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帰宅
「ただいまー」
扉を開けると、小夜が駆け付けてきた。
「お姉ちゃん! お土産ある?」
「小夜、その前に言うことあるでしょ?」
「えへへー、おかえりー」
「ただいま。はい、お土産」
帰り道のサービスエリアで買ったクッキーを渡した。
「ありがとう!」
大事そうに抱えて、リビングへと走った。
「ったく、荷物運ぶのくらい手伝いなさいよ……」
ぶつぶつ言いながら、靴を脱ぎ、キャリーバッグのタイヤを拭く雑巾を取りに行った。
リビングに行くと、キッチンで母親が夕食の準備をしていた。
「夜子、おかえりなさい。お祭り、楽しめた?」
「ただいま。うん、まあ、楽しかったよ」
深入りされたらどうしようかなと、一瞬だが、頭がフル回転した。
「あっ、そうだ、お母さん。訊きたいことがあるんだけど」
「何?」
カレーを煮込んでいる母の横に立って、訊いた。
「私と小夜の、名前の由来を教えてくれる?」
鵺 終了です。
伏線は回収できたと信じたいです。ありがとうございました。




