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エデン・マキナ ~我らは機械仕掛けの楽園にて謳う~  作者: モッコム
第1章 楽園開場
27/62

光照らすその先にあるは……

いやいやいや、おかしいだろ! どういうことだ!?

え、何でイセットに10もSPあるの? この間まで5だったはずだろ……。

……いや、落ち着け慌てるな俺……こんな時にはそうだ、まずはステータスと過去ログの確認だ!


_____________________


  名前『イセット』 性別『未定』 種族『魔幼虫キャタピラー


  種族レベル『13』 属性『無』 特性『蠢爾、草食』


 《スキル》


『縦横無尽LV3』『弾化LV8』『硬化LV8』『風魔法LV6』『糸生成LV5』

『鎧術LV3』『増力LV3』『防御LV3』


《称号》


名有化物ネームドモンスター』『付き従う者』『戦士』

_____________________


 ・

 ・

 ・


技力石スキルクリスタルの取得を確認しました》

技力石スキルクリスタルの特性により自動消費されます》

《残存量の一部を変換、2SPを獲得しました》


い、いつの間に技力石を……あ、このログ丁度半端犬ゴブリンジェノサイドしてた時のやつか。

ということは時期的に俺が鏡面蜥蜴と戦ってた時に拾った訳だ。

技力石は俺も欲しかったけど……あん時は殆どイセットが倒してたし文句を言うのは筋違いも甚だしい、か。


SPの出処は分かったし、もうそれはいいとして……スキルの統合だよ、統合。

イセットの持つ4つの移動系スキルが1つに統合されて『縦横無尽』って新しいスキルになったが、これは違うのか?

単に効果を一纏めにしただけなのか?

調べる必要がある、これの如何次第で俺のこれからのステータス設計にも大きく関わる。

……のだが、今はちょっと問題がある。


「もう外は真っ暗だな……明日にするか」


俺もイセットも暗視能力は持ち合わせていない。

だからこんな森深くで派手にスキルを使い回すなんじゃだたの自殺行為だ。

と言う訳で、おやすみー。





♢  ♦  ♢





はい、朝になりました。

それでは早速統合スキル『縦横無尽』の検証始めま~す!


自分でも妙にテンション高いなと思いつつ、肌で感じる方が分かりやすいとこの間のようにイセットと模擬戦始める。

今回の模擬戦に当たってイセットに周知したのはただ1つ、『縦横無尽』を出来るだけ使った立ち回りをして欲しい、それだけだ。

因みにだがこれが『縦横無尽』の説明テキストである

・『縦横無尽』

移動系のスキルを複数統合して組み上げられた上位移動スキルの一種。

材料にしたスキル効果を全て使え一部制限を解除する。


「はっ!」

(ゴロゴロ!)


まずは小手調べとして軽くジャブを放つが予想以上の速さでバック回転して避けるイセット

間違いなく格段に速度が上がってるな……これでスキルが純粋に強化されるのは確定した。


「なら今度は、これ!」

(ッ! ゴロ、ゴロ!)


この速度なら行けるだろうと判断、軽めの『水魔法』のジェットパンチを繰り出す。


目にも留まらぬ速度で進む拳の軌道上にいるイセット、ここまでくれば今までなら確実に当たっていた。

が、イセットは不自然な動きで急激に高速バック回転にて後退してこれから逃れる。


「んな!?」


『逃走』を使ったにしても速すぎる……い、今のもしかして後ろに『逃走』しながら『突進』したのか!?

普通は有りえないだって本来『逃走』と『突進』は併用不可なスキルなのだ

だって『逃走』は”対象から離れる”スキルで、『突進』は”対象に突進する”スキルなのだ。

要するに文字通り方向性が正反対スキルであるため、同時発動は原則不可能。明らかに矛盾してるから当たり前だ。

なるほど、”制限の一部解除”ってのはこういう意味か!

これ俺の『追跡』だとどうなるだろうか? 気にはなるが今のとこ試す手立てがない。


……今考えても詮無きこと、切り替えて思考を模擬戦の方に戻そう。


(ゴロゴロ!)

「どわー! 空中で直角に曲がるって、お前は蜂か! ぐわ!? い、いつの間に後ろに……」 


その後は暫く、こんな具合でイセットの正しく縦横無尽な若しくは奇想天外な動きに翻弄される場面が続く。

特に攻撃を『回避』したかと思えば『逃走』で視界から一瞬で消失、そこから『突進』を用いて舞い戻る動作を一拍子の間にやってのけるのには驚愕した。


どうしても任意発動は次のスキルに繋ぐのに思考でワンテンポ遅れるものだが、統合した『縦横無尽』はそれすら無くすようだ。

正直全然捉えられない、最近目が慣れて来てギリギリだが見で追えていたのがだが……これまた振り出しに戻った。

これじゃ勝てそうにない、もう『縦横無尽』の効果は十分に見たので実際にそれでいいのかもしれない。


だが、ここで一方的に負けるのは駄目だ。

イセットと肩を並べると胸を張って言うためにも、そんなことは自分が自分を許せない。


「ふぅ……」


静かに息を吐き、目を瞑る。

どうせ目で追えないし、見てても混乱するだけだ。

こうして聞くとイセットの滑空飛行は案外風切り音がブーンブーンと鳴って煩い。

集中し聴覚、触覚そして魔力……今俺が感じ取れるもの全てでイセット動きを読み取る。


真正面からイセットが砲丸のように飛来する風切り音。

が、魔力の流れが別方向だから、これはフェイントだ。

どこの方向に飛ぶか慎重に見極め、加速するのに合わせて拳を置くように振るう。

そして――


「……引き分け、か」

(ゴロゴロ)


イセットの真ん前には寸止めして炎の爪を握っている俺の右手が、俺の首筋には『糸生成』で作った『風魔法』付きの強糸がその結果を教えてくれる。


炎の爪に当たらないために『風魔法』で無理矢理に浮いていたイセットが着地したのを合図に俺もその場に崩折れる。


「っはぁぁー……。うわ、汗びっしょりだ、はは……」

(ゴロゴロ~……)


簡単なスキル検証だったはずが思いの外白熱し過ぎた、二人揃って疲労困憊である。

しかし、まさか出来たらカッコいいくらいの理由で片手間で練習してた暗器が役に立つとは思わんなんだ。

きっかけをくれたひょろ長ゴブリンには感謝と冥福を祈って置こう。





♢  ♦  ♢





疲れを癒やすため、少し休んでたら昼時になっていた。

無駄にした時間を取り戻すべく、いくつかの収集物を隠れ家から引っ張り出す。

魔石の使い道の模索と鏡面の鱗でとある試みを実行に移すため、今から色々と実験しようと思う。

あ、イセットの方はスキルの慣らしをしたいと隠れ家に入っているから今は俺一人で近くの空き地に来ている。


「で、魔石はまた見事に光、闇属性は出なかった訳だが……まずはこれだな」


火属性の魔石を手に取り、ちょっぴりだけ魔力を流してみる。

すると魔石からはマッチくらいの火が灯る。

それを摘んでいる状態だが『抗魔』のお陰か暖かい程度の温度しか感じない。


「ふむ、常時こんぐらいの魔力を流して何かの容器に容れると、照明器具とか作れそうだけど……」


容器にも心当たりがないし、何よりそういうのは多分『魔術』スキルの領分だ。

こんな感じで、だったらこれを……いや、これをこうやって、と色んな物を構想し試行錯誤していくつかの試作の道具が完成。


火と水の魔石を分厚くした糸袋で包んで、一本だけ内部と繋がっている魔術蜘蛛の糸から魔力を流すと水蒸気の煙幕を張る煙玉ならぬ”煙袋”。

上同様の糸袋に火、風そして土の魔石を混ぜた散弾式手榴弾っぽい爆発を引き起こす”爆弾袋”。

水の魔石を浮遊石に粘着糸で空中に浮かせ、魔術蜘蛛の糸に魔力を流すと上から水を降らす”シャワー機もどき”。


早速とばかり逸る気持ちまま、使ってみたのだが……先に結果をいうと全部失敗作である。

煙袋は水蒸気がではしたが出力不足なのかあんまり広がらなかった、精々俺の体を一瞬だけ包む程度でそれもすぐに晴れる。

爆弾袋も同様に火力不足でよくて爆竹くらいの威力、飛び出させる予定の石礫も火力不足で射出しなかった。

シャワー機もどきは使えるちゃ使えるが使い切りだから燃費が悪いし、『水魔法』のある俺はあまり必要ないと完成してから気付いた。


「結局、魔石を無駄にしただけか……いや、改善点は分かったから次に活かせばいい。それよりも」


本命の実験に移るべく、鏡面の鱗を随所に配置していく。

陽光の反射角を一点に集まるように調整する作業は手間だったが何とかやり終え、その集光点へ手を入れる。

『光魔法』を発動して陽光を制御下に置く。

後はこれを極限まで圧縮して一方向に放てば……


「ぐぐっ……! お、思ったよりキツイな。それに手が、熱い!?」


魔法で光エネルギーを一方向にだけ送るのは想定していたよりも難易度が高い。

少しでも気を抜けば四方八方に拡散しようとするし、圧縮してると余熱が伝わってきて火傷してしまうから集中力が持たない。

これよりも大規模な集光をあの短時間で制御してた鏡面蜥蜴の器量の高さを再認識する。


「はぁー……っ。駄目だ、これでは使い物にならない」


半分意地で続けてみたのだが、結局は見当違いな方にばっか飛び魔力が底をついた当たりで諦める。

もし出来たら限定的とはいえ、強力な攻撃手段を手に入られると思ったんだけどな……。


「ま、これは『光魔法』を鍛えてくと何れ使えるだろ……こうなると全部回収か? 面倒い……」


空間を最大限活用するべく、浮遊石で宙に浮かせたのもあるからさらに面倒臭さますが、ここに捨てていく訳にもいかない。

仕方無くせっせと散らばっている鏡面の鱗を回収に回る。


「1,2枚分なら自由動かせるのになぁ……」


回収する最中に何となく名残惜くなり、鏡面の鱗を1枚摘み『光魔法』でその反射光を弄ぶように操作する。


―― その時、ふと違和感のようなものを感じ取った。


「これは……魔力が何かに 触れた(・・・)?」


自然と首が回り違和感がする方角……操作している反射光が照らす先を見る。

そこには遥か遠くに、意識しないと見えないような距離にいる一匹のゴブリンがいたのだった。


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