへ着くと石材の壁で出来た半壊した一軒家がおり、その前に盛大に煤けたメジャトが俺たちを出迎えていた。


「おお、これはこれはミーチェ。そしてアベルさんと我が一番弟子のイセットではありせんか。見ない顔もあるようですがなにか用でも?」

「なにか用でも? ではありません! 救護者天幕まで爆発音がしましたよ、今度はまた何やらかしたんですか、何を!!」

「ああ、あれですか。ほら、大爆発あったじゃないですか。あれが魔力由来の分かったのでついついと……分かるでしょ?」

「分かりませんが、分かりました……要するにいつものですね。とにかくあなたはですね……」


「なんか私たち蚊帳の外だね」

「……ですね」

「……~?」


イブンさんの言う通り俺たちは置いてけぼりで、馴染み同士の二人の空間が出来上がっているが……。

そんなことより俺はあいつが勝手にイセットを弟子認定したこと方が気なってしょうがないんだけど? いつの間にそんな話になった、俺何も聞いてない。

何より幾ら技術が優れてもあんな変人にイセットを弟子入りまでさせるのはな……。


「……~!」

「え、イセットはいいのか。あんなのが師匠で」

(ゴロゴロー!)

「まぁ、イセットいいなら構わないけどさ……」

「ねぇ、どうやって意思疎通してるの、それ」

「いや、見れば分かるでしょ?」

(ゴロゴロ?)

「いや、分かんないって」


と、言ったものの俺もちょっとだけ違和感を感じてないくもない。

……なんか、上手く言えないけど前よりイセットが考えてる事がもっと明確に分かるようになった気がするんだよなぁ。

心当たりとしては、あのリンククラスとか称号の『虫精ノ誓約者』が影響してる? ってことぐらいか。

・『虫精ノ誓約者』


獲得条件:その身に永劫なる忠誠の誓い捧げられを刻む。

称号効果:お互いが進化先に多大な影響を及ぼし合う。

     彼のモノ、誓うが限り己に注がれし忠誠が揺るがることはあらず……。


再度見ても意味深な補足があるだけで『虫精ノ誓約者』の詳細にそんな記述はないように見えるけど……となるとやっぱりリンククラスってのが……。


「はははあ、やっぱこれ楽しいー!」

(ゴロゴロ~!)

「あ、いつの間に……うお、なんだそれ!?」


突如笑い声がして何事かと思えば、考え事をしてる間にイブンさんとイセットが移動してたのか別の場所でぽよんぽよんと跳ねていた……地面から。

えーと、俺の目がおかしくなって無ければ地面がモッチモチと揺れてるように見えるんだが?


「どうなってるんだ、下にトランポリンでも仕込んでるのか? いや、でも土とかも全然飛び散らないし……」

「これだけじゃ、ないよ。ほらあっち!」

「おう……これは、水が空中で止まってるのか?」


見たところ何かを膜がある訳でもなく、触ると濡るしひんやりとして感触もちゃんと水だ。

なのに完全に重力を無視してアーチ状に水の棒が宙に掛かっている。

いや、それだけじゃない、何か不自然に周辺に並べてある岩の色と同色の水とか、四角く停滞してる煙っぽいのとか奇っ怪な現象が辺り一帯に繰り広げられている。


マジでどうなってんだ、ここ……。


不可思議な現象に目を回していると、ついにミーチェさんの説教を抜けてきたメジャトが思考に割り込む。


「そこは変化魔紋の実験場ですね。」

「変化魔紋?」

「ふっふっふっ、それはですね……」


煤を落として来たメジャトの言葉につい反応して「あ、しまった面倒なことに」……と思った時には既に手遅れだった。

結局、俺はまた長時間『魔術』講座コースを数時間みっちり聞かされる羽目になった。

新鮮で興味深い話も無論あったが、大半は小難しかったり同じ話を何度もしたりでうんざりした印象が強い(なおイセット、イブンさんは普通に楽しげで、ミーチェさんはそそくさと逃げた)。


……長い、本っっっ当に長いから要点だけ抜き取って言うと、あれらはイセットが持ってた『硬化』や『弾化』のような変化系のスキルを使う際の魔力の動きを元に魔紋で真似て作ったものらしい。

メジャトのスキルは『魔術』関連以外だと魔力を精彩に見るためスキルで埋まってるとか何とかで一度見れば大抵の変化魔紋を作れるそうだ。

村全域を覆っているというあの『魔術』もこれを応用して仕掛けているとか。


まぁ、そんなことよりだった今魔術師であるこいつに急用が出来た。


「なぁ、ひとつ聞きたい、ってか頼みがあるんだが」

「なんでしょう? あなたには今回の件で恩がありますから、私が出来ることでしたなんなりとしますが」

「『実体化』、あのスキルも『魔術』で再現出来るか?」

「ほう、これはまた―― 興味深い題材を持って来ましたね」



今回は切りどころが難しかったです。

この調子で最後まで書き切れるかな……(遠い目)

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