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エデン・マキナ ~我らは機械仕掛けの楽園にて謳う~  作者: モッコム
第1章 楽園開場
25/62

光獣死闘

遅くなりました。


m(_ _)m

勘違いではない、鏡面蜥蜴の目は確かにこっちを向いている。

何故バレた!? 改めて確認したが『偽装』と『隠密』は問題なく効果を発揮している。

高レベルの索敵系スキルか? ……と、逡巡していた時偶然俺の顔が映し出された鱗が1枚が視界に引っ掛かった。


「そうか、あれで……!」


AR技術でのホログラムサーチポインターが無かった昔の軍隊では鏡などで角や背後を確認するのは基本だったという。

あの鏡面蜥蜴も鏡みたいな鱗を動かし反射光を調整して広範囲な視野を確保しているのだろう。

鱗の可動域次第ではあるがもしかすると全方位が見える、なんてことも有り得る。


流石に俺の『偽装』レベルでは有らゆる角度から見えなくする、とかは無理だからな……。


「……って暢気に考察してる場合じゃなかった! 早く逃げ――」 


―― ピカッと、鏡面蜥蜴の花のように咲いた(・・・)尻尾から閃光が迸る。

後に続くは空気が膨張し破裂する音と何かが一気に融解したようなクツクツとした音。

尻目に俺の背後を覗くと1枚の岩の丁度俺の頭がぐらい高さに表面が赤熱した小さな穴開けれて、そこからシュ~と煙が昇っていた。


「れ、レーザー!? 今度こそマジモンのレーザー攻撃きたぁー!?」


と、驚愕しならも、もう完全に逃げ癖が染み付いたのか反射的に駆け出す。

あっぶな! 逃げるため、直前に体の位置をずらして無かったら今のは眉間を撃ち抜いてた!

遅まきながらそのことを頭が理解して、ツーと額から脂汗が滲む。


「兎に角イセットと合流して、その後は何とか撒いて隠れ家まで逃げないと、な!」

「シュルル……ッ!?」


短い四足から出せるのが信じられない程の速度で地を這いながら追ってくる鏡面蜥蜴。

これは直接狙っても当たらないと『風魔法』で土埃をまき起こしながらせめてもの思いで目をくらます。

が、それらは鏡面蜥蜴も『風魔法』を駆使した事で瞬時に払われてしまった。


「んなッ!?」

「シュル~ッ!」


魔法で目を封じたと思い、ちょっと気が緩んでいた。

その隙を逃さないとばかりに薔薇のガラス細工のように変形した尻尾がこちらを向きまたも眩い光線を照射。

咄嗟に身を横に逸らすが間に合わず左手に光線が直撃し、肉と骨を光が貫き溶かしながら風穴を。


「くわぁぁあーッ!?!」


体を文字通り溶かされるという、あまりの激痛に思わず悲鳴を上げてしまう。

でも、だからって止まっていたらそれこそ命取りになる。

歯を砕けんばかりに食いしばり、『光魔法』で怪我を強引に防ぐことで痛覚を誤魔化す。

今度は油断なく『風魔法』で土埃を舞わせ、合間に『水魔法』の弾丸で苦しい紛れの反撃を仕掛けたがそっちもそれ程効果が見られない。


「どうする……どうすればいい!」


拳で戦う……正確無比のレーザー射撃で近づくのすら困難。

今更隠れてやり過ごすか奇襲……やつには死角はないから奇襲とかは端っから無理、そもそも速過ぎて振り切れない。

走りながらも鏡面蜥蜴の対抗策を捻り出そうしてみたが何も浮かばない。

くそ、あんなの俺一人じゃどうにもならない……せめてイセットが居れば……。


「ッ……何でもかんでもイセットに頼ろうしちゃ駄目だ。頼るにも本当の本当にやれるだけやってから!」


頭を振るい、さっきまでの情けない考えを霧散させる。

どこかで”イセットなら何とかしてくれる”っていう依存じみたものがあったようだ、でもそれでは駄目だ。


そもそも、俺は仮拠点を出る時イセットに”大丈夫”だと断言しているのだ、まだやれる事があるのにただ逃げ帰るだけじゃ主として格好がつかない。

それに……もう誰かに依存しないと生きていけない何てのも、うんざりだ。

だって今度こそ一方的に頼るのではなく、頼られる存在になりたいから。


後方から迸り周囲の空間を埋め尽くす濃い影を生み出す光の奔流……次の射撃がくる!


「なっ、めんじゃねーッ!! くふッ!?」

「シュル~ッ!?」


避ける軌道を予測出来なくするために適当に『風魔法』を自分の身に叩きつけて、後方へと吹っ飛ばす。

鏡面蜥蜴も流石に予想外だったのか高熱を内包したレーザーは明後日の方向に飛ぶ。

そのまま俺は地に打ち付けられるも反動で体を無理矢理起こし、体制を立て直す。


避けたはいいが……どうする、どうすればこいつを出し拔ける?

いや、というか何であの蜥蜴はレーザーなんてとんでも技が使える? 生物にそんなことをする器官はないはずだ。

あの体から想像出来るのは……太陽光を反射して、とかだけど……あの体面積で岩をも貫通する光量が集まるとは思えない。 

あとは『光魔法』だけど、これは初日自分で試したが全魔力を注いでも全然だめだった記憶がある。

だだのとんでも生物だったり魔力が桁違いだったら勝ち目はないが……黒猪とかに感じた程の威圧や恐怖は感じ取れない、というかあれよりは確実に格下だ。

だったら何かからくりがあるはず……百聞は一見にしかず、というよな。


「おい、蜥蜴野郎もう一発撃ってこい」

「……シュルルー」


だから一回じっくり観て、見抜いてやる。

不意をついてレーザーを避けた俺が逃げないのが訝しんでるのか、それとも癇に障ったのか厳しく睨みつけてくる鏡面蜥蜴。

それでも攻撃を止めたりはせず俺に向けて変形した尻尾を蠍の尾のように構える。

その様子を一瞬でも見逃さないためにも凝視し続ける。


魔力の流れは……感じる。

スキルもないのに何故分かるかと言われると……この感覚は俺と同じ『光魔法』だからか感覚的に分かる、としか言えない。

そしてこの魔力の流れ、鏡面の鱗で尻尾に集めた太陽光を片っ端から支配下に置いてるのか……。

レーザーの正体は鏡面の鱗で集めた光を『光魔法』で圧縮し、それを一気に放っていたのか。

四方八方に広がる光エネルギーを一箇所に留めて指向性付与まで、俺のMPだとMP回復含めて同行程に数十分は掛かるぞ、なんつーバカげたMP量だよ、ちくしょ……。

でも連射は飛んで来なかったな、最初に当てた時に間断なくレーザーを撃っていれば俺を仕留める事も出来たはずなのに、だ――


「シュルルル~!!」


そこで避ける素振りも見せずじっと睨んでいる俺に苛ついたのか、長い舌を激しく震わせながらレーザーを撃ってきた。


「ぐぅぅーッ!?!」


熟考していた俺は当然ながら避けれずそのまま光熱を宿すレーザーを体に受け、穿かれる。

当たるのは覚悟してたので反射で急所だけは逸れたが、今度は左の二の腕をやられた……かなりに深手、手に合せてこれでは当分使い物ならないだろう。

激痛が走るがそれでも思考だけは止めない、止めてはならない。


「シュルル~」


やつは俺が動かないと見てか残虐心が宿った目を光らせ次のレーザーを貯めにかかった。


―― 多分、必要量を貯めるのにやつでも少しは時間が掛かるのだろう、今もすぐは撃ってこないのが良い証拠だ。

なら対処としては鏡面蜥蜴の周りを遮光すればレーザーは撃てないってことだが、『風魔法』の煙幕は直ぐに払われる。

『光魔法』で支配権を奪い合いは……こっちに分が悪い、というか無謀。

何せこっちは『光魔法』のレベルが低過ぎるし、ひと目見ただけでも分かるほど色々と力量に差があり過ぎる。

なら……


「ピカピカと鬱陶しい鱗だな。これでも……被ってろ!」

「シュルルゥ~!?」


悪態をつきながらご機嫌で佇んでいたやつに、一気に『水魔法』と足元の土を掛け合わせ生成した泥を蹴り上げることで曇りのない鏡面の鱗……その尻尾部分にあるガラスの薔薇に引っ被る。

魔法が急拵えでMPが馬鹿みたいに減ったが、これで一時的にレーザーは封じた。

が、まだ足りない、後もう一押し……あの物騒な尻尾を、断つ!


僅かにあった距離を『追跡』と『風魔法』でブーストして一気に詰める。

炎の爪をしっかり握り締めた右腕で尻尾の根本をパリーンとした音を鳴らして穿つが、まだまだ!

久々に『水魔法』と『風魔法』を同時に載せた、ジェットをゼロ距離で叩き込み、半ば尻尾を炎の爪で引き千切るようにしてもぎ取った。

尻尾が千切れるブチブチとした音と、俺の腕からバキバキとした骨折音が響く。


「~~~~~ッッ!?!」

「がはぁッ!? 何かこの感触も……懐かしいな!!」


痛みでアドレナリンでも噴出しているのか、妙にテンションが高い声が漏れる。

まぁ、今の体でそんなのが出るか分からないが、そう思える程に高揚しているのは確かだ。

今は痛みを誤魔化せるのでむしろ好都合だ。


「シュルルゥ~~!!」


鏡面蜥蜴も完全に頭に血が上ったのだろう、荒々しい息を漏らしながら俺に突撃してくる。

同時に『風魔法』での弾丸も飛んでくるがこれらは『抗魔』スキル頼りに無視。

あっちも尻尾を丸ごと持ってかれたが、俺の方が重傷なのは変わり無い。

それにお互い主武器が満足に使えないのも同じ……と思っていたら鏡面蜥蜴が俺に飛び掛かり爪を振り下ろす。


「ぐっ……! 野生の蜥蜴だもんな、そりゃ普通に肉弾戦も出来る、よな!」

「ひゅ~ッ!?」


それならとお返しに体当たりを食らわす。

体当たりをした勢いのままにバランスを崩した鏡面蜥蜴の懐に潜り込み、口に炎の爪を銜えた状態で。


「どっかざるが、両腕やられだ、程度じゃ……まだだって、おじえてぐれだ、もんでな!」

「――――――ッッ!?」


ドスッ、鱗のない腹に爪を突き立て残る滓みたいな魔力を振り絞るように込めて、温度を上げる。

口内を焼く高熱か大きな爪を銜えているためか、声がくぐもっているが大した問題ではない、後で直せば事足りる。

鏡面蜥蜴は内蔵が焼かれる激痛に声にならない悲鳴を上げているが、まだ目が死んでいない。


「ぐぁあぁぁ――――ッ!!」


爪を銜えたまま雄叫びをあげ、腹をかき混ぜ、引き千切り、抉り取る。

相手も死に物狂いで俺を引っ掻き、引裂き、噛みつき、噛み千切る。

かたや自分に誇れる自分であるがために、かたや生き残り強者であるがために。

両者は鎬を……命を削る合う。


正しく血湧き肉躍るその狂宴は片方の命が尽きるまで続いた……。


最近まで更新完全にストップした理由ですが。

長年使っていたマウスが遂に逝ったり、楽しみしていたゲームダウンロードして実行してみたらブルースクリーンが出たりとパソコンが色々と荒れたせいですが……何とか立ち直りました!


まぁ、パソコンは未だ執筆中にブルースクリーン出たりとしますけど、私はゲンキデス。

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