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  作者: 颪金
5/15

呼ばれた

 その後、祭りの実行委員の人たちに、別で用意していた小屋に案内された。

 中は四畳半の和室のみ。

 そこに案内され、中に入ると、真っ白な無地の着物を渡され、「着替えてくれ」と言われ、一人にされた。

 外はさっきよりも慌ただしく、バタバタしていた。

 夜子は、訳も分からぬまま、着物に着替えた。

 上下が別れているタイプの着物だったので、楽に着替えることができた。

 そして、着替えてからあることに気づいた。


 サイズがピッタリなのだ。


 ……蔵の前で、誰が呼ばれるか、なんて、わからないはずなのに。いや、予め私の服のサイズを知っていたとか? でも、呼ばれるとは断言できないはずなのに、どうして……?

 考えていると、小屋の扉が開いた。


 実行委員の人だった。

 その人は、着物姿の夜子を見た瞬間、少し驚いていたが、「こっちです」と言って、案内し始めた――。



 真昼の祖母から、古い鍵と懐中電灯を渡され、「あなたは鵺様に呼ばれた。蔵の鍵を開けて、鵺様に会ってきなさい」と言われた。

 お供えものとか、儀式とか、そういうものは、今はいらないらしい。

 蔵へは1人で行け、と言われた。

 説明が終わり、蔵へ向かおうとしたが、先程から、真昼の顔が暗い。

「真昼、大丈夫、すぐ帰ってくるよ。多分、何もないだろうから」

「……うん。」

 かなり不安な表情だったが、納得してくれたようだ。

 蔵に到着する。辺りは夜子だけ。残された松明が、不気味に蔵を照らしていた。

 恐る恐る蔵の錠前を外す。

 全部外したはいいが、どうやって重い扉を開けようか悩んでいると、ひとりでに扉が開いた。

 まるで、夜子を招いているようだった。

 だが、蔵の中は真っ暗で何も見えない。

 そこで、懐中電灯。小さな明かりでは心許なかったが、蔵を見渡す上では問題はなかった。


 蔵に入ると、蔵の半分を仕切るように、大きな襖があった。

 懐中電灯で引き手を探そうとした、その時。


 パッと懐中電灯が消えた。


「あっ……」

 思わず声を出す夜子。

 仕方ないので、手探りで引き手を探すことに。

「見つけた」

 引く手を掴み、勢いよく開いた。

 その中には、暗くて全く見えなかったが、中に鵺がいることだけは理解できた。何となくだが、気配のようなものを感じるのだ。

 後は帰るだけか? と思ったが数メートル上の所で、何かが赤く光った。

「……えっ?」

 そして、中から突風が吹いた。

「きゃあっ!!」

 全く身構えていなかったため、吹き飛ばされて蔵の床に身体を打ちつけて気を失ってしまった―――。

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