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ぼく  作者: クルトン
12/12

今日も元気に人質をしている



ぼくは人質らしい


今日も元気に人質をしている


と言ったら自称誘拐犯に靴を投げられた


いつもなら椅子とかナイフとか鈍器が飛んでくるのだけれど、今日はそんな可愛らしいものが飛んできた


かわいくてきもいと言ったら誘拐犯は何かオーラ的なものを放出しながら歯軋りみたいな音をさせたけど、なんだかぐったりしている


誘拐犯がぐうたらしているのは珍しくなかった


ので、シーツを引っこ抜いたら頭から落ちた


ださい


と言ったら花瓶が飛んできた


確か、宿の備品を壊すなと女将さんが怒っていたので、受け止めた


キャッチアンドリリースで誘拐犯に投げ返したら、花瓶の水で誘拐犯はびしょぬれになった


誘拐犯は歯を噛み砕いてるような音をさせて、出てけと言った


誘拐犯はいつでもわけがわからないけど、今日もわけがわからなかった




宿の女将が、誘拐犯は調子が悪いんじゃないかと教えてくれた。


そういえば以前、調子が悪い時の対処法を教えてもらった


ベッドに縛って食事を捻じ込んで、水を飲ませて体を温めるとかそんな感じの


今こそそれを実行するべき時である



とりあえず濡れた服をひん剥いてベッドに縛りつけようとしたのだけど、誘拐犯は強かった


ひとしきり暴れてぼくを昏倒させて、その間に着替えて食事をとっていた


きっとこういう時に侮りがたしって言葉を使うんだと思う


やることがほとんどなくなってしまったぼくは、添い寝で体を温めることを申し出た


正直窮屈だろうなと思うけどそれが肝らしいと宿のおじさんが言っていたからだ


そしたら誘拐犯はベッドを投げつけてきた


なんだ、元気じゃないか



次の日ぼくたちはベッドを壊したことを女将さんに怒られ、誘拐犯は廊下で行き倒れた


ぼくはこれ幸いと調子が悪い時の対処法を実践した


というかちょっとやってみたかった


あれから、誘拐犯はなんだかすごくぼくを遠巻きにしている。

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