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ティータイム

のんびりおやつの時間を楽しむだけの、ちょっと騒がしくて優しい人たちのお話。

…のはずが……。


ティータイム


「おぉ〜〜!!ソル、見てくれ!ものすごく美味しそうないちごジャムとクッキーだぞ!!」


「おいおい…おっさんが1番テンション高いじゃねえかよ」


「しかしルディ、見てみろこの綺麗な形と焼き色のクッキーと、色も艶も格別ないちごジャムを!」


「それは見ればわかる。色も、形も、味も格別に決まっている。ラズエル夫人が作ったものなんだからな。」



「ああ、そうだとも。ぜひ、うちの娘たちにもたべさせたい!!!」


「んなことだろうと思ったわ」



「なんだか、男性陣の方が盛り上がっていますね」


「微笑ましいですわね、夫人」


「そうね、トーリス嬢」


ベノン夫人はドレスの袖で口元を覆い、トーリス嬢も肩を震わせている。


かく言う私も、大好きないちごジャムが出ると聞いてから楽しみで仕方がなかった。


この時間があるから、私は針を動かし続けている。

ーーティータイムのおかげで、私は職人でいられる。


「ソル、お前もさっさと食え。でないとこのおっさんに全部食われちまうぞ」


「そうだぞ、ソル」


「自分で‘’そうだぞ”とか言うんじゃねーよ」


「事実だからな」


みんなが楽しそうにしていると、私まで穏やかな気持ちになれる。

こんな風に思えるのは、みんなが支えてくれているからだろうな。


父の死、私のミスの連発、出荷先の間違い…。色んなことがあったけれど、それでも着いてきてくれるのは、本当に嬉しい。感謝してもしきれない。


こんな平和でありふれた日常がいつまでも続けばいいな。



心地よいそよ風が、時折強くなる。



「ねえ、もしかして雲が出てきた?」


「ソル、いきなりどうしたんだ?眩しいくらいに太陽が輝いているぞ?」


「ほんとだ。アストンで太陽が遮られていたみたい。」



アストンの文句が工房中に響いている。本当に騒がしい人だ。


一瞬、光が陰った気がしたんだけれど……そんな事はどうでもいっか。


それにしても、本当に美味しい。ジャムを掬う手が止まらない。甘酸っぱくて、でも、後味がくどくないからクッキーや紅茶によく合う味だ。



??


おかしいな


なんの味もしなくなっちゃった


「味がしない」という言葉の意味、

もし気づいてもらえたら嬉しいです。


ソルにとって、この日のティータイムは、ただの休憩じゃなかったのかもしれません。


次のお話で、もう少し踏み込んで描けたらと思います。

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