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ぼく  作者: クルトン
6/12

人質だけど出稼ぎをしている

ぼくは人質らしい


人質だけど出稼ぎをしている


理不尽だと思う


自称「誘拐犯」は人質と言うのは一室に監禁されて何もせず食事だけは与えられるという割とVIP待遇の存在だと教えてくれたのに


と言ったら殴られたので違ったようだ


ぼくには人質らしさというものが足りないらしい


自覚がないから仕方がないと思うのに「誘拐犯」は納得しない


何かにつけてぼくの人質らしくなさをぼそぼそと聞こえるか聞こえないか程度の愚痴にして呟いているけど、ぼくの自覚がないというのはわりと「誘拐犯」のらしくなさというのも関係していると思う


人質を出稼ぎに行かせる「誘拐犯」というのはらしくなさ全開だと思った


大体この出稼ぎというのも、逃げ出せない強制労働とかならともかく、普通に荷運びの仕事だ


「誘拐犯」はぼくが襟首を掴んで引き摺ったのをいまだに根に持っているらしく、怪力にはぴったりの仕事だとか言っていた


いい加減しつこい


と言ったら2階の窓から蹴り出された


「誘拐犯」も十分力があると思う


ちなみに出稼ぎに行って稼いだ給料は全部「誘拐犯」に徴収される


別に使い道もないしかまわないんだけど、ぼくが出稼ぎするようになってから「誘拐犯」はぼくの好物をたまに買ってくるようになった


生活が改善されたようで何よりだ。


出稼ぎに出るようになってから「誘拐犯」があまり強く殴ったり蹴ったりすることがなくなった


血が出ない程度で止まるので、腫れも長引かないし悪いことはないんだけど、どうもそれ以外の原因があるようだ


この間はふらついていたし、調子が悪いのかも知れなかった


そう考えてみるとかなり今の状況に当てはまることに気づいた。


まず、ぼくはしばらく「誘拐犯」が仕事に出ているところを見ていない


これはただ単にぼくが出稼ぎに出ていてほとんど宿にいないからかもしれないが


次に、料理のレパートリーが最近手抜きだった


ただ単に手を抜いているだけかもしれないが、料理を作る気力がないのかも知れない


あと、ぼくを蹴るとき殴るとき、なんだか力が弱い


ついでに言うとすぐに息切れを起こす


大人しくしていない病人を治すにはどうしたらいいかを荷運びの同業者に聞いたら、ムリヤリにでもベッドに縛り付けて睡眠をとらせ、食事をとらせるんだと教えてくれた


あと水分は多めに、体を冷やさないように気をつけるんだということだった


今度隙を見て実践しようかどうか、ぼくは真剣に悩んでいる

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