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エデン・マキナ ~我らは機械仕掛けの楽園にて謳う~  作者: モッコム
第1章 楽園開場
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交渉成立

ちょくちょく誤字脱字を修正しているが想像以上に多くて凹んどります……。

それと誤字報告機能はオンにしてるのに誰もしてくれない悲しみと自分の作品に自分で使ってる時のこの虚しさよ……

共闘かそれとも利用か。


あの人殺しプレイヤーの痕跡を追って発見した別のプレイヤー集団に対して、その選択を強いられることとなった俺は無意識にイセットの顔を覗う。

2指だけで隠れてしまう小さな顔には、どうのような揺るぎもない。

どのような事になっても俺に付いて来てくれると、その複雑な目が告げているかに見えた。

ならば俺は……


「動くな」

「……っ」


俺は共闘のため、まずは優位に立って話し合うことを選んだ。

人相は悪くなるだろうが舐められて襲い掛かれ、またイセットを危険に晒すよりかは、よっぽどいい。

だから炎の爪を持ちリーダー格と思しき黒猫獣人の女性の背に忍び寄り、軽く押し当て動くを制止した訳だが……。


「やっと出てきたんですね。それで、僕達に何か用ですか?」

「……ちょっと話がしたい」


最初から気付かれていた……いや、他の面々は普通に驚いているし、気付いたのはこの猫獣人の女性だけなのようだが、それでもバレたのには変わりない。

……あと、一人でマイペースに未だ何か読んでいるNPC男性とかいるが、あれは気にしたら負けだと思う。


まぁ、それはともかく……油断ならない相手だが、わざと背後を取らせ抵抗しないと見せてるあたり、あちらもこっちに害意がないのは分かっていたのだろう。

じゃなきゃ、こんな大胆な対応は取れないはずだ。


「ほっ。良かったです、まだ話しが通じそうで」

「……どういうことだ?」

「あなた、先日ガラの悪い4人組の男たちに襲われてはいませんか?」


まるでこちらの事を知っている口ぶりに、つい聞き返してみると驚きの返答が帰ってきた。


「な、何でそれを……っ!」

「やっぱり……本当、碌なことしませんね。あの人達」


……それから話しを聞いてみると、事の顛末はこうであったらしい。


まずこの人らは『架け橋』を拠点にプレイヤー及びNPCを捜索、保護している集団であり、今日まで実に50に近い人数を見付け保護したとのことだった。

始めは手探で大変なことも多かったそうだが、助けたプレイヤー、NPCそれに掲示板を通じて助言をくれるWCOの先輩方の協力のもと、捜索、救助活動はそれなりに上手く機能していたそうだ。


ところが数日前、『架け橋』からアクセス出来る、そのゲーム内の掲示板であの黒猪を早急に仕留めろ、下手すると『架け橋』ごと全滅する恐れがある……との報がなされた。

これまでも助けらたWCOの先輩方の尋常ならざる様子に、早々に深刻さに気付き黒猪捜索、討伐隊が編成され森中を探し回っていた訳だが、そこで予想外の事件……例の4人が共に捜索してた仲間の殺人及び物資の奪取を行い、逃亡したのである。


「……で、それが俺たちのとこに来たと」

「まぁ、そういうことですね。……後で死に戻ってきた顔文字ズー……ああ、例のPK4人に何故そんなことをと聞いてみたら、なんて言ったか分かります? ”んなおっかなのと戦える訳ねーだろ”って抜かてたんですよ。自分たちだって僕や彼処に集った人たちの援助でどれたけ助かったと……(ブツブツ)」


その後もリーダー格の女性は不満と疲労を吐露するかの如く、愚痴を垂れ流す。

どうやら相当溜め込んでいた模様で、体からドス黒いオーラみたいなのが幻視されるほどだ。

そういや父さんが休日出勤3連の後に病院に来た時にこんなオーラ出してなぁ……と何処か懐かしくその様子を眺めているとすべて吐き出し終えたのか少しだけスッキリした雰囲気で話しかけてくる。


「……とにかく、そんな訳です。だから可能であれば僕たちにご協力願えませんか?何せ常時人材不足ですので、一人でも戦力が欲しいのです」

「それは……構わない、最初からこちらもそのつもりだ。……だが、少しでも変な素振りすれば……分かってるよな」


そう話が纏まっても俺は武器を仕舞ったりはせず、そう宣言する。

デタラメを吹聴してようにも聞こえなかったので予定通りに協力、ひいては共闘するのもいいと思うけど、完全に信用は出来ない。

或いは今までの話しが嘘な上、あの4人組ただの尖兵で、それがやられたから本隊出たってだけかもしれない。

神経質かもだが、なにせこっちは一度突けば簡単に崩れてしまう塔を常に抱えているようなものだから、警戒してし過ぎということはない


―― そんな張り詰めた緊張感の中、俺たちとプレイヤー、NPC集団の共同戦線はこうして成立したのだった。






♢  ♦  ♢






胃が痛い。


現在僕の心情は、その一言に尽きた。


「それは……構わない、最初からこちらもそのつもりだ。……だが、少しでも変な素振りすれば……分かってるよな」

「はい、それは勿論。だから、いい加減僕の仲間に掛かってる物騒なものを退かしてくれませんか?」」

「それもそうだな……。イセット、もういいよ。全員開放して」


「ぷっはぁー……」「やっと……動ける」「何なんだ、今のは……」

「……っ!」「ふむふむ、この文章がこういう意味で……」


彼が言うと同時に僕の背から膨大熱を妊んだ魔力が離れ、何か細長いものがキラキラと光を反射して退いて行き、動きが完全に封じられていた他の仲間たちから開放感よる思い思いの声が漏れる。

一人、何事も無なかった態度の奴がいるが、いつもの事なのでそれはスルーしておくとして。


ふぅ……それを見て、何とか上手くいったと心の中でだけ安堵の息を漏らす。


全部のお見通しとばかりの態度を取ってはいたが、正直いうとそこまでの余裕はない。

確かにいるのは分かったが……正確な場所の特定までは出来なかった。

『索敵』の反応そして『魔感』の反応も全方位から莫大な量が放たれ、取り囲まれ使い物にならなくされていた。

まるで強烈な光量をもって空間すべての視界が潰れたような、そんな奇妙な感覚が今も僕たちを包囲して絡み付いている。


でも、ここで弱気になったり狼狽したりしてはいけないと努めて毅然として振る舞う。

相手は不本意ながらも僕たちの元・仲間に襲撃されたのだ、下手すると即交戦って事態にいつなってもおかしくはなかった、現にそれは今も周囲を囲んでいる魔力が証明している。

まぁ、結果として何とか上手くいった訳だけど……本当に心臓と胃に悪い。


「はぁ……。何でいつも僕だけこんな役回りなの……」

「えっと……俺が言うのも何だけど、苦労してるんだな」

「……~?」


あ、つい本音が漏れちゃった……しかも何か慰められた。

きっと基本的に悪い人ではないのだろう、振り返ってその顔を覗き込んでも巫山戯てる様子はなく、複雑な神経ながら僕を心配してくれてのが分かった。

うちの男どもにも少し見習って欲しいと思いながら気まずげに視線を交わしていると、視界の端に奇妙な生物が入り込む。


「あの、そちらの……方は?」

「ああ、そういやお互い自己紹介がまだったな。この子は従魔のイセットで俺はアベルだ。俺は見ての通り人間族ヒューマンでイセットは……ま、妖精みたいな種族だと思ってくれればいい」

「……ー」

「は、はぁ……。よく分かりませんが、分かりました。僕はミーチェといいます見ての通り猫の獣人族ワービーストです」


特に事って変わったとこのない童顔気味の日本人青年アバターのアベルさんと自己紹介を済まして、もう一度イセットという、未だに警戒心ばりばりの妖精モドキを見る。

ひと目には15cm程の小さな体躯に薄い4枚の翅、全体的に真っ白な印象の、白いドレス装束を着こなした白髪黒目の妖精ような姿をした可愛い女の子に見えないこともない。

だが、『遠見』を持っている僕の目には、その異形の姿がハッキリと映し出されていた。

関節人形みたいな甲殻の節、周りを無数に映す複眼に眉代わりの触覚、何より小さなも身に目一杯凝縮だれた莫大な魔力量(MP)。


はっきり言って化け物だ、それ以外にも猜疑や疑問は色々と残るがあまり深く関わるなと僕の勘が告げている。


「それじゃ一旦『架け橋』に戻りましょ。想定外の形とはいえ、彼らもまた救助対象なのには変わりありませんから。あなたもそれいいですか?」

「構わない、というか『架け橋』には俺も急用があったんだ。寧ろ都合がいい」

「用とは?」

登録セーブしたいだけだよ。俺と、そしてイセットもな」

「ああ、なるほど」


言いながらイセット……ちゃんでいいのかな? を慈しみの眼差しを向けるアベルさん。

よっぽどその子が大事なのだろう、態度からその様子がありありとそれが見て取れる。


NPCは登録セーブしないまま死ぬと即座にゲームオーバーだ。

大事な存在なら一刻も早く登録させたいと思うのは、当然の思考である。

実際にうちのコミュニティーにもそういった理由で従魔や仲間NPCを連れて、必死に縋ってきた者たちは結構な数いた筈だ。

無理もない、WCOの住民たちをただのデータと割り切って接するには、彼らの感情は豊富でリアル過ぎる。

……かく言う僕も、そこを割り切れない一人なのだから。


「そういう事なら早速出発しないとですね。皆さーん、もう少し帰り支度を急ぎましょ」

「「「はいよ!」」」

「……ありがとう」

「いえ、礼を言われることでは。それにいくら急いでも最低限1日は掛かりますから」


そう言った彼は今日初めて顔をほころばせ、僕の次の言葉にすぐに表情を引き締めた。

この森では油断は禁物、一瞬の気の緩みが命取りになる、それを考えれば彼の切り替えの速さは褒めるべきものだ。

でも何故か、僕はその横顔に言いしれない不安を感じていた。

けれど、その不安が何なのかまでは分からなかった――



―― 森が薄明へ移ろう、その時までは……




まぁ、皆さんわかると思いますが……新入り君改め、猫獣人のミーチェちゃんでした。

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