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粉雪   作者: 若葉 美咲
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24話 降り注ぐ

 今日は夏休みの登校日。だるい。なんで休みなのに登校しなきゃならないんだか。理解に苦しむよ。

 朝ごはんは食べてきていない。最近は鉄尾の家でしか物を口に入れていない。そのせいか鉄尾の家に上がる回数が増えた。

 家で物を食べないのには理由がある。運ばれてきた料理に針が入っていたからだ。口の中を怪我したよ。光鬼が入れたんだ。間違いない。飲み込んでたらどうするつもりだったんだか。唯花が食事を作ってくれているけど、悪いとは思わない。多分、彼女も気にしてないだろうしね。むしろ、喜んでるかもね。作る手間が省けたから。


 教室についた。

 うかっり、開けてしまった。その途端、熱湯がボクの体に降り注いだ。

「熱っ!!! 」

 さすがに熱いし、痛い。

 こんな仕掛けを思いつくなら、真実に気が付けばいいものを。後あと後悔するのはキミ達なのに。何でボクが苦しまなきゃいけないのか、理解できないよ!

 再び、熱湯が降り注ぐ。人の手によってだ。仕掛けとかじゃない。

 痛みにこらえながら、薄く目を開いて熱湯が飛んできた方向を見た。

 バケツを持っているのは、白心 龍牙だった。ああ。また、龍牙は流されたんだね、周りの人たちに。自分で決めたことなんて何一つない。いつも周りのいいなり。まるで犬のように順々。

 ある意味、可愛そうな人…。


 ある女が口を開く。言うのはお決まりの言葉。

「謝る気になった!? 」

 ボクが謝ることなんて何もないのに。理不尽だよ。

 謝ることが無いから、口をきかない。無言でいる。ボクはいつもの笑顔を貼り付けようとする。でも、笑顔を貼り付ければ貼り付けようとするほど上手くいかない。引きつるだけだ。

 ねぇ、ボクが謝ればこれは終わるの? 違うよね。もう、キミ達は自分の楽しみのためにボクをイジメてるんだよね。だから、ボクが謝ったとしてこれは終わらない。ボクは無意味な行動はしない。

 にしたも、どうしたんだろう、ボク。人をイライラさせるようないつもの笑みが浮かべられない。熱い。体が熱い。焼けるように痛い。

「何で何も言わないの!? 」

「反省していないんだよ!! やっちまおうぜ!! 」

 なんで、どうしてボクの言うことを誰も聞いてくれないの? 何で真実を知ろうとしないの? 全部ボクのせいなの? そんなのってないよ。聞いてよ。こっちが言っても聞いてくれる人がいないのなら届くはずもない。

 あちらこちらから熱湯がかかる。

 妖力で顔と頭部は守っているけど意識が飛びそうだよ。


 知ることが怖いなら、何もしなければいいのに。何でボクのことを信じてくれないのか、ボクは不思議だよ。ああ、人間は愚かだよ。本当を見抜こうともしない。見抜けないんじゃなくて楽だから周りに流されているだけなんだ。真実を知ることで失うものなんて何一つありはしないのに。

 何が怖いって言うんだ。声を上げてくれたならいいじゃないか。誰でもいいじゃないか。

 ボクの言葉に耳を傾けてくれてもいいじゃないか!!

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