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エデン・マキナ ~我らは機械仕掛けの楽園にて謳う~  作者: モッコム
第1章 楽園開場
22/62

君へのかっこつけ方

半端犬ゴブリン集落強襲から時間は一日遡り、半端犬ゴブリンを捕獲したその日の昼に戻る。



_____________________


  名前『アベル』 性別『男』 種族『人間族ヒューマン


  レベル『11』 属性『無』 特性『なし』


 《スキル》


『走行LV8』『風魔法LV7』『水魔法LV7』『光魔法LV5』『素手LV9』

『抗魔LV5』『追跡LV3』『索敵LV3』『隠密LV3』『偽装LV3』


 《称号》


『大物殺し』『密偵』

_____________________


_____________________


  名前『イセット』 性別『未定』 種族『魔幼虫キャタピラー


  種族レベル『11』 属性『無』 特性『蠢爾、草食』


 《スキル》


『回転LVMax』『回避LV9』『逃走LV8』『突進LV8』『弾化LV7』

『硬化LV7』『風魔法LV5』『糸生成LV4』『鎧術LV1』『増力LV1』『防御LV1』


《称号》


名有化物ネームドモンスター』『付き従う者』『戦士』

_____________________


「うーん、スキルレベルそれなりに上がったが……それ以外は特に何もなし、と」


今自分の手札を改めて確認するためステータス画面を睨むがこれ言って変化も閃きも湧かない。

罠に掛かっていた半端犬ゴブリンは”首輪付き”で森深くに放流したし、後はそいつが目的地まで辿り着くまである程度奴らの群れを相手取る算段を付けとかないといけない。

だからステータス画面と睨めっこしてる訳だが、俺もイセットも範囲攻撃手段は持っていないのでこれだけを見ていても仕方ないと気付き、そっと画面を閉じる。

イセットの『鎧術』が5SP消費だったので、残った5SPで対多数戦用のスキルを取るのもありちゃっありだが……。

これはそう性急に決めるものではないし俺が勝手に決めていいものでもない、よってイセットから提案あるまでは保留。


「もう『喰香』で分断して弱のをイセットが殲滅、ってのは無理だからな。だったら持ってる”物”でどうにかしないと……」

(ゴロゴロ?)


そう言いながら隠れ家に今まで収集した様々な戦利品や採集品を広げる。

おなじみ炎の爪、謎の石(小石)2つ、謎の石(小粒)詳細不明だけどいっぱい、浮遊石の破片、植物亀の甲羅の破片、魔術蜘蛛の糸、ゴブリンの武具防具、毒草若しくは薬草……あ、後は食料のバナナもいた。


「こうして広げて見ると結構な数いるな……」


因みに植物亀の植物部分やバグエッグの亜種っぽいのの戦利品がないのは、何故か消滅したからである。

植物亀はなんて何故に亀の部分は残ってるのに植物部分だけ消えたのか……このゲーム生物は相変わらず謎が深い。

謎と言えば消える魔物から出てくるこの石だ、これって結局どのような物なんだろうか?

一応使い道があるかもとゴブリン住処に落ちてたのは拾い集めて置いたのだが、未だに用途が分からないままだ。

透明、赤、青、緑、茶色と、色とりどりの宝石ようで見分けるのは簡単だがそれ以外にはあまり知らない。


「……眺めてるだけしてもどう仕様もないし、色々とアプローチを掛けてみるしかないか」


まずは叩く突く等の衝撃を与える……特に変化はなし、強いて言えばそれなり頑丈なのか割れたり砕いたりはしないかった。

次は複数持って圧迫する……何か一部が結合した、何度か試したが同じ色だけ結合するっぽい。

炎の爪で引っ掻いてみる……青色が無傷、赤色が吸収、緑色は……びっくりする事に爆発、なお他の色は普通に砕ける模様。


「うわっ……!? ま、まさか、いきなり爆発するとは……心臓が止まるかと思ったぁー……。あれ、でもそんなに痛くはない?」


規模は大したことなかったとは言え俺には物理的な防御力はさしてない、この至近距離でこの程度となると魔力由来のものか?

『抗魔』スキルがある関係で魔法などの魔力由来の攻撃にはそれなり打たれ強いから、その線が有力だろう。


「となると、これは何かに魔力的な物質かな? そうなれば次は……」


1つの透明色の石に魔力を操作して直接流しこむ。

最近気付いたことだが別に魔法スキルを介さなくとも純粋な魔力を体内で操作したり、放出した出来るらしい。

まぁ、スキルとは関係なく魔力回路という器官は最初からアバターに備わってるのだから、ある意味出来て当然か。

ただ属性がないからか今まで何をやってもうんともすんとも言わなかった訳だけど……どうもこれでは変化があるらしい。

透明色の石が淡い光を放ち、それは魔力を送るに連れ強くなり続け……


パァーンッ!


……やがて限界を迎えるかのように周りに衝撃波をばら撒き、弾け飛んだ。


「うお! 今度は予想してたけど。分かっててもびっくりするなぁ……しかも手が震えてる。でもこれで推測は大体あってることにだから……」


爆発は怖いけど……


(ゴロゴロ~?)

「だ、大丈夫だ。そんな心配そうにしなくても大丈夫だから」


イセットに余計な心配を掛ける訳にはいかない、今にもトラウマが呼び起こされそうだけど気張らないと。


そうとなれば、後はどことんまで試すまで!

各種の謎の石……これからは仮称として”魔石”と名付けたそれらに様々な組み合わせで魔力を流し込む。

そこで透明色が無属性、赤色が火属性、青色が水属性、緑色が風属性、それと多分茶色が土属性。

茶色の対応属性が多分なのは俺に土属性を付与する手段が無かったからだ。

火属性の方は炎の爪が垂れ流してるのかそれで何とかなったが、こればっかりはなぁ……。


「で、ここまで魔石ついて分かった事を整理すると……」


・色ごとに異なる属性の魔力を宿している。

・同じ属性の魔石同士では結合する。

・一定量以上魔力を流し込むと魔石が耐え切れず魔力が溢れ出し、勝手に魔法が発現……暴走する(水魔石の場合辺りが水浸しになる等)。

・物理的な衝撃には強いが魔法的な衝撃には脆い。

・流すこむ属性の組み合わせによって様々な現象を引き起こす。

・同属性の魔力を流し込む場合は元の色で発光する。

・光、闇属性は珍しいのか知らないけど、手持ちでは全く見当たらない。


「……こんなとこか」


魔石に関しては一先ずここまででいいだろう、大体の使いはもう思いついたしな。

……とは言っても、魔術蜘蛛の糸以外はどう活用するか最初から決めてある。


「これにも魔力を流して……おお、めちゃスムーズだな」


元から魔術に使われていたものなので、これにもと試しに魔力を流してみれば物凄く滑らかに魔力を通った。

こう、なんて言えばいいんだろう……伝導率? が良いよな、そんな感じの手応え。

少し障壁がある感触の魔石と比べると抵抗感がまるでない感じられないくらいの差。

魔石に魔術蜘蛛の糸を介して魔力を流し込んでも一切のロスや滞りがない。


「これは……ふ、ふふ、上手くすればゴブリン住処の1つや2つぐらいなら……。イセット今から出掛ける。糸袋をいくつか準備しといてくれ」

(ゴロゴロ~?)

「ん? ああ、ちょっと忘れ物を取り行く。さーて、これから忙しくなりそうだ」





♢  ♦  ♢





所変わって現在地は半端犬ゴブリン共の住処、その近辺の森。

首輪付きのわんこはちゃんと主人の元に舞い戻ったのか、しっかりとここまでの繋ぎになってくれていた。

『水魔法』で匂いを極力自分の消し、念の為、周りの土を全身に塗りたくる。


「これで匂いは誤魔化せるはず……」


『隠密』スキルを発動し感知スキルも遮断して、『偽装』で一番周りに溶け込みやすい場所を選び住処へと潜入を試みる。

一軒、二軒と木組みの家を渡り歩くが、バレる様子はない。


「よし、第1関門はクリア。後は魔石を気付かれないように各所に置いてくだけ……」


特段問題もなく住処中に魔石を均一間隙になるようにばら撒く。

と、言うのも何故かは知らないが半端犬ゴブリン共は今一箇所にて集まっている最中なのか、警備が杜撰になっているので作業が楽々であるからだ。


「敵がこんな奥深くまで潜り込んだというのに、呑気な奴らだ」


程なくして魔石の設置作業を終えて、住処の外へと無事脱出に成功。

まぁ、脱出と言っても上記の理由でそれも楽勝であった。


「後はイセットとの待ち合わせ場所まで……全力疾走だぁ!!」


『走行』、『風魔法』の加速で森を駆け抜け……イセットが視認出来る距離からは『追跡』も開放して更に速度を上げる。

その進路上には白いテープような線……イセットの『弾化』が付与された糸束が待ち受けている、なので迷わずダイブ! 例によって空高く弾き飛ばされイセットもまた粘着糸で追従。


「そんじゃ……一丁派手にいきますか!」

(ゴロゴロー!)


さっきからずっと握っている一本の糸……魔術蜘蛛の糸へと魔力を流し込む、すると……。


パァァ――――――ン!


それに繋がっている、予めぎりぎりまで魔力を溜め込んどいた魔石が爆発するように魔法を暴走させる。


パァァーン! ドドーン!! ガァ――ン!?


元・空歩猿の縄張り、バグエッグ亜種戦の跡地で魔石を掻き集めたのも功を奏したのか、あっちこっちで凄まじい爆音を響き渡る……が、それがいけなっか。


「うっ……」


自分でやっと何だがやっぱ爆発音には災害時を思い出され、身が竦む。

だが、これは事前に覚悟した事だ、ビビってる暇はない……というかそんな余地を断つ意味でこのタイミングに起爆させたんだから。

頭ではそう理解しているが今からあの立て続けに爆発が起こる現場にと思うと、今にも身震いしそうだ。


(ゴロゴロ~……)

「あ……」


いつの間にか俺の傍まで追い付いたイセットがゴロゴロと顔を覗き込んでくる。

また、この子に助けられ、心配されるばかりでは訳にはいかない。

きっとそれはこの子の主として相応しくない、何よりそれくらいのかっこも付けないようじゃ自分で納得できない……!


「ふぅ……、はぁー。場は整った……今からあの犬っころ共に一発ぶちかましいくぞ、イセット!」

(ッ! ゴロゴロ!!)


落下が始まっていたので風と『風魔法』の流れを同調させ滑るように滑空飛行へと移行。

目標は俺が強い個体あるところ、イセットが数が集結してるところと打ち合わせている。

そして都合の良い事に今は何かの集会でもあるのか”群れ”と”ボス”が狙いやすいように分断されている。


だったらもう迷う必要はなし、ただ目標だけを見据えて―― 吶喊す!


「キャウッ!?」

「遂にここまで来てやったぞ、犬っころ共がァァー!!」


魔石にはまだまだ活用法がありますが、それが出るのは当分先の話になりそう……。

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