血獣死闘
また投稿ペース空いてしまった……
いや、つい別のに目移りする作者が悪いのですが
「よし、ここまで上手く行ったな!」
(ゴロゴロ~!)
「グギャァァァー!?!」
(~ッ!?!)
無事にゴブリンと浮遊石のボス個体を戦場から連れ出した訳だが、ぶっちゃけかなり緊張した。
『風魔法』も併用して可及的速やかに網を展開して何とか捕らえることが出来たが俺は別に網の扱いに熟達してる訳ではない。
だから投げる寸前まで見当違いな方に飛ばないか、上手く絡めないんじゃないかとか想像して心臓バクバクだったが……ほんと、どうにか上手く行って良かった~。
ド――――ンッ!! バ――――ンッッ!
「おっと、これはまた派手に引っ掛かったな」
(ゴロゴロ)
今爆破したのは隠れていた時にこっそりばら撒いて置いた限界まで魔力を込めた魔石である。
なお、浮遊石対策として連鎖爆破する位置に宙吊りしといたのもある。
と言ってもそんなに被害出るほどの量ではないが……まぁ、足止め出来ればそれでいい。
罠があると思えば警戒して追撃の手は遅れるはずなのだから。
「さぁ、イセットもっと飛ばすぞ!」
(ゴロゴロッ!!)
でも規模が規模だ、どうせそのうち何匹かは追ってくる。
なら今の内に稼げるだけ距離を稼ぐ!
俺は『風魔法』で加速に『水魔法』もジェット噴射して背を押しているので相当な速さだ。
イセットも『縦横無尽』で強化されたスピードに加え『風魔法』も併用して遅れは取っていない。
このまま立て直せないよう適度にボス個体を揺さぶりながら森奥まで進めば……
「グギャッ!!」
ボォーン!
「うわッ!?」
シューン!
(ゴロゴロ!?)
突然の背後からの放火音と風切り音。
それと同時に手から感じる熱気に思わず慌ててバタバタと腕を振る。
「……あ」
その拍子にバランスを崩し、真横にあった急傾斜地の坂道の方へと体が傾く。
イセットが俺を支えようとしたが真っ赤な何物かにより遮られ、居場所を入れ替えるだけに終わる。
「お前は……だけでも!」
(フワフワ!?)
半分意地でその真っ赤な物……浮遊石のボス個体の赤石に僅かに残っていた糸を掴み一緒に転げ落ちる。
その自分の頭程ある岩サイズの赤石を掴んでいるのが悪いのか、落ちる速度が加速していく。
「くっ……ぐふ!? がはっ!」
これでいい、これでイセットが2つのボス個体を同時に相手取らずに済む。
分断はされたが元から俺とイセットで一体づつのつもりだったから、計画通りではないが想定の状況は整った。
派手に転びながら血とHPを散らしながらもそんな事を考えていると、坂道を降りきったのか激しく転がっていた体が止まる。
「ぐはー……! ッふぅ……。はは、こんなとこで、いつものイセットの気分が味わえるとは、な……」
蔵内が揺さぶられてか今にも吐きそうだ……腹の底が軋む感覚を、そりゃ人体はこんな遠心力に耐えれるように出来てないから当然か。
それに芋虫もそんな体はしてないよな……ならイセットはいつもこんなのを感じているのか? 分からないけど、もしそうなら……
(フワフワ~……)
「早く、戻ってやらないと……だな」
いつの間に抜け出しのか赤石を眼前に漂っている。
どうやら相当ご立腹らしい、表情はある訳でもないのに何故かそれだけははっきりと分かった。
だが、そんなのは今どうでもいい。
「早くかかってこい、石っころが……お前に長く構ってる暇が、だった今なくなったとこなんだよ」
(フワフワンッ!!)
赤い線が視界に映る、何となく攻撃的な魔力を感じてそれを仰け反って回避。
僅かに鼻孔を擽る生臭くも鉄臭い匂い……じゃあ表面の真っ赤なのは、血か?
そして俺が感じるこの魔力……『水魔法』当たりも関係してるかもしれない。
なら……
「臭うぞ? これで少し、洗い落とせ!」
(フワフワ!)
お返しに威力もない『水魔法』を被せようとしてみたが、随分と大袈裟な避け方だ。
やっぱりな……こいつ今血に水が混ざるのを嫌がった風に見えた。
そらそうだろうな、自分の魔力に別のが混ざったら扱い辛いことこの上ない。
それは例えるなら他人同士縺れあった状態で普段通りに動けって言ってると同意だ。
「おい、どうした。武器がないと怖くて戦えないのか?」
(フワフワ……)
聞こえてるか疑問ではあるが、挑発は効いたのか『水魔法』の射程圏外に留まっていた赤石が高速で真っ直ぐ突撃を敢行。
なら避けてカウンターを……なーんて言うと思ったのか?
「こっちとら、んな変則軌道ぐらいは慣れっこなんだよ!」
(フワフワ!?)
血流を吹き出して急カーブで避けるふりをした俺を追従し、畳み掛けるつもりだった赤石の動きを先読みして予測軌道に手を添える。
そのまま『水魔法』で水を撒いて、染み込ませる感じで纏わり付かせてやつの魔法に干渉。
これで血流操作での攻撃は封じたことになる。
「あまいな……イセットなら読まれた時の対策も考えた上で動く」
(フワフワ……!)
今度も伝わると思って言った訳ではなかったのだが、しっかり意図は伝わったっぽい。
黒猪といいこの赤石といい、どういう原理で分かるんだか……
右手にはなんちゃってな暗器で炎の爪を握り込み、纏わりつく水で動きが鈍った赤石に手加減なしで『風魔法』ブーストしたストレートをブチかます。
「チッ、、まだ手札があると思ってはいたけど……それはちょっとズルくね?」
(((フワフワ~)))
拳は確かに当たった、が直前に赤石は自身を血液に変化させ、被害を爪が当たった部分が少し蒸発させるに留めた。
その際に表皮の部分を切り捨てから阻害や干渉からも振り解かれてしまった。
しかも今は3つの水玉に分裂して俺を包囲している。
この時点で俺が不利なったのは確かだが、赤石に余裕があるかと言えば、答えはノーだ。
間違いなくイセットより上位の変化系スキル……なら、今もMPガリガリ減ってるんじゃないか?
もしそうなら……
「ッ、やっぱ速攻で来るか!」
血色の水玉が凄まじい速度で多方向突進、1つを避けても時間差で別のが追撃をし、されにもう1つが死角に潜り込んで奇襲してくる。
この動作を複雑に織り交ぜ流れるように繋げる、激流の猛攻。
何度か魔力を先読みしてカウンターを放ったが、的が速すぎてスカすばっかり。
この手はあんまり使いたく無かったんだが……こうなれば仕方ない、やるか。
「ぐぁッ……くふ!?」
まずは耐える、確実に全員巻き込めるタイミングを見極めるため慎重に、決して焦らず。
そう思っても体を襲う徐々に広まる痛みとHPがどんどん減っていくのにどうしても意識が向く、3割、2割、1割……と心臓を高鳴らせる……でもまだだ、まだ耐えなきゃいけない。
もう1、2撃で消し飛ぶコンマ単位のHPなったその時、確実にとどめを刺すつもりなのか分裂した赤い水玉3つが同時に押し寄せる
「……言っただろが。お前に長く戯れてる暇は、ない!」
ドォ――――――――ン!!!
言い終えた直後、 俺を重心に爆風のけたたましい大音量が、辺り一帯に響き渡り全ての音を塗り潰す。
一瞬で周囲を炎上させた業火の爆風が消え去りそこに残っていたのは黒焦げた地面と……
「ぷわぁー!! し、死ぬかと思った~……」
(フワ、フワ……)
ちょっと焦げた俺と分裂体の2つが消し飛んだ水玉状態の赤石。
残りの風と火の魔石を全て至近距離で起爆、そして俺は『抗魔』と魔法での回復で歯食い縛ってたえる。
またこんな作戦とも言えない博打になったが、今回もどうにか成果はあったようだ。
「石に戻ってく……魔力切れか」
水玉状態だった赤石はさっきの猛攻の際に魔力を使い果たしたのか、水の体が絵の色を塗り替えるが如く石の材質に戻っていく。
そして当然というべきか減った分の質量は戻らないらしく、変化前より小型化している。
それでもなけなしの血を集めて俺に向かう赤石。
「はぁぁーッ!!」
(フワぁ……)
だが奮闘虚しくも『水魔法』と共に拳を振るい、血を薄めながら赤石を叩き割られる。
何とか……勝った、全身打撲傷や裂傷でボロ雑巾状態だけど、こんな魔法で治る傷なんて今はどうでもいい
「今……帰るからな」
その小さな身にどれ程の苦しみを背負って来たのか、それを想いながら俺は険しい坂道に体を引き摺ってゆく。
次回は多分イセット時点になる予定。
なるはやで投稿……したいなぁ……




