エピローグ2:街丘 由佳
悲しすぎる結末だった。
でも、不思議と後悔はなかった。
――私は、すべてを出し切った。
それで秀介が本当に幸せになってくれるならば、それで十分だ。
それが私の愛なのだから。
※※※
そして、時は少し流れた。
日本GBCでは、いち早く秀介の技術を評価していたこと。
さらに――その秀介と直接のパイプを持っている私がいたこと。
その二つが、大きな意味を持った。
気づけば、私は同期の誰よりも早く部長に昇進していた。
30代前半で女性部長――社内でも大きな話題になった。
※※※
そのお祝いに、彩花と直人と三人で飲むことになった。
カジュアルな居酒屋。
乾杯のジョッキがぶつかり合う音。
「おめでとう、由佳!」
直人がにこやかに笑い、彩花は渋い顔をしてビールを煽った。
「でもさ……やっぱり、まだ納得いかない」
彩花は吐き捨てるように言った。
「どうしてあの秀介を、あんな女に委ねなきゃならなかったの? 秀介の隣に立つべきは、由佳で、そうでないならもう私だよ!」
胸が少し痛んだ。
でも、微笑んで首を振った。
「……いいんだよ。私が本当に納得してるなら、それでいいでしょ?」
彩花は唇を噛んだが、それ以上は何も言わず、小さく頷いた。
そしてグラスを掲げ直し、私の目を見つめてくれた。
※※※
グラスを傾けながら、私は新しい夢を語った。
――いつかアメリカで。
由佳と、彩花と、健太と、そして秀介。
美沙も一緒に。
ただささやかに、みんなで飲み会ができたらいい。
それは叶わない夢かもしれない。
でも、私の中ではもう確かな希望になっていた。
失ったものもある。
でも、始めればいい。
私は、また歩き出せる。
その夜の笑い声は、少しだけ未来を照らしているように思えた。




