異変と疑心
ツイッター始めした!
まぁ、まだ何をどうやって行けばも分からない状態ですけどね……。
蜂蜻蛉戦とかプレイヤー遭遇で即戦闘とかの諸々の疲労でぶっ倒れて寝落ちた翌日。
眠気覚ましに繭の外に出て昨日は少し寝苦しかったな~、とぼんやり思いながら伸びをしていると、周りの景色に微妙に違和感を感じた。
「……ん? ここは、また違う場所か」
何故かと目を凝らし見てみると木々の様子が違う……てか道標代わりに幹へ刻んどいた標識がどこにもない。
俺達は間違いなく寝る前とは別の場所に移動していた。
「イセット、もしかして俺が寝てる間に拠点移した?」
(ゴロゴロ!)
そう聞くと得意気にゴロゴロと「そうだよー」って返事が帰ってきて、なるほどと納得しかけた所に繭が視界に入り再び違和感。
「……この繭は同じ物っぽいけど、これは?」
「っ! ……~ッ!!」
「こうしたんだよ」って言いたいかのように繭に糸を繋げ、魔力を流して繭ごと操り持ち上げるイセット。
ああ、うん……繭も糸だしな、そりゃ操れるか。違和感の原因は分かったから、それはもういいとして。
昨夜ちょっと寝苦しいと思ったら、これのせいか! そういや『魔力供給』は常時発動させて置いたしそりゃ寝苦しくもなるわ!
まぁ、俺がMPを遠慮なく使え、なんて言ったからだけど……まさか繭を移動拠点にするとは思わ何だ。
「イセット次からはこういうのする前に相談しような。主に俺の安眠のために」
「……~♪(ゴクゴク)」
ふぅ……にしても『魔力供給』での喪失感は、中々慣れないな……これは早く『架け橋』を見付けないと俺が持たなくなる。
それに言うと使わなくなりそうだからデメリットついての詳細はイセットに言っていなが、以前の様子から、ある程度察しはついているだろうな。
どっちかのタイムリミットが来る前に急いで、でも焦らず速やか『架け橋』を発見しないと。
……幸い、有用な手掛かりも見付かったことだしな。
「よし、それじゃ昨日あのプレイヤーと戦ったとこまで戻るぞ」
「……~?」
「あいつらの足跡を辿っていくと『架け橋』があるかもしれないだろ」
「……ーッ!」
「レッツラ、ゴー!……と言う訳で道案内頼む」
(ゴロゴロ~!)
ずっと寝てて帰り道が分からない俺は、イセットがゴロゴロと誘導するままに森の獣道を進んでいった。
♢ ♦ ♢
「ふむ、ここだな。昨日あいつらが持ってた剣も落ちてるし間違いない」
「……~♪」
獣道を進んで数十分、昨日の戦場は思いの外近い距離にあったらしく、そう邪魔や時間を食うを事なく辿り着いた。
幸い間悪く夜雨が降った、なんてこともなかったようで昨日の痕跡ほぼそのままに残っている。
これなら特に技術がなくとも、注意深く足跡を辿ればあのプレイヤーたちがどこから来たのか探れるだろう。
「にしてもこの剣どうしよか? 俺はこんなの使わないしな……イセットはどう、使う?」
「……~?」
一応念の為ってことで聞いてみるも案の定、イセットは剣を暫くべちべちと触るとすぐに興味をなくして離れる。
というか、使う使わない以前に全く関心が持てないらしい。
「……ぽいっと。じゃ行くか」
「……~♪」
鈍い光を反射する剣をぽいっとそこら辺に投げ捨て、イセットに呼びかけてから足跡を辿り始める。
持ってるだけ邪魔くさいからな、色んな血で汚れてそうなこんなもんはぽいだ、ぽい。
「うーん、なんだか……はっ!」
「キシャ……シャァァァ!?!」
(ゴロゴロ? ゴロッ!)
「チュウゥゥー!?!」「チュチュゥー!?」
「いや、ここ……さっ!」
「グギャ!?」
(ゴロゴロ?)
「「ピチィィー!?」」
「見覚えある気がして……なっ!」
「「……ィ!?」」
(ゴロゴロ、ゴロッ!)
「「「キャイン~!?」」」「ガウゥ~!?!」
「ん、何々。あ、この目印前に俺が付けやつだ。ってことは……お、やっぱりか! ほいっ!」
「ピィッー……」
(ゴロゴロ~、ゴロッ!)
「「「ギギャァァアー!?!」」」
目印を見る限りだと、このまま行くと最初の拠点……隠れ家に戻ることになりそうだ。
それは詰まる所、あの黒猪のいる可能性が高い領域に足を踏み入れるということでもある。
まぁ、どの道いつか相対することになりそうだし、そこはいいとして……。
「さっきから襲ってくる敵が多いな。しかも纏まりが無い上に雑魚がばっか。はぁっ!!」
(ゴロゴロー!!)
「「「グギャァァ~~!?!」」」
お蔭で『魔力供給』のデメリットが酷くない程度に済んで経験値も稼げてるから助かってはいるんだけど……どうも妙だな。
気になってよく『索敵』で探ってみると、周囲の他の森の住民たちも争いが絶えず、鼻は濃厚な血の芳香に包まれているのが感じられた。
この森の住民は元から凶暴だったけど、それが更に増した……というよりは見境がなくなっているような。
それに、こう……何かに焦っているというか、そんな焦燥感と緊迫感みたいな雰囲気が森の生物から漂ってる気がする。
「……俺たちがここから離れてる間に何かあったのか?」
(ゴロゴロ……)
原因で考えられるのは……やっぱりあの黒猪しかないよなぁ。
正直言ってあんまり関わり合いになりたくはない。
でも、きっとそれは無理だと、いつかは初日から続いた因縁の終止符を打つことになるのだと、そんな確信めいた予感がしてならない。
「一層警戒して行くか……」
「……ー」
兎にも角にも襲ってくる敵を蹴散らしながら、まだまだ続いている足跡をなぞって進む。
暫くそうやって歩を進めて隠れ家付近まで来た所で不意に複数の人の話し声が耳に入る。
「おい、そっちの班はなんか見付けたか!」
「何もねーよ、猪野郎ほんと何処に引っ込んでやがる……」
「皆さん、気持ちは分かりますが、焦せらないで下さい! 不安を煽っても前の二の舞が起こるだけです」
大当たりと思いながら、バレないようにすぐ『隠密』、『索敵』で身を隠し聞き耳を立てて様子を覗う。
数は6人ぐらいか、4人はプレイヤーぽいが残り二人はどうやらWCOの住民……NPCみたいだ。
まぁ、WCOではNPCつってもプレイヤーと話が通ずるモノたち、みたいな括りでしかないらしいけど。
だから魔物も話通じて交渉出来るか出来るようになれば、広義的にはNPCな訳だ。
「くそ、あんの顔文字ズーども……思い出したらまた腹が立ってきた」
「しかも貴重な物資まで盗んだ挙げ句、あっさり死に戻って失くしたと言う始末だ」
「マジで救いようがねーな……」
「もう、僕もそれにはムカついてますけど、今はあの猪の索敵に集中して下さい。さもないと僕、一人だけで行っちゃいますからね」
「「「すみません! 真面目やりますから置いてかないで下さい。死んでしまいます」」」
「本当にもう……」
見事な整列土下座をかます3人の前で、拗ねたように頬を膨らませる注意を促してた1人。
基本的に話をしてるのはプレイヤーたちであり、NPCの方は一人はずっと何かを覗き込んでて、もう一人はそれを警護するように側を離れず、無言で周りを警戒している。
因みに言うとプレイヤーは男3、女1でNPCは男1女1の構成多少男女比が偏っている。
なお一人称が”僕”の人が女性で、見た感じこの人がリーダー格を担っているようだった。
「どうしたものかな……」
ここまでの会話であの集団の目的が黒猪の捜索なのは分かった、昨日の朝までの俺ならこれ幸いとあの輪に飛び込んで協力を仰いだだろう。
が、あの人殺しプレイヤーと会ったせいかお蔭か、今の俺は疑り深くなっている。
本当にあの集団を信じていいのだろうか、いっそこのまま跡を着ける方がいいのはではないか?
そんな思いがドロドロと心に渦巻いている中で俺は……。
遂に1章もクライマックスへと近付きました!!
さーて、アベルくんの選択はいかに!




