3話
「だから! 私はここの神様なんです!」
「いや、そんなジョークはマジでいらないから」
「ジョークじゃなくて本当なんですってば!」
彼女は神様らしい。さっきまでは気にしてなかったけれど、巫女服のようなのを着ているし神社の関係者なのだとは思うけど・・・こんな寂れた神社に巫女さんなんていなさそうだし、コスプレか?
「私は巫女さんじゃないです! か・み・さ・ま!」
「こんな神社の神様?」
「こ、こんなとは失敬な! 少し前までは凄い信仰があったんだから!」
「で、そんな神様がなんで巫女さんの格好をしてるのかな?」
「・・・べ、別に最近信仰されなくなったから神装が使えない訳ではないんだから!」
つまりそういうことなのか。信仰されなくないから神装とやらが使えなくなったから巫女服を着ていた、と。巫女服はこの神社に置いてあ──
「何処にそんな服あったんだ?」
「拝殿の地下にある小部屋だよ。・・・もしかして、欲しいの?」
「そういうわけではなく、純粋に気になって」
てか、初対面の人にこの物言いは凄い失礼だよな?
「まあそれは置いといて、そろそろ本題に入ってもいいかな?」
「まだ寝袋に入ってた理由とか名前とか聞けてないんだけど?」
最初の方に尋ねてたものの、それ以上に癖のあることがあったから忘れてたけど。
「そんな細かいことを気にしてたら負けだゾ☆」
「あ?」
・・・少しムカついたので雑な反応してしまった。
「すみません。ふざけました」
「で、教えてくれるんだよな?」
「う、うん。だからさ、できればそんなに怖い顔しないでもらいたいなーって」
「ここから後の対応次第だな」
「・・・一応私神様なんだけどなぁ」
彼女がボソボソっと何かを言ったような気がするが──まあ、今は気にしないでいいかな?
───────
「私は神様ですけど、名前忘れちゃったので名無しのナナちゃんとでも呼んでください!」
彼女──名無しのナナちゃんはそう言った。
「えーと、じゃあナナちゃん。君はなんで僕の寝袋の中に入ってきていたのかな?」
「つい昨日まで寝てたんだけど、なんか突然力が出てきて目が覚めたの」
「それでそれで?」
「私が眠ってた本殿から出てみると、驚いたことに私の社が少し綺麗になってたの」
僕が草刈りしたから少し綺麗になったっていうことかな? 昨日の努力の成果が誉められてるみたいで少し嬉しい・・・
「で、そのまま境内を見てみると物凄く強い信仰力が漏れだしている青っぽいドーム型の変な建物があってね」
青っぽいドーム型の変な建物・・・・・・僕の持ってきたテントのことか。てか、信仰力? なにそれ?
「あれほどの信仰力は久しぶりだったから気になって近づいてみるとその建物の中に君がいて」
ここの信仰なんていつしたんだ? ただただ、草刈りしかした覚えがないんだけど
「それで、心地よかったから君の布団の中に入っちゃった☆」
「へぇー、そうなんだぁ。
・・・って! そんなんで納得できるわけないよな!?」
心地が良いから布団に入る? は? なにそれ?
「えぇ・・・。そんなこと言われても・・・」
「いやいや、こっちも『そんなこと言われても』だわ! てか、そもそも信仰力ってなに? 僕の信仰そんなに強かったのか?」
「えーと、信仰力っていうのは私とか神様への信仰の強さとか神様の社への貢献度合いのことだね」
神様の社への貢献度合い、か。だから僕の信仰力とやらは高くなってたのか。
「信仰は神様にとって栄養みたいなものだから信仰されなくなると栄養失調みたいになるの。だから、そうならないためにも、強い信仰を得るために高い信仰力のある君の近くに行ったの。これでわかった?」
「お、おう」
要は神社の草刈りしたから信仰力とやらが高くなって、この神様のナナちゃんが寄ってきたってことか。
・・・昨日一日頑張って本当に良かった☆