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エデン・マキナ ~我らは機械仕掛けの楽園にて謳う~  作者: モッコム
第1章 楽園開場
11/62

影獣襲来

やばい……ついにストックが尽きました。

なので次回から投稿間隔さらに開くかもしれませんので、先に謝っておきます。

血痕を辿りながら森を進む。

傷や矢の処理などは途中に並行して行っている状態だ。

かなり無茶だが余力ある内に目的の場所に着きたいし、いつ陽が沈むかも分からないので時間を無駄に出来ない。

現在の治療は主に『水魔法』で施している、理由は勿論『光魔法』だと眠くなりやすいからだ。

逆に『水魔法』での治療は血流が活性化される影響か体が暑くなって寧ろ眠気が吹っ飛ぶ。

だから『光魔法』と『水魔法』を3:7って比率で使用して気をしっかり持つように調整している。

それと最初は緑色の水玉がHPバーの横にあった気がするが、『光魔法』の治療で消えたから大したことなかったのだろう。

あれは何だったのだろうか?


「ん? あれは……木の柵、なら当たりか」


そんなこんなで血痕頼りに森を進んでいると遥か先、辛うじて見える距離に木で出来た柵ぽい物体が視認出来た。

そして柵の隙間にゴブリンらしき影がチラホラと……狙い通りゴブリン共の拠点らしき場所に着けたようだ。


「住居は……一応あるな」


未だ眠っているイセットを抱え直して腹這いで身を隠しながら匍匐前進で少しずつ近づき、ゴブリンの住処か観察する。

周りを木の柵で囲み、内側には採伐した樹木を蔓で固定して組み上げた簡易な家と動物の皮を使った天幕が点在していた。

今は明るいので消してあるが篝火など一定間隔で置かれていて入り口には見張りのゴブリンが立ち尽くしている。


「これは……夜襲とかでも奪取するのはちょっと厳しいか」


わざわざ血痕を辿ってまでゴブリンを追跡した理由……それは今言った様にゴブリンの住処を奪えるのでないか? という発想からだ。

自分で言っといて何だかなり悪逆な行為だという自覚はある。

が、そもそもが先に襲って来たのは向こうでこっちは危うく死にかけたのだ。

何より向かってくる敵に情けをかけるようじゃ死ぬだけ、それはもう昨日嫌って程に(体で)学習している。

何よりもう誰を優先するべきか……それはもうはっきりとしてるのだから。


と言う訳でどうやればゴブリン共から住処を奪えるか考えてみたのだが……かなり厳しいという結論しか出なかった。


簡素とは言え、防御拠点がある集団を個人でどうこうしようってのは無謀なだけだ。

それにざっと見た感じ少なくともゴブリンの数は50はくだらない。

十数匹にも苦戦したのに無策で飛び込むのはただの自殺行為にしかならない。

……これ以上はただ眺めていても埒が明かない、見付かるとやばいし一旦離れよう。


そっとバレないよう細心の注意を払ってゴブリンの住処から距離を取る。

ここでバレたら一巻の終わりだ。

そう思うと心臓がパクパク早鐘をうつ、本当にバレてないのだろうか不安になりながらも安全圏まで退いていく。

ゴブリンの拠点が完全に木々の向こうに隠れてから漸く一息ついた。


「はぁー……。ここまでくれば一安心か。で、結局どうしたらいいものやら……」


殆ど木で出来てるし焼き討ちは……駄目かこれでは拠点確保にならないし、そも俺が火災を冷静で居られない可能性が高い……うん、これは却下。

川の水を引いて水攻めは……これも駄目ってか無理。

水辺には魔物がうじゃうじゃいるのでそんな悠長なことをしていると囲まれて嬲り殺しにされるのオチだ……これも却下で。

後は地道に敵をおびき寄せて数を削るとかだけど……。


「それだと削り切るまで時間が掛かり過ぎるんだよなぁ」


そんなことを始めれば大雑把な想定だけでも数日は掛かる上に、まともに休めないこっちの体力が持たない。

俺一人だけならそれこそ死ぬのも過程に組み込んでやれそうだがイセットは蘇るのか分からないのでリスクが高過ぎる。

こういうAIは法律的に仮想世界の死と共にデータ削除とかはもう禁止されてるけど、その仮想世界からの排除は可能だ。

要はあくまでゲーム外にあるデータベースに戻るだけだが、それでもゲーム内には二度とダイブ出来ないようになる。


リアリティー重視の仮想世界ではよくあることなので俺はともかくイセットを危険に晒すのは論外。

……と、なると今度こそ万事休すか


「いつ起きるか分からないイセットを一人置いとく訳にも行かないしな。はぁ~」


もう打つ手なしと分かり、自然と首筋から力が抜け俯き


――偶然、不自然な、そしてとても不吉な影の揺れが、目に映る。


「なん――ッ!」

「ブ……」

そこから像牙色の2つの突起と豚のような鼻先を見て反射的に横に跳ぼうしたが、これじゃ間に合わない。

仕方なくイセットを庇うように抱き締めて身を宙へと浮かして『風魔法』を叩きつけ真横にすっ飛ぶ。

そんな体勢で受け身など取れる訳もなく、地面に強烈な衝撃を受けながら落下する。


「……ヒイィィー!!」

「がはッ!?」


肺から空気が吐き出され視界がチカチカとするが、構う場合ではない。

さっきまでに俺が立っていた場所に黒い巨体……初日から散々を俺を殺しまくった、あの黒猪が暴風巻き起こしながら通り過ぎて行ったのだから。

揺れそうな意識を何とか引き止めて立ち上がり、黒猪を目で追い今度こそはっきりとその異様な光景を眺める。


「影に……沈んでいく」


一瞬、自分の目を疑うが、紛れもない巨大な黒猪が樹木にぶつかる寸前に影に沈み込む場面が鮮明に眼膜へと映るのを認識して現実だと受け入れる。


いや、ゲームってか、仮想世界なんでもあり何だろけど、あの巨体が一瞬で影に隠れるとか普通にシュール過ぎる光景だろうが!

イセットで多少慣れて来てたとこなのに追い打ちでこれだ、少しはこのゲームの破天荒ぶりに慣れるまでの時間をくれ、時間を!


と、WCOの運営に文句をぶーたれているとまた前方の影がゆらゆらとし黒猪が飛び出す。


「ブルンィーッ!」

「ッ!? うわ、危な! また出た!?」


しかも全然減速してないとか、影の中はどうなっているんだよ!

もしかして影が繋がっているならどの方向と場所にも自由自在とか言わないよな?


もし、そうなら見つかった時点で逃げ場はないってことになる。

くそぅ、拠点に使えそうな場所も見つけて、これからってところに……ん?


「いや、このタイミングはむしろ好都合かもしれない」


ふっふっふっ……これが上手く行けば一石二鳥どころか一石三鳥になるかもしれない。

でもそのためには……


「まず俺がこいつの動きを対応可能にならないといけない」


何気にこれが一番難題だが、やらなければイセットも俺も死ぬだけだ。

まぁ、こういうのは俺よりイセットの領分だから、正直いうと今にもイセットに泣き付きたいが……


「そんなもん主としてカッコ悪いにも程があるからな。さぁ、気張っていこーか!」





♢  ♦  ♢




あれからどれだけ時間が経ったのか、長期間の極限集中状態でもうあやふやになっている。

加えて時折イセットに突進が掠れそうなったり、いきなり背後に現れたりで心身ともに磨り減っていく。

それでも怒涛の勢いを止まずに影から影へと突進して、俺の仮想の命を轢き潰そうと黒猪を視界に収め続け観察する。

いったいどういう原理で影に潜れるのか、それは読めるものなのか、一歩踏み外せばアウトのチキンレースをしながらも脳をフル回転させる。

そのお陰でいくつか仮定が立てれたが確証がない状態だ。


「確かめるしかないか……あんまりやりたくないけど」


その確証を得るため、俺は『風魔法』を発動し魔力を周囲の風に……正確には空気に拡散させるように流し込む。

で暢気にそんなことをしてるのを黒猪が待ってくれるはずもなく、またも瞬間移動じみた影移動で俺へと一直線に突進してくる。


「くぅッ! 掠ったか……」


魔力操作に集中しながら回避しきれる位置と速度ではなかったので、鋭い牙に二の腕げ掠れて引き裂かれる。

今は魔力が思った通りの働きを見せるか見る方が重要だからすぐに死にそうでない怪我以外は無視だ。


2回目の突進、空気中に魔力が拡散され俺のは掌握下に置かれいく。


3回目の突進、今まで一定の速度広がっていた魔力が徐々に拡散速度を落とす


4回目の突進、もっと多くの魔力を送ると拡散速度が上がる。


5回目の突進、だがそれも長く持たずまた拡散速度が落ちる。


6回目の突進、また送る魔力を増やす、上がる


7回目の突進、また速度が落ちる。


送る、上がる、落ちる、送る、上がる、落ちる、送る……傷を蓄積させながらも、それを繰り返し行い今度こそ確信を得るための糧にする。


と、もう時間切れか……まだまだ、検証が足りないがこれ以上はHPもMPも持たない。

何より日が暮れれば僅かにあった隙すらもなくなる。


「結局また命チップに博打か……ここに来てからこればっかだな、俺」


はぁ~もう嫌になる……しかもチップにする命が自分以外のものもあると思うとキリキリと胃が痛い。

が、そんな場合ではないので愚痴とかは後だ、後だ! 

今はこの精密射撃してくる暴走列車みいたなコイツをどうにかしないと、全て水の泡だ。


「付いて来いや、この黒豚ッ!」

「ブヒィィィーッ!!」


『水魔法』の水球と軽い挑発を声を放ちながら、回避しながらも見繕っておいた場所の林に黒猪を誘導するために。

魔法のダメージは殆どないのか煩わし気に水球を弾き、掻き消しながらも影に潜り込み追撃の準備に入る。

どっちかというと黒豚って言った時の反応が激しかったような……流石に人語を解するとは思えないから雰囲気かニュアンスで分かった、ということにしとこ。

それにそれならそれで利用すればいいだけだ。


「おっと、どうした鈍って来てるぞ? あ、豚足だから」

「ブヒィィィイー!!!」


で、試し出てきた黒猪を挑発すると今まで以上の猛スピードで突進を敢行し、進路上の木々を薙ぎ倒す。

いや、そもそも豚呼ばわりされたくないならブヒブヒと鳴くなと言いたいが、そこを突っ込むのは野暮なのは俺でも分かるのでやめとく。

それにお陰で一気に目標時点に近付いた。


俺はその後も似たような感じで黒猪を挑発しながら目標地点に誘導していく。

だたこれ、傍から見れば俺が黒猪を罵倒してイジメるてるようにしか見えない気が……いやいや、これは作戦、戦略的な行動であってそんな意図は決してない!


「それに、うわっと! いじめられっ子の反撃と言うには、ほっ! 暴力的てか破壊的過ぎるから、な!」


そんなくだらない冗談を言ってる間に目標時点の林に……入れる影が制限された場所に辿り着く。

さーて、ここかれ本番だ。

ここでミスれば間違いない俺とイセットは仲良く死亡確定だ。

まあ、殺られそうならイセットだけでも無理に起こして逃がすつもりではあるが、そう都合良くことが運ぶとも思わない。


「そんじゃラストスパート行きますか……おい、黒豚早く出てこい! それとも走り疲れて中でへばったか!」


喉がカラカラになりながらも挑発を続け、さり気なく目星をつけた木陰が背になるように移動する。



―― 黒猪の影潜り移動にはいくつか条件と制約がある。


1つ、自分の影だけには潜れない、若しくは潜らない。

2つ、影を渡るには影同士が継がってないといけない。

3つ、影から出る時には必ず影が揺らぐなどの前兆がある。

4つ、断定は出来ないが影から出る時の体の向きを自由に変えられる。

5つ、影の中を移動するのが地面を走るより早く移動出来る。

6つ、これが最も重要なのだが……影潜りは魔法の類であり、影を魔力で掌握しないと潜ったり渡ったりは出来ない。


で、さっきした魔力操作実験の結果分かった事だが、魔力は一定範囲までは一瞬で送れるがそれを逸脱すると送る速度が徐々に遅くなる。

なので直接触れた影は掌握出来ても離れ過ぎている影は潜れないし渡れない。

森の中だと進路上全てに影があったので、俺の全方位を掌握するのは訳なかったと言うことだ。

影から出る時の前兆がなかったら、とか思うと今でもゾッとする。


これで黒猪があの巨体で常に奇襲出来たカラクリも想像がつく。

遠くから何らかの手段で俺の位置を察知して時間を掛けて俺の近くの影を掌握、助走をつけるように突進しながら影に潜り、俺近くの影でドーンと現れて轢き殺す。

わざわざ格下の俺に毎度そんな面倒な事をして奇襲するとか、図体がデカイ割にはとんでなく慎重なやつだ……まぁ、頭の沸点は低かったようだが。



その挑発で俺の背後にある木陰、それもほぼ孤立している木陰を通るように黒猪を誘導する。

今まで同じように挑発に乗り猛進してくる黒猪を避ける……が、少し避けるタイミングがズレたのか突進がかすり突き飛ばされる。

イセットは咄嗟に庇って事なきを得たが俺の体からはまた骨が何本逝った音が鳴る。


「くぅーッ!? ここに来て、疲れが響いて来たか……」


意識したら何か脚まで重くなった気がする……くそ、もう少しだけ持ってくれ、俺の脚! 後少しで何だよ!


間違いなく筋繊維がズタズタになっている脚に無理矢理動かして『風魔法』も併用し次の地点へ……さっき黒猪が踏ませた木陰を背にしたまま急ぐ。

まるで逃げるように、出来るだけ必死さを醸し出しながら……目標へと、真っ直ぐに。


「あっ」

 

そして脚から力が抜けたように見せかける……必要もなく実際に休みたい本能に身を委ねて倒れ込む。

これを好機とみた黒猪が、突進したまま遠くから影に潜り、俺の背後の唯一の木陰へと渡る。

俺の背後にあるその木陰から前兆である影の揺らぎが見え、黒猪飛び出そうと……


「掛かったな! もういい加減お前とのチキンレースも飽きたんだよ。だから……あっちに行ってろ!」

「ブヒィイー!?」


叫ぶと同時に『光魔法』での閃光を放つ



―― ゴブリンの住処に黒猪が飛び出す影が伸びるように。

この間にとあるエッセイ見たのですが……予約投稿って見つけ辛くなるんですね、全然知りませんでした。

それ以外にも為になるノウハウが(逆説的に)沢山センスあふれる文章で書かれいました、あれはなろうく作者必見だと思います。


作者の力になるよう酷評でもいいので評価ポイントを押していたたければと!




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