いまいちぴんとこない誘拐犯の行動
ぼくは人質らしい
人質というからには誘拐犯とか立てこもり犯とかそういうのがいるわけで、つまりは誘拐犯がいる
誘拐犯は普通、人質が逃げないように見張っているものらしいということをぼくは最近学んだ
ぼくは見張られていると言われてもいまいちぴんとこない誘拐犯の行動を思い出してみる。
結論として見張られているというよりは放任っていうやつじゃないかと思う。
ある日誘拐犯がぼくにびしっと指を突き付けてしばらく別居だと宣言した
ぼくたちはいつ結婚したのかと尋ねると膝蹴りを食らった
別居というのはなにも結婚した人たちだけに使われるものでもないらしい。
ぼくとしては別にどうでもよかったので普通に了承したのだけど、誘拐犯は長い事ぼくの顔を疑い深そうな目で見ていた
そんなにぼくと離れたくないなんて……なんか気持ち悪い
と正直に言ったらボディブロー、アッパー、踵落としの三連コンボを食らわせられた
ちなみにこの技名は、近くで行われている格闘大会みたいなのに宿の女将さんに連れて行かれて覚えた
女将さん、格闘マニアらしい
ぼくも結構賢くなってきたと誘拐犯に言ったら鼻で笑われたが
ちなみに別居といっても、寝起きする部屋を少し離すだけだ
原因はぼくにあるとか言われたけど、ぼくはどうせ誘拐犯が原因だと思う
お前に付き合ってるとノイローゼになるとか叫んで出て行ったんだけど、ノイローゼってなんだろう
格闘の技名だろうか。
今度女将さんに聞いてみよう。