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ハグで、息ができなくなる日が来るなんて。

国際恋愛、とくに欧米の方との恋といえば——

人前でハグやキスをするのが自然。

そんなイメージ、きっと多くの方が持たれているのではないでしょうか。


その印象、私の実感としても……

間違っていません。


初めて彼と会った日から、そうでした。

遠慮のない、大きなハグ。

まるで、こちらの呼吸を忘れてしまいそうになるほどの。


そのとき私たちは、文通を重ね、心の距離は近づいていたものの──

実際に顔を合わせるのは、その日が初めてでした。


ですから正直、

「ハグはあっても、軽く触れる程度かな?」なんて思っていたんです。


──甘かったようです。


彼にとって、あれは挨拶ではありませんでした。

それはまさに、感情をまっすぐにぶつける「再会の抱擁」でした。


私を見つけるやいなや駆け寄ってきて、

「しろさん!」と呼ぶか呼ばないかのタイミングで──その腕が、私をしっかりと包み込みました。


その瞬間、私が思ったこと。


ときめき? 感動?


いえ、率直に言えば、


「息ができない……!」


でした。


というのも、彼とは約40cmの身長差があり、

抱きしめられると、私の顔はぴったりと彼の胸の中におさまってしまうのです。


それはそれは、温かくて安心する場所……なのですが、

呼吸の手段が、完全に失われました。


「死因:ハグ」という言葉が、ふと頭をよぎったほどです。


そして、ようやく彼の腕がゆるんだと思った次の瞬間。


今度は、頭の上にキスの嵐が降ってきました。


驚く間もなく、私は静かに悟ります。

「ああ、これが……カルチャーショック」


まさに国際恋愛の“洗礼”でした。


その後、私たちは正式に恋人になりましたが、

彼の情熱的な愛情表現には、いまだ慣れません。


慣れる日が来るのかどうか、

そもそも、慣れてしまってよいのかも、わかりません。


でもきっと、そんなひとつひとつの違いに戸惑いながら、

ふたりのかたちを作っていくのだと思います。


静かなカルチャーショックは、今日も続いています。

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