5話
一月一日
「田河くんは変な話をするね。小説でも書きたいのかい?」
「本当なんですってば! 先輩!」
家の近くにあるファミレスで大崎先輩と活動報告をしているのだが、僕が実際に遭遇したあんなことやこんなことは一切信じてもらえなかった。
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昨日、僕はナナちゃんの言ってた未来を変えるためにお願い事をした。
『平均寿命までは健康な体で生きていたい』と。
そうお願いした後、ナナちゃんはよくわからない呪文のようなものを唱えると「これでもう大丈夫だよ」と言った。
別に僕自身はナナちゃんが神様だなんて思ってなどいなかったし今もそんなことは思ってないけれど、まあ「お金ちょうだい☆」とか言われたわけでもないからそういうお願いをしたわけだ。
ナナちゃんからご加護(?)をもらってからは完全に倒壊した拝殿の片付けと仮設の拝殿を建てて、手水舎の屋根を新しいものに付け替え、まだ生きていた水道に繋げて水を出るようにしたり、と色々とした。
そして、作業が終わったときにはすでに日が暮れてきていたので僕は再びテントと寝袋をしまっていた鞄から取り出し、セッティングをした後すぐに寝袋に入り眠る準備をした。
ナナちゃんは僕が作業をしていた間にどこかに行ってしまったようで今は僕以外誰もいない。
『本当に変わった一日だったな』と今日一日を振り返りながら僕は眠りにつき、年を越した。
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「で、そのナナちゃんとやらは今日君の寝袋の中にいたのかい?」
先輩はつい先程届いたばかりのチーズインハンバーグを小さく切り分けながらそう言っている。
「もちろん、いませんでした」
「それはそれは・・・。残念だったね」
「ざ、残念なんかじゃないですよ!」
「それで、今日田河くんがここにいるってことは刺殺されなかったってことで良いんだよね?」
「そりゃ、刺されてたならこんな風にファミレスに来てないですよ」
今日は朝起きてから結構すぐに神社から出て町に戻ってきたということもあるが、先輩以外の人とはまだ遭遇していない。
これがナナちゃんがくれたご加護(?)の効果なのかは知らないが、今のところ全くの無傷である。
「・・・あの子は誰だったんでしょうね? ただの変わった女の子だったのかな? それとも、本当に神様だったんですかね?」
「多分神様だったんじゃないかな、田河くんが神社を綺麗にしてくれたから現れたって感じのこと言ってたんだろ? それに、神様に会えたって思う方が気持ち良くならないかな?」
「まあ、言われてみれば・・・」
神様に実際に会ったことのある人というのは少ないと思う。その内の一人になれたと考えれば・・・・・・うん、物凄く運が良いようだ!
「・・・もしかしたらもうすでにご加護とかが効果を発揮してるかもしれないんですよね」
「そうだね」
「それじゃあ、ちょっと行きたいところが出来たので今日は失礼します!」
「? 急にどうしたんだい?」
大崎先輩が不思議そうに僕を見てくる。急にどこかに行ってくるとか言われたらそういう反応になるのが普通だと僕も思う。
でも、なんとなくそうしたいと思ったのだから仕方がない。
「ちょっとナナちゃんにお礼してきます!」
自分の食べた分のお金を先輩に渡し、僕はファミレスから出てあの神社に向かった。
中途半端な感じですが、一応ここで終わりです。
でも、後日談とか続きとかどうするのかは未定なのでまだ投稿するかもしれません。
・・・ともかく、最後に一言
最後まで読んでくださった読者の皆さん、ありがとうございました!