30話 真実と嘘の狭間で
屋上で髪をそろえる。黒髪がハラハラと落ちていく。何故か心がギュッとなった。
「あ……。空、ちゃん」
さっきからボクを覗いていたのはツッキーのこと雲井 月だったのか。キミはボクをイジメてこなかったけど、一応、警戒はしてるんだよ? 皆が敵なんだもん。それに、警戒することは生きていくために必要な能力だよ。
何を言ってくるのかな? ありきたりな聞き飽きたセリフを言うのはダメだからね。つまんないもん。あほな言い分聞いているひまもないからね。珍しいこと言ってくれなきゃ。ボクの時間を使っているんだから。楽しくなきゃ怒ることぐらい、ね?
真夏の日差しは遠慮なくボクとツッキーを照らした。汗が額からすべり落ちた。
「さっきのかっこ良かった!! 」
え……。なんか予想と違いすぎる。何を考えているんだろう? 軽く目を細めて脅すように睨んだ。まあ、確かに新しい反応だと思うよ。うん。楽しい反応をありがとう。
「私はずっと調べてたの。確かな情報が欲しかったから。それで空ちゃんが裏切ってないことが分かったの」
成程、そういうことか。ボクのことを調べたのか。何が起きたのかを。
賢い選択だ。疑うことを知っている。
屋上は暑いけど誰も近寄らないから相談には丁度いい。
ツッキーは集めた情報をボクの教えてくれた。もちろん日蔭で。
まず、ボクの裏切りは全部、唯香が仕組んだことだと教えてくれた。録音機を編集した後があったそうだ。よく録音機を調べられたな。でも、使われた録音機を入手できたら確実な証拠になる。
この村が裏切りを許さない理由までツッキーは調べてきてくれた。実に六華村らしい理由だった。神社の下で眠って龍や鬼や大蛇が目覚めると信じられているからだ。神話が深く根を張っているこの村だから、裏切りは許されないことだったんだろう。
さらにツッキーは今回の事件の黒幕まできっちり調べてきてくれた。黒幕はある程度疑っていた巳高だった。頭が良く何を考えているか分かりにくいやつ。村人の心理を知り尽くしている。上手く利用したんだ。ボクを弱らせるために村人を手の平で躍らせている。つくづぐ気に入らないやつだ。巳高はちゃんと自覚しているんだろうか? 自分の野望に無関係な人にまで罪を被せていることを。無自覚なら、大バカ者だ。だけど、あれほど頭の良い巳高が気づかないはずがない。分かっててやっているならぶん殴る。
「ツッキーが理解してくれてうれしいよ。でも、くれぐれも皆の前で仲良くしないでね。巻き込むのは嫌だから。それに一人でも大丈夫だしね」
上手に笑う。嘘の笑顔で安心させる。
多分、ボクが一番バカなんだろう。バカでもいい。少しでも、他の奴らが傷つかないように。これはボクと巳高の戦いなんだから。
暑い屋上を降りるために階段のドアを開けた。
正面でボクより身長の高い人が泣いていた。今していたツッキーとの会話を全部聞かれたんだ。よりによって面倒な人に。
立っていたのは龍牙だった。




