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粉雪   作者: 若葉 美咲
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39話 壊れかけ


 本番って言ってもそこまで怖いことじゃないからね。ふふふふふふふふふふ。

「ねえねえ。一つ聞きたいんだけど。ボクをイジメるのって楽しかった? ねえ? 」

 ボクは今、とっても楽しいよ。本当に、楽しい。

 皆が恐怖に歪んだ顔をしている。怖いのかな? それとも、憎いのかな? どっちでも構わないけど。ボクは知りたくもないもん。

「あ、あんたが裏切り者だからっ! 」

 そんな理由? 聞き飽きたよ。

 つまらない返答は止めてよね。

「そういうこを聞いてんじゃないの。楽しかったか、だよ」

 答えられないでしょうね。自分の中の悪魔を認められる人なんてそうそういないもん。理由なんて途中からどうでも良くなっているんだよ。キミ達は。ボクを痛めつけることでストレス発散していたんだよ。楽しんでいたんだよ。こいつよりは上なんだって思いながら。人をおとしめることで自分が強く賢い気分になる。人間はボクも含めてそういう生き物なんだよ。

 さて、ボクは遠慮なく縄を切った。落ちていく悲鳴。おちて、泣きわめく声を聞いた。

 なのに、少しの罪悪感も感じれなかった。ボクは異常だ。


「空ちゃん!! 」

 ツッキーが来たね。これも、計算内。後片付けを押し付けるよにしてしまって申し訳ない。でも、ボクは最後まで復讐者でなければならない。

「下にけが人いるから見てあげて」

 ツッキー、そんな目でボクを見ないでよ。ボクはね、こうするしかないんだよ。計画したんだから。全部、全部。

 だからね、ツッキー。最後まで、たぶんツッキーには辛い思いさせてしまう。

「付き合ってくれなくてもいいよ。ここから、ボクはもっと酷いことをするから」

 断っていいんだよ。だって、ツッキーには関係ないことだから。ツッキー、今なら元の生活に戻れるんだよ。だからね、はっきり断ってね。

「嫌だ。どんな結末だろうと私は空を見守るし協力するから」

 ツッキーは優しすぎる。

「後悔しても戻れなくなるから」

 言い残して、帰ることしかできなかった。


 雪が降り積もる中ボクは歩いて森に行く。キツネが守護する森に。

 途中、棒を持った村の男達が囲んできた。言いたい放題に言ってくるけど無視した。殴りかかってきたから結界で身を守った。ボクの結界はちょっと特殊で襲い掛かって来た奴の力を吸収して、跳ね返す。だから、時と場合によっては襲い掛かって来た方が死ぬかもしれないんだ。ボクの結界のせいで死者を出したくなかったから使わなかったけどもういい。

 さっき、ボクがやったことの意味を理解できていないみたいだし。


 森に来るころには襲い掛かってくる奴はいなくなっていた。死んではいないみたい。

 なら、いいや。

 ボクはキツネに囲まれながら、岩に座る。キツネがいるから暖かかった。巻物を広げる。

 巻物はキツネからもらったものだ。随分古くて、扱いを間違えれば壊れてしまいそうなものだ。作ったのは妖狐だ。どんな気持ちでこの巻物を作ったんだろう。ボクは繰り返し暗記するぐらい読んだ、巻物をもう一度読み始めた。

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