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粉雪   作者: 若葉 美咲
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16話 裏切り

 平和な日々は続かなかった。文化祭が終わり一週間が過ぎていた。

 ボクは今、クラスの皆に蹴られている。一対大勢。いわゆるいじめという奴だ。制服は濡れ、体をあちらこちら殴られ、蹴られた。ボク妖力を使って弾き飛ばせば問題ないけど、それじゃあ他の人が傷ついてしまう。

 あの三人だって、もう、ボクを守ってくれない。むしろいじめてくる。お祖母さんは声すらかけてくれなくなった。お祖父さんはボクと顔を合わせる度、口汚くボクを罵った。

 ツッキーだけはたまにボクの手当てをしてくれた。でも、皆がいない時だけ。それは些細ささいなことだけどボクにとっては大きな支えだった。


 なぜこんなことになったのか。事件は文化祭振替休日の日に起こった。

 唯花がボクの部屋を訪れた。そして、ボクのことをはさみで切った。ボクは唯花に対してまだまだ甘いところがあってかなり油断していた。

 痛さに顔をしかめていたら、なんと唯花が叫んだのだ。ボクが叫びたいぐらいなのに。

 もちろんその声を聞いて人が集まって来た。その中にはもちろん、あの三人と、光鬼とお祖母さんもいた。最初はボクのことを心配してくれた。だけど、唯花が言ったのだ。

「そ、空様がわ、私がうざいともうし、う、裏切り者になっれて」

 下準備を唯花はちゃんとしこんできていた。なんと、ボイスレコーダーをもっていたのだ。もちろんボクはそんなこと言ってないし、思っても決して口に出さない。ボイスレコーダーは継ぎはぎな音で、唯花が言った内容をいった。要するに編集されていたのだ。

 明らかにボクをおとしいれようとしていた。ボクは必死に弁解を試みた。この村で裏切り者は悲惨な目にあうことをボクはよく知っているから。

 ここで、付き合いの悪さが裏目に出た。ボクのことを信じる材料がなかったからだ。

 ボクの裏切りはその日の内に村中を駆けた。

 その日、ボクが築き上げた村人と達の人間関係が崩れた。


 ボクは裏切っていない。誰が信じなくともボクは知っている。だから、ボクは今日もいつも通りの笑顔でいる。


 皆が怖くなるほどの笑顔で居続ける。

 ちゃんと説明もした。弁解もしようと試みた。それらをすべて跳ね除けたのはキミらだよ? 真実を知ってから後悔しても遅いよ?

 もう、いいさ。誰にも信じられなくても。大体信じてくれなくてもいいよ。というか、ころころ態度を変える人に信じて欲しいとも思わない。

 狂ってる? うん、そんなの知ってるよ。というか、自分が嫌になるぐらい自覚してるよ。

 でも、しょうがないじゃん。この村で生き延びる方法はこれしかなかったんだもん。ボクは生きる。キミ達がボクを壊そうとしても、ね。


 ふふふふふふ。あはははははははは。

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