表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エデン・マキナ ~我らは機械仕掛けの楽園にて謳う~  作者: モッコム
第1章 楽園開場
28/62

二怪略取

この前のゲームクリアやっとクリアしてやりこみ要素やってたら更新滞ってました。

マジすいません <(_ _)>

「この森ゴブリン多いな……いや、そんなん今どうでもいい!」


『光魔法』で掌握した反射光から伝わってきた謎の感覚……比喩するなら髪の毛に掠めて感じ、だろうか?

まさか、こんなセンサーみたいな作用をするとは思わなかった。

どういう仕組みかはさて置きこの技術は有用性が高い拠点防衛面にも、索敵面にも、それにあの黒猪の対策にも……。


今すぐにでももっと念入りに検証したいが、発見したゴブリンをガン無視する訳にもいかない。

あいつらは基本群れを作って生活しているみたいなので、ほっとくといつかまた集団で襲撃される恐れがある。

でも一人で無闇に追っていくと、またこの前みたいなことが起こるかもしれない。

なので……


『追跡』スキルで一気に近づき、『偽装』と『隠密』を併用して隠れる。


「いっせー……のッ!」


そこで実験のために持っていた先っちょに粘着糸をくっつけた強糸を投げてゴブリンに付着。

後はバレないように物音を殺しながら隠れ家に帰還して、急いでイセットを呼び寄せる。


「出来るだけでいい、この糸を今から生成する糸に付けた状態で引っ張れるままに糸を紡いでくれるか?」

(ゴロゴロ)


よし、これでいつでもあのゴブリンがどこに行ったのか辿れる。

危険でも俺が直接尾行した方が確実ではあるが、生憎そんな暇はない。

すぐさま隠れ家から出て周囲を綿密に精査して、どのように鏡面の鱗を設置するか反射角を割り出す。

後は決めた場所に鱗を設置、隠れ家を囲い込む形で反射光が張り巡らせるように鏡面の鱗を微調整する。

全ての設置作業が完了して、一旦隠れ家に戻る。


「イセットまだ糸は伸びてるか?」

(ゴロゴロー……)

「止まったか……。それなら糸を多めに作っといたあと、ちょっと隠れ家から離れて、別方向から帰ってきてくれるか」

(ゴロゴロ~)


イセットに手間を掛け過ぎる気がして悪いが、これは俺たちの安全のためにも重要な事なのだ。

何より、上手く行けばあの黒猪が来るのを事前に察知出来るのだから。


『光魔法』で淡く細い光線を鏡面の鱗に照射し反射させ、その光を隠れ家周辺に光線の網を展開。

消費を最低限に下げるため、見えるかどうかの光量だが今はそっちの方が都合が良い。

暫くその状態を維持していると、また例の魔力が何かを触れた感覚。


「こっちか……」


その感覚に従い触れられた場所に向かうとそこには……


(ゴロゴロ!?)


……予想通り驚く芋虫球体、イセットが居た。


「よっしゃ! バッチリだッ!」


その後も何度か繰り返し確認してみたがイセットが光線に少しでも触れたら、それを察知出来た。

拠点警備システムは良くて古典的な鳴子くらいのものを想定してただけに、嬉しさも倍増だ。

これで制作方法も定かではない物を作らずとも、隠れ家に近付くモノを知る手段を得たことになる。

俺が寝ていると使えないのだけが問題なんだが……こちらに関しては少し考えがある。

そしてそのためにも……


「イセット、今から糸を辿って行こ。急にだが、狩り(レベル上げ)に出かけなきゃならなくなった」

(ゴロゴロ!)






♢  ♦  ♢





森を進むこと数時間後、俺達は予定通りゴブリンに繋いだ糸を辿ってそいつの住居を突き止めた。

それまで良かった、だがそこでちょっとトラブル……ってか、世にも奇妙な光景を目の当たりに繰り広げられて呆然とする。



「グギャー」「グギャー!?」

「「グギャァァーッ!?!」」

((フワフワ~))(フワフワ?)

(フワフワン~)


「何だありゃ……」

(ゴ、ゴロゴロ……)


投石された石に必死に攻撃を当てようと虚空を泳ぐゴブリンの群れと、それを俯瞰するが如くかなりの空高く浮いている一際異色を放つ赤と灰色が混ざった岩が1個。

傍から見ればゴブリンは投石を打ち落とすために当たりもしない得物を無為に振り回しているにしか見えないが、よく見ると違うと分かる。

だってあの投石はゴブリン打つかろうが、外れようが全く地に落ちずに空中で旋回しているのだから。


「あれ全部浮遊石か? つーか、あいつら群れるのな……」


空を飛ぶ石が群れを成すってのも奇妙な光景だが、それよりも奇妙なのはあのボスっぽい雰囲気の赤色混じりの浮遊石だ。

遠くて良くは見えないけど、赤色の部分がなんか蠢いている気がするんだよな。

もう少し降りてくればはっきり見えそうではあるが……さて、どうしたものか。


ゴブリンだけのつもりで来てるから、現在の魔石の保有量はそんなにはない。

群れていてもゴブリン程度ならイセットが無双出来ると分かったから、あまり必要だと思ってなかったからというのもあって大半を隠れ家に置いてきたから。

魔石を爆弾代わりに投げ込んで殲滅という手は塞がるとなると少々厄介だ。

前回の浮遊石との戦いで分かった事だが俺とイセットでは相性が悪い。

俺の場合は攻撃が空振ると隙が大きいから、イセットの場合は戦闘スタイルが被るから。

俺は段順に空振って滅多打ちされる。

イセットは圧倒的な技量差ある訳でもないと長引いてジリ貧。


「まともにやり合うのは避けたいな。うーむ、どうすれば…………あれ? 別に殲滅する必要はないよな?」


ついついあれら全部と戦う思考になってたが、こっちは2レベル上げれる分だけ殺して逃げればいいだけ。

幸い俺とイセットは逃亡に適したスキルは持っている。


「でも乱戦になれば逃げるのは難しい。なら狙い目は……」


あの赤色混じりとゴブリンのボス個体。

この2体を速やかに仕留めるか誘き出す、それしかない。


「で、肝心のゴブリンのボスは……またけったいな」


住処に入りせまいと後衛のゴブリンが集結している一角に、全体を見渡せる位置に他より身長が高い威圧感を撒き散らす個体一匹がいた。

どうやらあの肘、膝、額、踵に1対づつ長さ約30cm程の角に似た突起が生えているヘンテコなゴブリンがボスのようだ。

あれで肘鉄や膝蹴りなどを食らわせば、さぞかし清々しい風穴が開くことだろう。

現に今も隙を突いて住処に入ろうとした浮遊石を後回り蹴りで踵の角に当て粉砕してみせた、あんなものをまともに受けたら俺もイセットもただでは済まないことは明白、あんなのと正面から戦うのは遠慮したい。

でも角か……ふーん、ほ~ん……随分とまた、何かが引っかかりやすそうだこと。


「……イセット、赤石の方は任せた」

(ゴロゴロ)


俺がイセット特製の網を取り出しただけで意図が伝わったらしく、イセットは手早く『糸生成』で目的に見合う糸を紡ぐ。

これが以心伝心というものかと思いながら魔力を練り上げて両手へと集める。

機会は1回、失敗すれば逃げるしかなくなる。

だから待つ、あの2体の意識が確実に俺たちに向かないタイミングを……





♢  ♦  ♢





拡がる血の匂いと奇声に闘争心を煽られた醜い邪悪な妖精が暴れ狂い、その敵を潰すべく赤に染まった岩に率いられた小さな石の兵が雨のように降り注ぎ、渦が如く宙を引っ掻き回る。

頭部が潰れ、身が砕け、血潮を舞い散り、破片が入り混じる奇抜かつ混沌とした戦場。


戦況は拮抗していた。


本来の種族としての強さでいえばゴブリンよりフロートストーンの方に少しだが分がある。

だが、ゴブリン数が倍以上にあったこと、指揮と防衛を同時にこなすゴブリンのボスが予想以上にツワモノだった事が起因し現在の戦況を作り出していた。


全てを見通すかのように空に佇んでいた赤と灰混ざった岩―― フロートストーンの上位種の1つである鮮血石ブラッディストーンはその停滞した状況を打破すべく、ついに下降してきた。

それは己が能力を最大に発揮出来る戦場が自身の同胞により整ったのを認めた故。


また降り来るそれを逸早く捕捉したゴブリンボス―― 角邪妖精ホーンゴブリンは後方から前線に進み出た。

それは彼のモノの食い止めれるのが己しかなく、またそれがおさしとての務めであるが故。


不可思議な重力に引かれ、戦場に流れていた夥しい流血がブラッディストーンに集う。


腰を落とし独特の構えをとったホーンゴブリンが正面から敵を見据える。


戦意を膨れ、魔力を迸らせる両者の間に他者を寄せ付けない特有の雰囲気が構築され、戦いながらも意識の片隅に両群れのモノが注目していた。


一触即発、どちらかが動き出せば即座に壮絶な殺し合いが始まる、その緊張の一瞬へ――


「……ッ今だ!」

(ゴロゴロッ!!)


―― 無粋な乱入者が現る。


人間がゴブリンボスに網を投げつけ、その引っ掛かりの多い体を容易に絡め取る。

芋虫が糸を咥えたまま器用に操り、赤い石に巻き付け、付着させる。


「こちら都合で悪いが、お前らは戦場変更だ! このまま大人しく付いて来て貰おうか!!」


凄まじい速度で去っていく乱入者に対して戦場にいたゴブリンもフロートストーンも一様に暫し呆然としたのだった。


戦場から略取して颯爽立ち去る主人公……文面だけ見ると事案だな?

どうでもいいことだが、実はゴブリンボスは雌だったりする。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ