プロローグ
毎日が充実だけども、ある日社長にある仕事のオファーが来たと依頼がありました。
「真澄さん、あなたにお仕事があります」
いきなり社長に呼び出されて、仕事のオファーを聞かされる。
「はい、何でしょう?」
「楓太君と一緒にCMに出なさい」
「楓太と?何のCMですか?」
「楓太たちのやっているコンビニスイーツの期間限定盤です」
社長から企画の資料を手渡される。楓太がいるアイドルグループが、本格的なコンビニスイーツのCMを行い、年末に楓太がソロで『君想いマカロン』のCMを担当している。
切なそうに、片想いの相手を見つめるCMが甘酸っぱくていいとか、かわいいと新たなファンを獲得している。その相乗効果に楓太の歌声が一役買っている。恋の歌の定番をピアノ伴奏でカバーしているのだ。この楽曲がまた話題になって、コンビニ限定でCD化される事が決まった。私が知っているのはここまでだ。
「でも、私と楓太君じゃ年齢差があります」
「いいんです。この企画には男性用と女性用があります。ターゲットは、メイン購買層より少し上の年代を狙っています。真澄さんは、女性主人公のCMです」
私、真澄は世間的には売れっ子モデルだ。OLさん御用達雑誌に出ないときはない位。
そんな私には色恋の出会いはない。モデルとしては恵まれた体が恨めしい。
ハイヒールを履いてしまうと180センチを超えてしまうからだ。
「楓太君が相手なのですか?」
「今回は、初恋ショコラの上に小さなハートマカロンを乗せた君想いショコラ。要は二つをコラボしているんです。なので、マカロンで切ない恋を演じる楓太君が、ちょっと大人になった設定というのが先方の話です」
社長に説明を受けて、私も企画書を捲る。このシリーズのキャッチコピーが結構胸キュンなんだよね。
「今回のキャッチコピーは……君に想いの分だけキスしてあげる……ですか」
成程、バレンタイン限定だから男女ツインキャストでも成立するってことですか。
今までのものより、もっと親密さを思わせるキャッチコピー。これだと楓太君にキスしないといけないの?ちょっとだけファンが怖くて私は一瞬身震いをする。
「実際にはキスをしませんが、暗転して効果音を入れるそうです」
それを聞いて私はホッとした。楓太君のファンの子は楓太君が相当礼儀正しいので楓太君が悲しむ事をしないと思うけど
絵コンテを見ると、暗転の前は楓太君の耳元に背伸びをして囁くシーンだった。
楓太君の公式の身長だと、ちょっと背伸びするには丁度いい。
「分かりました。この仕事受けます」
私はCMに出る事を快諾することにした。
男性目線は、春隣豆吉さんが公開しております。そちらもお読みください。