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粉雪   作者: 若葉 美咲
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37話 終わりの始まり


 今日は冬休み前日。ボクは密かに心に決めていることがある。実行するんだ、今日。最初で、最後のチャンスなんだから。

 昨日、ボクが鬼次に雪の玉をぶつけたことは計算通り、村全体に広がっている。ボクを的にして皆が雪の玉を投げてくる。これも計画内。唯一計画外なことは雪の玉の中にご丁寧に石まで入れているということ。

 さあて、キミ達は甘々なんだね。今まで大丈夫だったから今日も大丈夫とは限らないんだよね。残念なことに。キミ達は今までボクが反撃してこなかったから大丈夫と思っているようだけど、残念ながらそれは違う。今日は。

 ちょっと考えればわかることだと思うんだけどな。いつまでもボクがやられっぱなしな訳がある訳ないじゃん。そう、キミ達が恐れ、畏怖いふしている先祖返りなんだからさ。

 ボクを目がけて飛んできた雪の玉を裏一文字ではたき落とす。いい音がした。そこからは止まらなかった。素早く一番近くにいた奴に刀を突きつけた。

「ボクはね、イジメるは好きだけど、イジメらるのは嫌いなんだ。いつまでも、ボクがやり返さないと思ってたのかな? 」

 最低な発言をする。でも、ボクは元々こういう人なんだ。キミ達が知らないだけで。内心で思ってることは、冷たいことばかりなんだ。いつもとは違う冷たい笑顔で、話す。強いていうなら、人を殺す前の優越感ゆうえつかんだろうか。

 その高揚感こうようかんに酔ってしまいそうだ。


 ボクの持っている刀はその子の首を薄く切り裂いていう。赤い血が流れている。顔を引きつらせて助けを求めてくるけど聞く耳すら持たない。持ちたくない。何とも思わないし。むしろ、その恐怖で引きつった顔が可笑しくて笑いそうになる。

 それにキミ達はボクの助けも言訳すら聞かなかったでしょう? けじめをつけてもらわないと。

 ああ、ボクは歪んでいる。こんなにも。

 皆が騒いでいるのが楽しい。慌てたアリみたいだ。この場をボクが支配している。ボクの支配からは誰も逃げられない。

 にしても、キミ達はボクの叫びには応答してくれなかったのに、別の子の助けなら動くんだ。何だか、ムカつくなぁ。

 どんな思いなんだろうね? 助けを無視する気分ってのは。出来れば知りたくないけど。きっと、今、助けを叫んでいるこの子の首を落とせばわかる気がする。やらないけどね。それじゃあ、つまらないし。


 今日が終われば休みに入るでしょ?

 だから、休みに入る前に怖い体験しておくのも悪くないと思うんだよねえ。サプライズみたいなもんだよ。クリスマス的な?

 痛い? 怖い? キミ達が今感じている100倍ぐらいボクは苦しんだと思うよ。屋上から突き落とされたり、熱湯をかけられたり。

 ボクの復讐劇は始まったばっかりだよ。最後まで参加してね? 逃がす気は毛頭ないけれど。もし、今日休んだ人がいればそれはラッキーだったんだよ。

 今からが本番。プロローグには丁度いい時間がたったしね。

 ボクはキミ達に思い知ってもらうために今ここにいる。誰だろうと手加減はしないよ? そう、誰であろうと。


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