突発的に思いついて書き上げた物(恋愛?)
「自分を偽るのはもう止めるべきだ」
彼の言葉が胸を突く。
「うるさい」
そう返す私の声は震えていた。
「自分が言葉どおりの存在じゃないって分かってるんだろう?」
「……うるさい」
分かっている、だからこそ言葉が出ない。反論が出来ない。
「自分に素直になればいい、『こちら側のどこからでも切れます』」
「うるさい、うるさい、うるさい!!切れ込みのあんたに何が分かるのよ!」
「分からないさ、僕と君の悩みは全く違うものだ」
「なら!」
「でも!」
私の言葉を遮った彼は、顔に優しい笑みを浮かべた。
「君が苦しんでいるのは分かるから」
「……」
「どこからでも切れますって書いてあって、でも切れなかった時に人間達は君に悪態をつく。それをただ一身に受けているとき、君の顔は凄く辛そうだった」
「仕方ないじゃない、切れますって書いてあって切れないんだもの、当然だわ」
そう、当然……あの悪態は、罵倒は、当然のこと……
「だから僕は素直になれって言ってるんだ」
「どうやって!」
「『こちら側は切れやすくしてあります』とね」
「それじゃあ切れるって事にはならないじゃない!」
「いいんだよこれで、君はもっと弱さを見せるべきだ」
「弱さ……?」
「君は甘えるべきだ、人にも、周りにも」
「甘えるって……そんなことしたら失望されちゃう」
「いや、今の君は虚勢を張りすぎている。少し甘える位がちょうどいいのさ」
「いいの?」
「もちろん」
「私、確実に切れなくても良いの?」
「あぁ、『切れやすくしてあります』だからね。絶対切れるとは限らないさ」
「それで……それで良かったなんて……うっ」
「いいんだよ泣いて。今まで頑張りすぎていたのさ、その分の涙を流せばいい」
「ありがとう、切れ込み、本当にありがとう」
「いいさ、包装業界の先輩だよ?いつでも頼ればいい」
「そうするわ、ありがとう」
「うん、いい笑顔だ。やっぱり君はそれが似合ってるよ」
他にも作品を上げています。他のはわりかし真面目にやっているので見ていってください。