表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
粉雪   作者: 若葉 美咲
10/48

9話 決裂

 お祖母さんがいる部屋のふすまの前に正座する。この座り方何だか久しぶりだ。

「空です。ただ今、帰りました。入ります」

 一声かける。礼儀として。

 襖を両手で開ける。閉めるのは唯花がやってくれた。

 さらに奥の方にお祖母さんは座っていた。

 高価な物など一つも置いていない。けれども、とても気高い雰囲気に包まれる。ボクはあんまり好きじゃない空気だ。相手に圧力をかけて言うこと聞かそうとしているみたいだ。

 お祖母さんに貼り付けの笑顔は無意味だ。無表情の方がまだましだ。その場に手をついて深々と頭を下げる。

 空気がピリピリしてる。やっぱり苦手。


「顔を上げなさい」

 りんとした声がボクの鼓膜につきささる。お祖母さんはなに一つ変わっていないようだ。良いところも悪いところも。

「九年前、あなたがこの村を出て行き、どれだけ大変だったことか」

 それはお祖母さんの感想でしょうに。ボクはあの時、確かに何かに怯えていたんだよ。だから、この村を出たんだよ。そのことを知って欲しい。

「だいだい、便りも寄こさずにすむと思っているのですか? あなたはこの村に無くてはならないのですから、こんなこと許されないんですよ? 」

 はい? 今なんて言ったんですか、キミ。この村に無くてはならないとかほざきましたよね? 所詮ボクはこの村の都合のいい道具ということですね。

「分かりました」

「はい? 何を分かったと言うのですか? 」

 これ以上お祖母さんの話を聞きたくない。遮ってしまった。

 まあいいか。丁度いいや。ごめんねお祖母さん、ボクは九年前とは違うんだよ。

「お祖母さんがボクのことを道具だとしか思ってないことが」

 さあ、どんな反応を見せてくれるのかな、キミは。怒るでもいいし、泣くでもいいよ。ボクを楽しませてよ。もっともっと。

「当たり前です! 」

 へえ。当たり前とか言っちゃうんだ。やばいわー。お祖母さん尊敬する気になれないわー。人のこと道具としてしか見れない人は周りから見捨てられるんですよ? ボクには関係ないけどね。

「それより、ぼ、ボクとはなんですか!? 私と言いなさい」

 あ、そっちですか。つまらないな。キミも結局は逃げたんだよ、ボクからね。

「そ、それに…」

 話の途中っぽいけどボクは立ち上がった。最早、聞く価値すら見いだせない。聞いても、無駄。ボクの得になることはないよ。むしろ大損害だ。

 お祖母さんはまだ、話を続けようとしている。戻れ、とか言っているよ。あははは。戻る訳ないじゃん。

 一つ、覚えておきな、お祖母さん。ボクは誰の命令も指図も受けないよ。

 襖を出たところで振り返って、笑った。お祖母さんが固まる。

「そうそう、お祖母さん。ボクの守りはいりませんから」

 それだけ言うときびすをかえした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ